欲求不満のわたしが乙女ゲームの世界に異世界転生したので、攻略対象を全員穴兄弟にする

totoko

プロローグ セックス中に死ぬとか不覚オブ不覚

オープニングというか前世のエンディング 死因『腹上死』

 オタク活動は案外お金の掛かる趣味だと思う。


 そのクールのアニメがあまりにも出来がよかったので2期決定させるために、少しでもBDを買って貢献するためにお金がいるし、そこに声優のライブチケットの先行申込券が付いてくるっていうなら、1枚どころか10枚から検討しないといけない。

 アーティストが新譜を出したら、配信版でも買うし、CDも買うし、なんなら、通常版A、通常版B、初回限定版BDバージョン、初回限定版DVDバージョン、店舗別特典があるならそれのかけ算で買わないといけない。


 推しのVtuberが配信するのなら誰よりも赤スパを投げるし、グッズが出る度に20個以上はポチる。

 コラボカフェやろうものなら、全特典ゲットのために何度も通う必要がある。


 他にもアプリゲームの課金もあるし、新作のPCゲームも欲しい、常に最高の環境で遊びたいからゲーミングPCは最高環境が必要だ。


 とにもかくにも、オタクってのはお金が掛かる。

 たまに「オタクが経済を回しているんだ」なんてのを見かけるが、金に糸目をつけないという意味では回しているのかもしれない。

 リボにかーちゃんのクレカに食費を削ったりしてるから大分不健康な回し方だけど……。


 で、わたし、宮古遙香みやこはるかの場合はそれにプラスしてコスプレイヤーとしての活動もある。

 衣装買ったり作ったり縫ったりスタジオ借りたり大変だ。


 一介の女子高生じゃあ普通にバイトしてるようでは到底そんなお金は手に入らない。圧倒的軍資金不足。

 さっさと内政して、石高を上げねばならん――いやそれも時間が掛かる。

 ではどうするか? こうするのだよ。


 わたしは学校から二駅ほど離れた繁華街の一角、どこの街にもあるラブホ通りで自分の父親ぐらいのおじさまと腕を組んで歩いている。


「ハルちゃん、いきなりホテルとかえっちだねえ」

「だってえ、ハルぅ、おじさまと早く一緒になりたかったんだもん」


 だもん、だってさ。我ながら気持ちの悪い猫撫で声だ。

 わたしは今日も日課のパパ活(俗に言う援助交際)に勤しんでいた。

 今日のお相手は長谷川さん。聞けば割とでっかい企業の重役の方のようで、いつも羽振りが良い。すっかり、太客常連さんだ。


 そ、女子高生が手っ取り早くお金を稼ぐ方法それはズバリパパ活だ。

 家族から相手されない寂しいおじさま達のために、わたしら身体と暇を持て余した美少女が「真実の娘」としてお相手をするのだ。

 それは普通にご飯を食べるだけとか、軽くデートをするだけとか色々あるけど、わたしはもかねて本番あり――つまり、セックスまでOKのパパ活をしてる。

 こっちの方が一度に入る金額も大きいし、何より食事みたいに長々と時間を使う必要がない。

 放課後の部活動的にサクッと一発やっておしまいなのがとてもいい。良コスパ!


 慣れた手つきでいつものラブホテルへ行って、この時間は空いている4階の部屋を選択。ここの部屋が他の部屋よりもお風呂が大きく、ベッドも大きいし、部屋も広い。

 おまけにここだけすりガラスじゃないから外の様子がよく見えるのが最高だ。


 上りのエレベーターの中で長谷川さんと熱いキスをする。ぬるりと生暖かい舌が入ってくるので、軽くいなして代わりに上側の歯茎を舌で舐めてあげる。これをすると喜ぶ。

 たまに股間を触ってあげるとピクピクと反応してくれるのが可愛らしい。

 ぶっちゃけ、「ちんぽ」よりも「おちんぽ」の方が可愛いと思う。というか、男性器って割と可愛いと思う。別の生き物みたいで。


 トレンディドラマのようにキスしながら部屋に入ると、ソファの上にバッグを投げ捨てベッドへと仰向けに倒れる。

 ここまでずーっとおじさまとキスしてるから唇はふやけそうだ。

 ぷはぁとわざとらしく息継ぎをするように唇を剥がす。


「もう、がっつきすぎだよ~」


 長谷川さんはデヘヘとかグフフにも聞こえる笑い声を出すだけ。

 わたしはベッドの縁に座り直し、長谷川さんを立たせる。丁度顔の位置に、彼の股間がくる。

 最早しっかりと形を作っているそれを優しくなでながら、介護職よろしくせかせかと割と高級そうなズボンを脱がす。


 今日は某夢の国のトランクスか。多分、奥さんが適当に買ってきた奴だろうなあ。

 なんて、思いながら、濡れて色が変わった部分をつつく。

 あひっと変な声をあげる長谷川さん。


「変な声~~」


 小生意気な女を演じつつさっさとトランクスを脱がせる。この脱がせたときに反動で立ち上がるのはいつ見ても迫力がある。

 ちなみにわたしのパパ活完全攻略マニュアルでは、フェラはしない。

 人によってはまずしてあげることもあるけど、わたしはさっさと本番をしたいタイプの女だ。


「もう準備万端じゃん」

「ハルちゃんがずっとキスしてくれるからね」

「それならっ!」


 近くの棚からコンドームを取り出し、口に加えてするすると装着する。

 初めは難しかったこれも今では普通に付けるよりも簡単になってきた気がする。

 そして、仰向けに寝っ転がり脚を開く。


「どうぞ~~」

「行くよ……」


 男の人はなんで入れる時に「行くよ」なんて言うのかねえ?

 イクってのは出すときに言う言葉だろうに。

 心地の良い異物感を感じる。いつもこの瞬間が一番気持ちよかったりする。


 恰幅の良い男性特有の体重をかけた動きにわたしは作っていない嬌声を上げ、「あ」と「ん」を色んな並びで声を出す。

 正常位も好きだが、わたしはどちらかというとこっちの方が好きだ。

 長谷川さんを仰向けに寝かせて、わたしがまたがる。騎乗位って奴だ。


 前にめちゃくちゃデカい人とエッチしたときに正常位だと息ができなかったんだけど、騎乗位でやるとペースを自分で持てるからなのか、楽に動けた。

 それ以来、どの男性とも行為の大半は騎乗位で行っている。


 腰を波のように動かし、それでいて身体を上下に動かしていく。

 大事なのはこの波の動きだ。

 愚地克巳のマッハ突きよろしく腰の関節がめちゃくちゃ増やす――イメージで動かすのが大事だ。


「んっっっ! は、長谷川さん……!」

「ハルちゃん、い、いくよ!」

「うんっ!」


 わたしもそろそろ来そうだ。頭がカチカチとしてくる、下腹部も準備完了と行ってる。

 ああ、そうだ。この感じ、もう直ぐ訪れるこれがいっつも好きだから、わたしはセックスが好きなんだ。


 ちょっとだけ自分語りをするけども、わたしはこう見えて生徒会長をしている。

 両親のDNAがいいのか、顔もいいし、スタイルもいい、なんなら胸も大きい。身長も167cmと女性の中でも高い方だ。

 そんな美少女だけど、困ったことに性欲が半端ないのだ。

 いつからオナニーを始めたのかはもう忘れた。なんなら切っ掛けも忘れた。

 家でやるし、学校でもやるし、中毒だ。


 初めはそれでよかったけど、いつの間にかストレス発散として、クラスメイトや先輩後輩と合体することも増えていった。

 一回、夜の学校で生徒会副会長との行為中を巡回中の生徒指導の先生に見つかったが、3Pで事なきをえた。


 最早わたしにとってセックスは子作りのための行為というよりも、ストレス発散気分転換のために存在していたのだ。


 だから、パパ活で本番するのもためらいなかったし、月に一回は病院で検査もしてる。エッチで稼ぐから身体は資本だしね。


 そう、わたしは常に欲求不満の女なのだ。人間の三大欲求のバランスが性欲に振り切ってしまっているのだ。


「い……」


 その瞬間ブツンと消えた。テレビの電源が落ちたようにだ。


 宮古遙香、17歳。死因腹上死。



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