第26話 覚悟を決めた

寮の部屋で机に座っている。

「王様に手紙書いてみるか。」


羽ペンにインクを付けて便せんに書き込む。


手紙を送ってから、3日で返事が来た。

「早っつ!」

王様からの文章は凄く短いものだった。


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オーシャン様

連絡ありがとう。

あれから少し諦めていたから嬉しいよ。

楽しみに待ってるよ。


レオナルド・ラクシア

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卒業まであと数日。

クラスメートたちも進路をそれぞれ決めている。

冒険者になる人、家の家業を継ぐ人、魔法の研究者になる人もいたっけな。

クリフは冒険者になるって言ってたっけ。

後は・・・。


「私はオーシャンと結婚するの!」

ロココさんはそうでした。

「そういえば、お父様が会いたいって言ってたわ。」

久々のお呼び出し。

何だろう。


居間で突然、

「君さえ良ければだが、婿むこに入らないか?」

義理父おとうさまが切り出した。


え?

「結婚するにしても平民よりは貴族の方が色々動きやすいだろう。良ければだけどね。」

「ロココもここから出ていかなくて済むし。」


「え~そういう事?」

ロココが口をはさむ。


「はい。よろしくお願いします。」

一つ返事で承諾した。


卒業したら、城に勤めてロココと結婚する。



****



「オーシャンはそれで良かったの?」


「俺はロココと一緒になれればいいんだ。こだわり無いし。」


「そっか。」


貴族っていっても俺はほとんど貴族社会とは縁が無いだろう。

と俺は思っていたのだが・・・。


「パーティ?」


「そうお披露目会するの。」


甘かった・・・。


「うち子爵だから、それなりにね?」


「俺、マナーとかわかんないけど。」


「大丈夫よ、ニコニコ笑って挨拶しておけば。」

こともなげに言うロココ。

大丈夫かなぁ。



****



学院は無事に卒業した。

披露パーティ無しに出来ないかな。


城勤め前が良いだろうという事で早めに期日が決まった。

働き始めると疲れてそれどころではないと気を利かせて?くれたらしい。

俺は何もしなくても周りがやってくれたので参加するだけ。


当日、アルフレッド家の屋敷は人でごった返していた。

丸いテーブルに沢山の料理が並べられて、立食式のパーティがもよおされた。


招待客と挨拶をするのだが、言葉をかけるのは主にロココなので、俺は隣にいるだけでいいと言われている。

上手く喋れそうにないから助かった。

煌びやかなドレス、タキシードに身を包んだ大勢の招待客たち。

この人々みんな貴族なんだよね。

因みに俺の実家の家族も来ているが、隅っこにかたまっている。


俺も身なりは豪華になっていて、オーダーメイドで頼んで作ってもらったものだ。

笑顔も疲れるものだな。

何人か目の人を挨拶していた頃だった。

急に会場がざわめき始めた。

すーっと人が通る道ができる。


「どうしたんだ?」

レインが執事に問いかける。


「旦那様それが・・。」


「ちょっと来てみた。皆の衆、気を使わなくてよいぞ。」

王冠を被った金髪碧眼の人物がそこにいた。

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