お屋敷

 まさかの死に待ちされていたオレ。なんだかイッヌサマは、魔法が使えるっぽい。さっきの光のおかげで言葉が通じるようになった。

 

 オレの名前を聞くなりみんなオレに敬礼したり深々と頭を下げたりしだした…。

 

 オレって…どんな…。

 

 ⁉︎

 青鬼…

 

 なぜにひざまずいているの⁉︎

 

 青鬼がひざまづくってどんなーー⁉︎

 

 この世界では、オレってすごいやつだったりする?

 なんかの罠じゃないよね⁉︎

 

 

 混乱しつつも、イッヌサマに連れられてノコノコと歩いた。

 

 イッヌサマ…そのマント汚れません?長すぎますよね⁉︎そんなズルズルするびいていいのですか⁉︎なんて悶々としつつ歩いた。

 

 どうしよう…。

 ウエディングドレスみたいに後ろから持ち上げた方がいい?

 

 でも…イッヌサマってイヌだよね⁉︎

 うっかり尻尾触って噛みつかれたらどうする⁉︎

 うん。

 やっぱりやめとこ。

 

 ざらざらズルズル歩き進むイッヌサマ…

 

 

 ‼︎

 

 あれっ⁉︎なんかオレの足元にポヨンポヨンした水?水滴のオバケ⁇みたいなのがジャンプしておりますが⁉︎

 

 ⁇

 とりあえず指でぷにぷに突っついてみた。

 

 バジャー

 

 え…?

 

 触った瞬間一気に水になってしまった…

 

 えっとーーー…

 

 チュルルルンテテテ〜

 

 いきなりどこからともなく変な音楽が流れ出したよ?

 

 ん?どこから⁉︎

 

 はぅっ!

 

 オレの腕ーーー‼︎

 

 いつのまに腕時計してんのっ⁈

 てか、これ…時計じゃなくね⁉︎

 

 な、なんっすか…

 これは、なんっすか…

 

 あ、なんかぴこぴこ動きだした…!

 

 ‼︎

 

 レベルが上がった⁉︎

 数字の一が現れた。

 

 ん?

 

 さらには、仲間にしますか?イエス・ノーボタンが現れた。

 

 

 ⁈

 えっ?

 

「おやおや、いつのまに」

 イッヌサマがゆっくりこちらを振り向いた。

 

「あのー…これは一体…」

「屋敷についてからゆっくり話でもしようと思ったんじゃが、まぁザックリいうとレベルが上がるとどんどんいろんなスキルが上がるのじゃよ」

 と説明してくれた。

 

「あー…」

 オレはスキルを上げてどうすればいいんだろう…。

「モンスターが来る前に手っ取り早くワープするとしよう」

 

 イッヌサマがまた光を放つと一気にワープした。

 

 …

 

 はじめからワープでよかったんじゃね⁉︎

 てか、なんでオレはじめについた場所鍾乳洞だったんだよ⁇で、なんで炊き出しに参加してたんだよ⁉︎

 そもそもはじめからこのお屋敷についてた方がよかったんじゃね⁉︎と疑問だらけだったがだれかに文句を言っても仕方ない。

 

 大人しくしていよう。

 

 …

 

 あ、そういえばワープするっていうから慌ててさっきイエスボタン押しちゃったんだけど…オレの周りでずっとこいつポヨンポヨンしてるんだよなー。

 

 また触ったら水になっちゃう⁉︎

 

 そうなったらなんかかわいそうだからそっとしておいた。

 

 その間にもイッヌサマの召使いらしき方が屋敷の説明をオレに詳しくしてくれていた。

 

 

 でもさ…なんか…イッヌサマの使いってハムスターなんだ…。

 

 ちっさ!

 しかも二足歩行って…か、かわいい〜

 

 一生懸命ここが部屋ね、とかここがお風呂だよ、とか必死に説明してくれている。

 

 たまにあしを濡らしてしまうとあしをペロペロとしだすハムスターさん。

 

 か、かわいい〜

 

 そしてマイペース!

 なんなら毛繕いとかもし出したよ〜。

 

 かわいい〜

 ムニムニしたいわ〜。

 

 癒される〜

 

 なんてほっこりしてたら…

 

 えっ⁉︎

 

 テラスにパ、パンダ…

 

「あのー、あそこにパンダいますよね⁉︎」

「あー、あちらはバイトのパンダですよ」

「えっ、バイト⁈」

「はい。そうでございます。どうぞ日当たりのいい昼間は、パンダに寄りかかりゆっくりなさってください。っていっても忙しくてそうは、いかないと思いますがね」

 

「あー、やっぱり明日からレベルアップの修行かー…」

「はい、よくお分かりでいらっしゃいます。さすがこの国の伝説の王でございます。」

 

 ⁉︎

 耳を疑った。

 

 …伝説の王⁉︎

 

 …

 

 ええーー⁉︎

 なんでオレがそんなことになってんの⁉︎

 

 転生したら、伝説の王になっていた⁉︎の⁇

 

 

 王とか意味不明なんですけどー…

 

 …

 

 ま、王とかに普通なれないよね?

 じゃ、せっかくだし楽しんじゃおっかなぁ。

 

 やる気満々になってきたところでハムスターさんは、

「では、本日はごゆっくり」

 と部屋を後にした。

 

 はぁ…。

 

 …

 

 シーン

 

 暇‼︎

 

 暇すぎて仕方ないからベッドにゴロンと転がっていた。

 

 するとポヨンポヨンしていた子もオレの隣で静かになった。

 

 え?寝てる?

 

 それにしても面白い生き物だなーと観察しているとドアがコンコンとなった。

 

 はーいと返事をするとドアの外から美しい声で、

「失礼いたします」

 とそれはそれは美しい方がドレスで現れた。

 

 

 えええっ⁉︎

 人間…じゃないっぽいけどかなりの美しさだ。

 

「ご挨拶が大変遅れて申し訳ございません」と丁寧に挨拶をされた。

 

 名前は、ジェーンというらしい。

 

 ジェーン…

 

 声からして女性だけど名前だけ聞くと男性っぽい…

 

 でもさ、でもさ、

 あぁ、この国に来てよかったわーってとにかく思うよ〜。ま、選んできたわけじゃないけどさ…こんな美しい方にお会いできただけでも最高っす‼︎

 

 帰り際美しい方の後ろ姿を見て少しびっくりした。

 

 青鬼見た時ほどじゃないけどさ…

 

 尻尾生えてた。

 

 イッヌサマとは、少し違うな。

 

 ネッコサマ⁇

 ふわふわのもふもふだぁ。

 

 さ、触りたい…なんて変態大暴走中です!でも触りたいって思ってるだけだもんね!誰にも迷惑かけてないもんね!

 

 なんて脳内言い訳中…

 

 ジェーンが振り向いて恥ずかしそうに

「さ、触りたいのですか?」

 と言ってきたじゃないかーー‼︎

 

 やばい…心の声聞こえるパターンのやつーー⁉︎

 

 続く。

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