第35話

私は魔力を測定する石盤の前に立つ。


今の私はゲームのリリーよりも絶対に強い。


なにせ、四歳の頃から毎日魔法の特訓をしていたからだ。


さて...どれくらい光るかな?


私はゆっくり石盤に手を伸ばす。


すると、鷲鼻でメイクの濃い先生が小さく呟く。


「王国で噂の天才か知らないけど、所詮はただの学生でしょ?」


私はその言葉を無視して石盤に触れる。すると――


「ま、眩しッ、え!?」


石盤は一瞬、強烈な光を放った後、木っ端微塵に砕けていた。


えええええ!? なんか石盤壊れちゃったよ!?

こ、これ貴重なやつだよね!? 大丈夫!?


「あ、ありえないですわッ!! たかが学生がこの石盤を壊すなんて!! わ、私ですら...」


すると、先生は会場の奥へと走っていき、更に大きな石盤を両手で抱えて持ってきた。


「はぁ...はぁ...これならどうですわッ!!」


いやどうですわってなに!? 壊せるかどうかってこと!? てか、最初の光でもうSクラスってことで良くない!?


で、でも、先生は引く気がなさそうだし...他の生徒も全員私に注目してるし...


はぁ、やらなきゃいけない雰囲気みたいね...


私は仕方なくその石盤に触れる。すると、その石盤も瞬く間に木っ端微塵となった。


すると、また先生が奥へと走っていき、更に大きな石盤を運んできた。


それに私が触れてまた壊す。


また奥へと走っていき――


そんなやり取りが続き、流れ作業のように私が五枚目の石盤を壊した直後だった。


「なんでどれもこれも粉々にできるのよッ!!」


そう言うと、先生は隣の列の石盤に行き、魔力を流し始めた。


しかし、石盤は一向に割れない。


すると、彼女はその石盤を手に取り、思いっきり壁にぶん投げた。


そして、石盤を粉々に割った。


「ほら!! 私だって粉々にできるんですからね!!」


いやなんのアピール!? 肩の強さ? 肩の強さの話なの??


すると、流石にやり過ぎたのか、他の先生数人に彼女は連れていかれた。


「私だって魔法の才能があるんだからああああ!!」


そう言い残して、彼女は会場から強制退場させられた。


な、なんだかとても騒がしい人だったわね...


ハッ! てか、今の先生とのやり取り、ソフィアにどう見られたんだろう!?


私はソフィアがどんな表情になっているか気になり、彼女の方を見る。すると、彼女はビクッと肩を震わせ、すぐに顔を逸らした。


うぅ、私なんだか怯えられてない...?

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