第2話 部活に後輩は付き物である

ドアが開いた。そこから入ってきたのは・・・・

とてもかわいい子!身長150くらいの小さい体にショートヘアがよく似合う。来たぞ来たぞそうだよ これなんだ!これが追い求めていた青春。ようやく始まるんだ俺の青春の1ページが!


と普通はなるかもしれんが俺はならない。なぜならこの子が入ってきたことを後悔してるような目でこっちを見ているからだ。


「あのー入らないんですか?」

「・・・」


無視かよ、何か反応してくれないとこっちのHPゲージが削れるんですけど

端にいた花江先輩が声をかけた。


「どうしたでござるか?」


そしたらこいつ無くしてた高価な私物を見つけたかのように顔をパーーっと輝かせ口を開けた。


「今日は相談に来たんです!聞いてくれますか?」

「もちろん」

「・・・」

「もちろんでござる」

「ほんとうですか!うれしいです!」


あれーなにかおかしくないか。この子俺のこと無視してるくせに花江先輩には態度が天と地ほど違う気がする。


俺はあることに気が付いた


この子が花江先輩狙いできたことを。なんかそう思うと無性ににこの女腹が立ってきた。


「で、相談というのは何でござるか?」

「そのー私この前幽霊をおばあちゃんの家で見た気がするんです!そこから肩も重い気がするし、夜も寝付けない気がするんです。払ってくれると聞いたのでここに来ました!」

「そうでござるか。大変だったでござるね。払う道具を準備してくるでござる。」

「ありがとうございます!」


先輩が後ろのロッカーから道具を探しに行った。

この女話が抽象的すぎる。さっきの説明だって「気がする」しか言ってないし。

よしここで話してみるか。


「えっと名前は?」

「まず、自分から名乗るものじゃないんですか?」


つくづく癪に障る女だな。さっきよりこえが怖いんだわ。すこし下手にでているおれがいることがなんかいやだわ。


「悪い、俺は元井勇気だ」

「元井勇気?どっかで聞いたような・・・」

「あ!魔法少女なのってる気持ち悪い人か!」


うぅぅぅ


勇気に大ダメージ 効果は抜群のようだ。


危ない危ないあとちょっとであの世に飛んじゃうとこだった。

きりかえて俺は苦笑いで話を続ける。


「名のってないし、それは不意な事故があっただけだからその話はやめてくれ」

「不意なトラブルで魔法少女名のっている変態の話が学校にひろまりますかー??」


くっ 確かに。 不意なトラブルといっても一般男子高校生が魔法少女を名のっているといううわさが広がるわけがない。どうしちまったんだ俺・・・

ちがうちがう本題はそうじゃない。


「俺は名のったんだからお前もはやく名のれよ。」

「はいはい、1年C組の日花里紗良(ひかりさら)です」

「でさ、お前花江先輩のこと好きだろ。」


言ってやったぞ絶対変な雰囲気になる言葉ランキング1位を。この言葉を放てる男子高校生が何人いることか、ほとんどいないだろうな。

これでどんだけ慌てふためくこいつの赤面が見れるだろうと内心思っていると期待外れだった。


「当り前じゃないですか」


彼女は真顔で言う。


「へ、へーどこが好きなんだ?顔か?」

「なんですかその質問?私が面食いみたいに聞こえるんでやめてくれます?」

「わるい、じゃどういうとこが好きなんだよ」

「性格や人柄ですかね。」


あの先輩の人柄が好き?あの先輩の?人柄????????????

あの人にその表現できるのはいい意味でも悪い意味でもおまえだけだよ。


「あの先輩の人柄知ってるか?ビッチ」

「しゃべり方は変ですけどしゃべり方だけなんでそれ以外は普通にかっこいいですよ・・・・ん?ビッチ?」

「次それ言ったら魔法少女のこともっと周りに言いますからね」

「落ち着けばか! 話変わるけど、先輩の左手みたことあるか?」

「はい!最新のファッションって感じですよね!」


だめだこいつ・・・あれを最新のファッションはだめだ。おれは彼女を蔑視する。

後ろからロッカーをしめる音が聞こえた。花江先輩が道具を見つけたのだ。


「お前先輩とはなしてガッカリすんなよバカ女。」

「どうゆうこと?ってバカ女言うな!」


花江先輩がたくさんの呪い道具を両手にかかえて持ってきた。でもぱっと見でわかる。 ちゃっちーなー。うちわに白い雷の形をした紙張り付けているものや、木刀に「幽霊倒す剣」と彫られたものなど・・これみて日花里は幻滅しないのだろうか・・


「これが今日はらうための呪物でござる」

「・・・」


これはさすがに引いてしまったか・・


「かっこいいですねー!」


嘘つけ!もし本心で言っているのならば君はもうそっち側人間だよ。

あーもう疲れてきた。もう5時近いし早く帰りたい。


「じゃあ、もう早くやりましょうよ花江先輩」

「うむ では参る」


一体どんなことをするのかと思い、みていると。日花里を部屋の真ん中に正座させた。

なんか雰囲気はいっちょ前にあるんだなと思っていると

小さな声で呪文を唱え始めた


「ここに浮かんでいる妖精たちよ我に力を与えよゴニョゴニョ・・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



何分経っただろ。 一向に終わる気配のない呪文を永遠に唱えている。

そうだ日花里は・・・・


寝てるし・・あいつ・・寝てるし・・


それはもうぐっすりと熟睡しているご様子だった。

さっきから先輩はなにを言っているのだろう。耳を傾けてみる。


「あー神よ あー神よどうして我は今日朝ごはんの時間に起きられなっかたのであろうか」


知るか


「我に時間をもどす力をいえいえ冗談でございますよでござるーいつかは高校を卒業する私に力をーーー」


あんたは一人でさっきから誰としゃべっているんだ。

腹が立ってきた。


「先輩」

「われにーー」

「先輩」

「おろかなるーー」

「・・・」

「よし先輩のコスプレ道具燃やしとこ」

「な、なにーこの無礼者ー」


おれは一体何に付き合わされているんだ



初めての部活の活動がこれって・・・

だめだ楽しい部活の思い出を作れる気がしない。だいたいなんで俺はこんなとこにいるんだ全部あの佐藤先生のせいだ。今度会ったら嘘の婚活の攻略法を伝授してやろう。

てか、この女はいつまで寝る気だ。花江先輩があんなに声を出していたのに


「おい 起きろ」


彼女は起き、背伸びをする。


「おわったんですか?」

「そうだ、だからさっさと帰れ」

「そのー  言いずらいんですけど」

「?」


彼女がもじもじしながら何か話そうとしている。


「この部活に私を入れてくれませんかね?」

「無理」

「ありがとうございますこれからもよろしくおねがいsって今なんて言いました?」

「無理 Uターンして帰れ」

「あはははh元井先輩の冗談は面白いですね。」

「あはははhおれは冗談なんて言わないぜ勘違いすんなよ。」

「じゃあ魔法少女の件も?」

「あれは例外だ 今の言葉でお前が入部できる確率は0パーセントになったざんねんだったな。」


この女を入れてたまるか、もっと毎日がしんどくなる。あと個人的にこいつは気にくわない。


「むううう 花江先輩はどうなんですか?」

「全然大歓迎でござる」

「そうですよね!ありがとうございます。どこかのキモイ先輩とは違いますね!」


こいつ言わせておけば だが認めざる負えない部長に権限があるからだ。あいつがばかにするような笑顔でこっちに近づいてくる。


「よろしくお願いしますね魔法少女せーんぱい」

「よろしくなバカ女」

「「・・・」」

「「っち」」


こうして俺らの部活に1年の後輩が入ってきたのであった。



次の日の放課後俺はいつもどうり部室でぼーっとしていた。今日花江先輩は用事で休みらしい。だから俺は日花里とかいう生意気な後輩と二人で待つことになった。本当に最悪だ


「ああああ」


俺は思わず声をもらしていた。それに気づいた日花里が口を開ける。


「そんな気持ち悪い声出してどうしたんですか?」

「いや、ただ気持ちの悪い変な後輩と今日も相談のない部活動が最悪で仕方ないだけだ。」

「今日相談なら来ますよ」

「はいはい・・・・まじ!?」

「はい 私が見つけてきました」


こいつが見つけてきただと。それはまずい 俺のほうが一応先輩なのにこいつより部活に貢献できていないじゃないか。結構プライド的にもそれはしんどい


「その相談者はいつ来るんだ?」

「多分もう来ますよ」

「あ、噂をすれば」


教室のドアが開き、入ってきたのは俺の復讐の相手である国語の教師である佐藤先生だった。

いやいや普通に何しに来たんだ。俺は尋ねることにした。


「先生今日は何のために来たんですか?」

「それはな・・」

「先生の家は代々霊が見えやすい家でな。先生が子供のころ一回だけ見たことがあるんだが、それがなー少し不可解なんだ。」

「不可解?どんな感じの幽霊だったんですか?」


これは相当悩んでいるらしい。眉間にはしわが寄っていて、どうも頭を使っている様子だった。俺の質問に先生は少し間を開けて返した


「それはな、、、、すごくかわいかったんだ」

「は?」

「いやほんとなんだ!幽霊って怖いイメージしてたんだけど、本当にかわいかったんだ。もう幽霊と結婚してもいいくらい!」


どうやら先生は振られすぎて頭のねじがとれたらしい。もう、幽霊と婚活している先生を考えただけで涙が出てきそうだ・・


「先生・・・今日はもう帰りましょう・・俺の目が絶えれる気しないんで・・」

「ん?どういうことだ?」

「でも、幽霊と恋なんて禁断の愛っぽくてよくないですか!」


おい お前は先生をどこに向かわせたいんだ。


「そうだよな。先生もいっそありだと思ってたんだ!」

「全然なしですよ。そんなこと考える余裕あったらマッチングアプリもっと頑張ったほうがいいですよ。」

「お前夢がないんだな。」

「先生、元井先輩は夢を持っていますよ。だって自分のこと魔法少女って言い張ってたんですから。」


本当にこの後輩は嫌いだ。どれだけ俺へダメージを残したら気が済むんだ。何度も傷に塩塗りやがって。


「で、先生の本題それじゃないですよね?」

「ああ そうだ」

「何ですか?」

「それはだな・・・」


一気に真面目な雰囲気を出す。そのまま先生は話出した。


「先生が結婚できないの霊のせいだと思うんだ」

「・・・」


先生はもうだめらしい。俺は一つ覚えたことがある。人は振られすぎると頭のねじがすべて抜けるということを。俺は憐れんだ目で先生を見る。


「・・・先生」

「なんだ?」

「うぅ なんでも・・ないですよ」

「?」


もう先生はまともに恋愛することも人としての存在もまともにならないんだろう。

先生は悪くないんです・・全部振った人達が悪いんです・・・いや霊が悪いのかもしれませんね・・・うぅ


「日花里あとは任せる・・おれ帰る・・」

「えー何でですか」

「お前が呼んだんだからさいごまで見てやってくれ・・・俺はもう・・・つかれたよ。うぅ 」

「そうですか。 お大事に」

「おう・・」


おれはとぼとぼと帰っていった。先生・・・さらば・・・




次の日の朝ルンルンとご機嫌がよさそうな佐藤先生がいた。


「どうしたんですか?」

「あっ 勇気 それはだな昨日日花里さんが幽霊とうまくいく方法を伝授してくれたんだ。彼女なかなかのつかいてらしいな」

「え  は?」


俺は猛ダッシュで1年C組に向かった。そしてドアを大きな音を立てて開けた。


「おいこら日花里はどこだ!」


あたりを見ると友達としゃべっている。日花里を見つけた。


「え 先輩どうしたんですか?」

「ちょっと来い」


俺は一回の階段に呼び止めた。そして俺はにっこりと笑いながら話す


「どうしたんですか先輩」

「お前・・・」

「ほんとに先生をどの方向にもっていったら気が済むんだ!霊と婚活の用意ができてよろこんでる先生なんて俺みたくねえーよ!」

「えっとーーそれはですね・・・」

「?」


日花里は目をそらしながら話し始めた。


「あの後現実の話に切り替えようとしたら先生が顔色変えて話せなくなって」


先生・・・


「だから幽霊との婚活の話にした途端くいついてきて」


先生・・・・・


「そうしてこうなったんです」

「わかった。もうわかったよ。お前はよく頑張った・・・」


こうして先生の霊との婚活は始まったのであった・・・


これからもこんな感じなのかな、、、俺が、俺が、俺が予想してた青春はこんなのじゃないのに・・・・



      続く   





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