第11話

突然だが、人の心が読めるようになった。


いやいやいや!! なんとなく人の心を読める魔法とかできないかなーってイメージしたら、本当にできちゃったんですけど!?


リリーの魔法の才能チート過ぎない!?


ま、まあ、莫大な魔力を使うから、あまり実用的じゃないけども。


私は部屋を出て、廊下を掃除していたメイドさんに話しかける。


「おはよう!! 今日も朝からお掃除ありがとねっ!!」


「リリーお嬢様、おはようごいます。身に余るお言葉ありがとうございます」


そう淡々と言ったメイドさんは、恭しく頭を下げる。


私はそこで心眼(心を読む魔法)をメイドさんに向けて発動する。


すると、彼女の心の声が聞こえてきた。


(リ、リリーお嬢様に感謝されちゃったぁああ!! ああああっ!!なんて愛らしいのかしら!! 頭をよしよしってしてあげたわ!)


こ、これが彼女の心の声なのね。


そうだ、いつも頑張ってくれてるから、私にできることをしてあげよう。


「よしよしする?」

「へ!?」

「いいよ」


私は彼女の右手を取って自分の頭にのせる。


暫くして、彼女は恐る恐る私の頭を撫でだした。


そして、次第に相好を崩して、最終的にはすっごく嬉しそうに私の頭を撫でてくれた。


(ああああっ!! 幸せ過ぎますぅ!! 後で屋敷のみんなに自慢しなきゃ!!)


その後私と別れた彼女は、鼻歌を歌ってスキップで仕事へ戻っていった。


そして私はレイと合流して、朝食を取るために食堂へと向かった。


その途中の廊下でミリーが抱き着いてきた。


「お姉様!! ミリーも一緒に行きます!!」


「あら、おはようミリー。じゃあお手手繋いでいきましょうね」


「はい!!」


そして、ミリーは私の顔を見て、ニッコリと笑った。


そこで私はミリーが何を考えているのかふと気になって、ミリーに心眼を発動してみる。


(大好きなお姉様とお話できて幸せですわ!! この繋いだお手手はミリーのものです!!)


あらあら、ミリーったら可愛いわね!! お姉様とお話できて幸せなのね。


(もしお姉様のお手手をミリーから奪うやつがいたら、ミリーはそいつをころ――)


あら、魔力切れね。こういう高度な魔法は魔力の燃費が悪いのよねぇ。


最後の方は聞き取れなかったけど、ミリーがとても可愛いということがわかったわ。それだけ充分ね!!


その後、朝食を終えた私は自室へと戻った。


「さ、今日は本でも読もうかしら」

「そう仰ると思い、すでにおすすめの本を用意しております」

「ありがとうレイ!!」

「いえ、侍女として当然です」


レイっていつもすごい仕事ができるけど、こんなに有能なレイの頭の中って一体どうなってるのかしら?


き、気になるわ。


きっとすごい難しいことを考えてるに違いないわね。


私は我慢できずにレイに心眼を発動する。


すると――


(お嬢様可愛いぺろぺろしたいぺろぺろぺろぺろ――)


ブチッ!!


私はそこで強制的に魔法を切った。


そして、私はこの魔法を暫く封印することにした。


――


そして次の日。


私は何人ものメイドさんに、頭を撫でさせて下さい!! とお願いされたのだった。

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