猫と杓子

星埜銀杏

001 面白い話を書く方法

 ふむむ。


 …――面白い話を書く為にはどうすればいいか?


 そんな事を、ある意味で不毛とも思える事を、長い間、ずっと考えていたのです。


 そんな方法があったら、誰にも漏らさず、……なんてケチ臭いな事は言いません。


 というか、このネコと杓子は自分向けの忘備録な意味合いが強いものですからね。


 あまり深く考えてません。


 よかか?


 おかか?


 もちろん、創作に答えなどあるはずもなく、むしろ自由こそ創作には重要なわけです。なので、たとえ件の問いの答えが出たとしても、それは一つの形に過ぎず、他にも、この問いに対しての答えが在るわけです。だからこそ不毛とも言えるのです。


 それでも考えてしまうのが創作者なわけでして、そして、ある答えが出たのです。


 まあ、だったらコソッと、この場末で発表でもしようか、なんて思いましたので。


 さてと、長ったらしい前置きは終わりにしまして、今回も始めていきましょうか。


 今回のテーマは、そうですよ、面白いお話を書く為の方法論です。


 速攻ッ!


 結論、アカシックレコードを読み解いて、脳内に降ってくるものを形にするだけ。


 以上ッ!


 アカシックレコードに関しては、詳しくを、ここで記すと創作論がオカルト記事になってしまいますので興味のある方は各自でお調べ下さいませ。ともかく、ここでは簡単に、この宇宙に存在するものの全てが記録されている世界記憶の概念とだけ。


 まあ、そんなワケでアカシックレコードには全てが記録されているわけですから、


 無論、過去から、この先の未来にまで存在し得る全ての物語も、当然、そこに記録されているわけです。そんな情報媒体から自分が書いたであろう面白い物語の記録を引っ張り出してきて……、なんて事を言うと、……どうした? 頭、湧いたか?


 遂にな。


 などとさえ言われそうですが、実は、わりと本気で考えています。


 ただし、


 当記事は創作論でありまして決してオカルト記事ではありません。


 なので、このままで理論もへったくれもないので、アカシックレコードから離れて考えてみましょう。では、どうすれば面白い話を書けるのか。私が出した結論は、こうです。作者自身が面白いと思える話を書けばいい。ただ、それだけの事です。


 いやいや、そんな簡単な事、皆、実践している。


 実践しても面白い話は書けないからこそ悩んでいるんじゃないか。


 とも言われそうです。


 いえ、実は、ここにこそ、とても大きな落とし穴があるわけです。


 作者が面白いと思えるものを書く。ただ読み手には面白いとは思えない。何故、そうなるのか。実は単純なカラクリが、その齟齬に隠されているのです。では、隠されたものとはなにか。それは書き手の思いが読み手に上手く伝わらないという事。


 思いが上手く伝わらないのだから、面白いものも面白くなくなってしまうのです。


 その上手く伝わらない事の原因を分解して細かく観察してみると、


 書き手の客観的な視点不足が浮き上がってきます。


 つまり、


 執筆時、


 書き手の伝えたいという思いが強すぎる為、思いが溢れてしまって〔※これは決して悪い事ではないのですが〕、早く書きたい、書き終えたいと不親切な書き方になってしまっている可能性が在るわけです。分かりやすく例を挙げてみましょう。


 例えば、


 警察官という言葉を小説内に書き記す必要性があったとして……、


 書き手は頼もしいという意味を持たせて警察官と書いたとします。


 しかし、


 読み手側は、ごく最近、駐禁でもスピード違反でもいいですが、警察に捕まっており、罰金を科せられていたとします。すると読み手側が警察というワードを目にした際、恐いだとか、やられたからこその敵だとかいったイメージを持っています。


 そんな中、小説内で僕らの目の前に警察官が現れた。とだけ書かれていたら……。


 早く物語を次の段階へと進めたい思いが強く溢れてしまってです。


 すると。


 書き手は頼もしい助けが来たという意味で書いたにもかかわらず、読み手は、また嫌なやつが現れたぞ、更なるピンチなのか、と解釈してしまうわけです。この齟齬こそが面白いはずの、お話を、面白くなくしてしまう原因なわけです。うむむ。


 なので、


 一つ深呼吸。落ち着く為の、スー、ハー、ですよ。


 僕らの前に頼もしい助けが来た。そう。警察官だ。


 と書いてやる必要がある。ゆっくりとゆっくりと。


 良かった、これで安心だ。ようやく一息つけるわ、


 ……くらい足してやると、より親切にもなります。


 まあ、その辺りは文字数削減とのバランスをとって、入れる、入れないは作者さんの裁量となります。ともかく、このように書き記す言葉が持つ当たり前とも思える意味が、読み手にとっては違う意味を持つという事を意識する事が大事です。


 それこそが客観的な視点を構成する一つの重要な要素なわけです。


 だから、


 先にも述べたよう、作者自身が面白いと思える、お話が読み手にとっては面白くないという、ちぐはぐさを生み出す原因として客観的な視点が不足しているのだと言えるのです。いえ、逆に言えば書き手の思いが上手く伝わりさえすれば……、


 書いていて面白いと思えているのですから、これは面白いものだと伝わるのです。


 まあ、以下は、……余談になりますが、


 小説でもなんでもいいですが、始めは面白くもなかったけど、お話しが進むと、段々と面白くなってきたという経験はないですか。それは、そのお話の常識〔※つまり作者が言葉に込めた思い〕が、読み手に理解できてくるのもあるからなのです。


 つまり、


 まとめると、まず前提として作者自身が面白いと思える話を書く。


 次に選んだ言葉の意味を正確に伝える努力をする。


 もちろん、お話全体のイメージも、また大切に伝えるようにする。


 ただし、


 あまりにも懇切丁寧に説明しすぎるとくどくなるので、その佳きバランスをとる。


 この四つの段階を踏んでやれば面白い話は書けるのではないでしょうか。少なくとも私自身は、そう結論づけました。で、最初の話に戻りますが、作者自身が面白いと思える話とは……、やはり、アカシックレコード頼りなんですがね。詳しくは省く。


 それと。


 面白い話が、イコールでウケる話ではないので悪しからずですよ。


 以上ッ!


 また機会があれば、うだうだとなにかしら語らせてもらいますね。


 チャオ。

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