当たり前こそが『彼女』の日常である。_学校(2)

長らくお待たせ致しました。新話です。どうぞご覧下さい。

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「よし……!準備が出来た」

「おい…本当にいいのか?」

「だって、あの杠葉がやれっているから……」

ガララ……

「来たぞ!今だ!」

「「えぇい!」」

と一気に対象に生の卵を投げまくった。するとパチャ!パチャッ!と対象に命中した。そして、男子は当たったかと嬉しがり、対象 受李に悪びれもなくこう言った。

「へへ、悪ぃな愛川。俺たち手が滑ったんだよ〜、なー」

「そ、そうさ。家庭科に使おうと思ってたんだけど思わず手が滑って…え」

「なー、だってお前……あれ?」

「ほうほう。つまりその愛川さんが苛立ちを覚えているのですね」

「あ……」

なんと当たった相手は受李ではなく校長だったことに気付いた男子たち。ドロォ…と髪や服にかかっている校長。するとそれを見てしまって青ざめた何主は

「あ……あなた達、なにやってんの……」

「ち、違うんだ!これはその……」

「言い訳はなしです。とにかくこれは、即刻教育委員会に知らせておきますね。ついでにあなた方の両親にも、愛川さんの親にも言っておきますね」

「いや……ええ……と」

と校長が立ち去った途端、スマホゲームをやめて、卵だらけになった校長を見ていた受李とその友達が現れた。

「なんだ?あれ?」

「なんか、ここのクラスで校長に卵を投げたらしいよ」

「しかもそのクラス、うちやん。何やってんだか……」

訳分からんと言い、頭をかいて席に座る受李。そんな受李を横目に主犯である猫乃はギリギリ歯を食いしばって、なんでなんで……と悔しがる。あれから、猫乃は自信を魅力を使って男子共に受李にいじめられたと言った。それを応じ男子共は受李に罵詈雑言の暴言やいじめを吐きまくったのだった。中には受李に意味深なことで手を出そうとした。だが、都合が悪すぎるのか、周りに先生や受李の顔見知りの人達によって、そんなことは受李には届かなかった。

「なんで……全然都合が合わなすぎるの……こうなったら……」

と自分がやったネイルをかじって、猫乃はとある事を考えた。




「うう……トイレトイレ……」

と授業が終わった途端に受李は教室から出た。チャンス……!と猫乃は受李近づこうとしたのだった。その時

「猫乃ちゃん」

「うげっ…」

と受李に声をかけようとした猫乃に声をかけたのは高校一有名なセクハラ教師 埜原のはらであった。この男は自分が気に入った女には太ももや胸をわざとに触り出すという常習犯である。これにはさすがの猫乃でも最低の評価を出すほどであった。

「な、なんですか……?」

ここは笑顔、ここは笑顔でと無理矢理笑顔を作る猫乃。すると埜原は理科のプリントを猫乃に渡し、

「これ、やってくれるかな?」

「はぁ?それは先生が…」

「すごく重い道具があるんだ。それともそっちにするかい?」

「い、いえ…」

「そっか、ならいいな♪」

とやけに嬉しくニヤニヤ顔をする埜原。すると猫乃は

「あ、愛川さんにすれば……彼女、やりたがってるし」

「いやいや、俺は猫乃ちゃんが見えたからな〜。それに愛川さんなんて全然見えてなかったし……」

こ、こいつ……。と猫乃は怒りに身を任せようとした。ちなみに埜原は受李のことは眼中になく今は猫乃のことで頭いっぱいである。それを猫乃は知らず、笑顔のまま

「だったら私、愛川さんを呼びますから」

「えー、なんでぇ??言ったよ?俺は猫乃ちゃんしか、見えなかったよ〜」

こ、こいつ……。これは仕方がないと悟った猫乃はとうとう

「はぁ……分かりました。」

「いや〜、助かったよ〜。みんな助けてくれなかったから、猫乃ちゃんは優しいねー」

「あ……そんなことを言われたら嬉しいなー…(棒)」

「ほんとに、ほんとに〜w」

スリスリ……♡

こ、こいつ……あとで覚えとけよ……と猫乃は埜原が猫乃の膝にすり寄ってきたことで頭に怒りマークを出していても表には出さずにそのまま無視して歩いた。それと、影から見ているムキィー!とハンカチを噛んでいる男子共の姿があるのとは知らずに猫乃は埜原のセクハラ攻撃を我慢していた。




「きゃあああああああ!!!」

「ん!?なんだ!?」

「どうした?どうした?」

突然女子の悲鳴が聞こえてきて、向かう生徒達。聞こえた先はなんと女子更衣室だった。なんだ?なんだ?と見ていると悲鳴をあげたせいなのか座っている女子生徒 芦花がいた。

「どうかしたか?」

と生徒の人盛りを見て駆けつけたゴリ田先生。すると、芦花はゴリ田先生を見るなり、すぐに近寄っては

「私の体育着が盗まれたんです!」

「な、なんだと!?」

とゴリ田先生やその周辺にいた生徒達は驚いてザワついた。そう、が悲鳴をあげた理由はなんと次の授業に着るはずの体育着が何者かに盗まれたのだ。

「え?一体……誰が……」

「こんな事をしたやつサイテーだろ」

「本当に……何やってんの?」

すると

「私、愛川さんが盗んでいたのを見ました」

「「え!?」」

「愛川が?」

「えぇ……」

とゴリ田先生が手を挙げた猫乃に問いかけた。すると、猫乃はどよめいた顔でゴリ田先生に近寄ってきた。ゴリ田先生の少し顔が真っ赤になっていながらも知りながら猫乃は続ける。

「私、最初ここに通った時、愛川さんが忘れ物したのかなと思っていたけど、まさか、芦花さんの体育着を盗んでいたなんて……。芦花さんの大声で分かったの」

と猫乃の戸惑った顔をした。するとその顔を見た生徒達がさらにザワついて

「え?あの愛川さんが……?」

「でも……そんなはず……」

「杠葉の言ってるのなら……ほんとだな…」

「そういや、愛川さんの今日のって…」

「きっと愛川さん、芦花のことを恨んでいるのに違いないよ…」

「あの愛川が?そんなはずは……」

生徒達とゴリ田先生の半信半疑の姿を猫乃はふふ……騒いでる騒いでるwと内心ほくそ笑んでいた。

そう、この騒ぎを起こした犯人はというか、芦花の体育着を盗んだのは猫乃である。猫乃は最初、芦花が前々から用意してたのは知っていた。それにその芦花は彼氏を寝取った猫乃の事を酷く憎んでいる。もし、その犯人が猫乃とは別の人だって言われたら、どんな表情するのかも猫乃は楽しみで仕方がなかったのだった。

さぁ……これで愛川はお終いね……wと受李に醜態を晒した猫乃は勝ったと嘲笑った。すると

「せ、先生大変です!」

と愛川の親友である初音菜月がゼェゼェと息を切らしながら走ってきた。

「どうした!?今、忙しいんだが……何かあったのか?」

「その……《愛川さん》が倒れました!!」

「ええ!?愛川が!?」

「え……」

とここにいた皆が一旦沈黙が入った。そして

「あれ?愛川さんって、さっき杠葉さんが話してた体育着を盗んだ犯人だよな……?」

「え、でも……倒れたって……」

「なぁ……俺の考えが間違えてなければ…まさかな……」

と沈黙を破るかのように生徒達はまたザワつきだした。すると

「……場所は?」

まるで何が悪い予感が当たるかのようにゴリ田先生はまさか……と鼻筋を摘んだ。そして、初音に問うた。すると初音は気まずいかのようにゴリ田先生の目線を逸らしてはこう答えた。

「…………です。今、星川先生が救急車を呼んでいます」

「やっぱり…」

と呆れたかのようにため息をついた。そして、立ちあがって周りにいる生徒達を

「とりあえず、これは俺がやっておく。お前たちは授業に戻れ」

と生徒達に各授業に戻るように伝えた。生徒達は気になって仕方ないかのようにゴリ田先生達を見ながら各授業に戻っていた。すると「はぁ……」とため息をついて、芦花に近づいた。

「芦花」

「あ、はい……」

「保健室に予備の体育着がある。今回はそれを使え」

「わ、分かりました……」

と芦花は予備の体育着を貰うために保健室に向かっているところをゴリ田先生は見て、そして初音と杠葉に向いて

「それと初音、杠葉、お前たちは至急に玄関に向かうぞ。きっと、愛川が担架に運んでいる頃だ」

「分かりましたー」

「杠葉、返事は?」

「は、はぁい………」

と猫乃は前よりもさらに戸惑っていた顔をした。そして、ゴリ田先生、初音、猫乃は玄関に向かったのだった。

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