哭天の葬送

 冷たい風が、あたりに吹きすさぶ。急峻な山の頂には、遮るものなど何もない。

 見上げれば、二羽の大鷲が舞っていた。手を伸ばせば届きそうな太陽。その光を浴びながら、真っ青な空を悠々と。

 大きく旋回する姿は、思わず見惚れてしまうほどに美しかった。

 彼らは、亡き祖父の友人らしい。

 ピィー、ピィーッ——

 祖父に教えてもらったとおり、力強く指笛を鳴らせば、彼らはゆっくりと降りてきた。……自分ではなく、のもとへと降りてきた。

 祖父はもう、動かない。


 高い空に響き渡った啼き声。

 哀しそうな、彼らの——

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