第7話
僕の一言……それは三人の対立を深めるだけであった。
「デカい害虫が……ッ!待っててね。和葉。今すぐに倒してあげるから」
「何をおっしゃっているのでしょうか……?私と和葉くんの愛の巣を汚すお邪魔虫は私ではなくそちらでしょう?」
「……臭い」
やっぱこうなるか。
四人は多い、定員オーバー……ということはすなわち、二人なら構わない。
お邪魔虫二人を蹴落として
「だから、熱いって言ってんだろうガァ!ここで暴れんなやァ!」
僕は今にも戦闘を始めそうな女三人を一括する……小学生時代に培った技術。
狂人としか思えぬ三人であるが、その根底にあるのは僕への愛と依存心。
自分でどうすることも出来ず、ただ暴走してしまう恋心を抱いた……まぁ、結局のところ狂人なのだ。
だが、生まれながらの狂人。
愛による狂人はまるで違う……ここで狂人相手に僕が引いたら思う壺だ。
勝手に暴走して、勝手に突っ走る。
「命令だ」
ヤンデレどもと相対するとき、引くのは悪手……むしろ強気に行く方が良い。
相手がナイフを向けて来るならこっちはライフルを向けるくらいの気概で行く必要がある。
「古海はリビングの掃除。愛梨はキッチン周りの掃除。神楽はトイレ掃除。この家は僕の家だ……誰が一番きれいにしてくれるか。そんなの簡単だよなぁ?」
「任せて!私、掃除は得意なのよ!」
「ふふふ。掃除ですか、良いですね……ふふっ、和葉の役に立てる」
「……やる。完璧に」
僕は面倒でついサボりがちになる掃除の担当を三人に振り分けていく。
「それじゃあ僕は適当に出かけてくるから。制限時間は僕が帰ってくるまで。急げよ?」
僕は実に自然な流れで部屋から退出……これで良し、っと。僕は爆心地から離れられ、ついでに僕の家はきれいになる。
完璧な対応だ。
そんなことを考える僕は駅の方に向かいながらスマホを取り出してとある人の元に電話をかける。
『ん?どうしたの、和葉くん……で、電話をかけてくれるのなんて初めてじゃない?』
連絡相手は玲衣。
「なぁ、玲衣。ちょっとしばらくの間、そっちの方に泊めてくれない?玲衣ってば一人暮らしだったよね?」
僕は玲衣へと簡単な頼みごとをするのであった。
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