第10話 王城制圧

 第二王子がヴァンパイアロードに転職したことによって、外見まで変わってしまい、「ゴッファアアアッ!」とか言って口から蒸気吐く系統の人物に。


 天下も取ってしまうそうで、天下の方が王子の肉体を欲しがっているそう。


 まあ、そうこうしていると七魔将が突出して来て、エルフ王国の次はウチの王都に来た。


「七魔将を倒したと言う勇者をっ!」


 また呼ばれて首に縄掛けられて「引っ立て~~~~いっ!」と言われて囚人服と魔封じの首枷付きで連行されたけどやらない。


「は? 俺、七魔将なんか倒してないですよねえ? 勇者とか賢者とか聖女ってのが倒したんですよね? ギルドマスターとナベワタが叙爵して出世? 俺、相かわらず平のゴミクズで何にもしませんよね? ソイツらに依頼すればいいでしょう?」


「何を言っておるのかね、君にしか七魔将は倒せない、さあ、早く出立するのだ」


 エルフ王国を滅ぼして、略奪の限りを済ませ、乙女戦争みたいに股ぐらやケツからの出血が少ないか、元からガバガバの太平洋で、輪姦されても平気な奴しか生きられない。


 英気を養った魔王軍は、他の都市ブッチギリでうちの王都へ向かっているらしい。


 補給と略奪の為に何か所か街道沿いを進み、真っすぐ王都へ向かっているそうだ。


 周囲の都市じっくり攻略してからじゃなくて、本国からの命令か、タナトスぶっ殺した奴生かしとくと士気にかかわるのか、真っ先に俺ぶっ殺しに来た模様。



「さあ~? 倒せてない物は倒せてないですから、手柄横取りして叙爵したゴミとか、手柄総取りで昇爵した貴族に行って貰ったら?」


 鼻ホジして耳もほじくって、「アーアーアー今日耳日曜」とやってやると恫喝して来た。


「君の家族もいるのだろう? 行かないと大変なことになってしまうよ?」


「衛兵っ!」


「引っ立て~~~~いっ!」


 数に物言わせて、槍突き付けて剣突き付けて、勝ったつもりでニヤニヤしている貴族。


 俺は魔封じの首枷を実力で排除してやり、数十人いた衛兵全員にフィニッシュブローをぶち込んで倒してやった。


「で?」


「何故魔封じの首枷がっ?」


「あのねえ、低レベルのゴミが作った首枷、役に立つと思った?」


 貴族共が少し静かになったが、実力行使の輪が縮まるだけで、対して変わりはしなかった。


「往けえっ!」


 次の百人が肉の塊に代わっただけで、そちらも変化なし。


 こちとらアンデッドになる覚悟できてるのに、命とか立場が惜しい奴と勘違いしてるみたいだなあ?


「で?」


「誰かあるっ! こやつを捕らえて七魔将の軍の前に置いて来るのだっ! 褒美は思いのままだぞっ!」


 肉の塊にされるのが決まってるのに、出て行こうと言う馬鹿は居ない。


 七魔将の軍の前に置いて来ても、投降して魔王軍に入るか、アンデッドになって本格的に魔族入りするとか思えない訳?



「勇者や賢者を名乗った者は、誰よりも早く周辺国に亡命して行った。手柄を総取りした貴族も、自分の領地に帰って魔族への恭順を必死に言い出して居る」


 誰も発言しなくなってから、王様がぽつりと言った。


「はあ……」


 王族弑逆とかできないでいると、フェニックス一輝みたいに鱗か羽みたいなのが飛んで来て、俺を出撃させたくてたまらない貴族を切った。


「ゲエエッ、まさかっ?」


 そうするとヘルシングかヴァンパイア物みたいに、コウモリが飛んできて合体し、第二王子になった。


「フハハハハハハハッ、我が強敵(とも)マーシを捕らえようと言うのか? では一体誰が七魔将を倒すと言うのかっ? 笑止千万っ!」


 ホールの中央に、オーラか気によるものか、身長5~10メートルに見える第二王子殿下が出現し、大張調で立った。サンライズ立ちする勢いで立った。


 一般兵士とか貴族など、普通人の150センチ程度。大して王子殿下は身長10メートル近い。


 一般人とアーマードトルーパー並みの身長差と実力差。


 ヴァンパイアロードになってさらにレベル上げして、経験値倍加のアイテムも複数貸し出しているが、シンゴジラみたいに胸の奥が赤熱していて赤い。


 相変わらず口と鼻から「ゴッファアアアッ!」と蒸気吐いていて、炎のブレスとか放ちそう。



「おっ、おのれっ! とうに毒殺して殺したはずっ! 迷い出たかっ?」


 第一王子が語るに落ちてくれて、毒殺を自供した。


「兄上っ! 毒殺を自供なさいましたなあ? 王族弑逆で死刑だっ!」


 王子殿下が下段突きを放つと、ランドクルーザーか一軒家ぐらいの拳から出た気が「ゴウッ!」と音を立てて飛んで行き、第一王子どころか派閥全員を破壊した。


「あべしいっ!」


「ぼぐじゅああああっ!」


 どれが第一王子かは分からなかったが、爆散した死体とか脳脱した残骸が、壁や天井に向かって行き「びちゃあああっ!」「ぱぐしゃあああっ!」などの崩壊音を出して粉砕された。



「ヒイイイイッ! わらわは何もしておらぬっ!」


 他の貴族同様、逃げ出して亡命するのを阻止されたと思われる、第一王女派にも鳳翼天翔みたいなフィニッシュブローが放たれた。


「おごああああっ!」


「ぱんでもにうむううっ!」


 第一王女派ごと、悪は滅びた。



「ヴァ、ヴァンパイアロード……」


 鑑定眼がある者が、王子殿下をヴァンパイアロードだと看破した。


「さあ、マーシの手柄を盗んだ者、全員粛清してやるから掛かって来いっ!」


 クイクイと指を動かし挑発すると、そこからはボス部屋から出られないようにされた冒険者みたいな貴族達。


 ガリアンかボトムズ並みにロードローラーで移動して、ターン用のパイク突き立てて回転し、腕射出するための薬莢出して「ロードローラーだっ!」みたいなゲーム版みたいな掛け声入れて、千切っては投げ千切っては投げ、初回に俺の足枷手枷外しに来てくれた貴族や大臣以外は、全員上下左右に千切られて葬られた。



「お、お許しをっ、このわたくしがマーシを指導し、計画通り七魔将を討伐させたのであります、わたくしなくしては討伐など決して行えなかったのです」


「そうですっ、俺がいないとマーシなんか即首で、勤務を交代してやったからこそ首が繋がったのです」


 速攻で逃げたと思われた、ギルドマスターとナベワタが、生き汚く命乞いをしていた。


「フハハハハッ、こう言っておるがどうだ? 救ってやるか?」


「血吸って飲んでやるといいと思いますよ」


「馬鹿か~~~っ! この恩知らずが~~~~っ! この私の恩情を忘れたかっ?」


「手柄全部取り上げて、暗殺者まで送り込んできましたよねえ? 一体どこが恩知らず? 頭オカシイんじゃない?」


「俺にはそんなこと言わないよなっ? 毎回勤務変わってやったし、俺のお陰で出世したもんなっ?」


「俺はお前に手柄全部盗まれて、金も盗まれて、平の冒険者のままだ、頭壊れてんのか?」


「いやだ~~~~~~~~っ! 殺さないでっ、殺さないで~~~~~っ!」


「俺は悪くないんです、こいつがっ、こいつが全部悪いんです~~~~~~っ!」


 コイツラ本気でそう思っていそうだ。


「ガハハハハハハハッ」


 王子殿下はトマトか林檎でも絞り出すように、二人の血を絞り出して飲んだ。


「「ぎゃああああああああああああああああっ!」」


 二人は惨めな最期を遂げた。ヴァンパイアに血を吸われたので、その魂は救われずに永遠に彷徨い続ける。


「血よ、我の元に集まれ」


 謁見場は血塗れになったが、ヴァンパイアロードが命じると、一か所に集まって行き、全部吸われて消えて行った。


 残りの死体はカラッカラになって、水分すら残らなかった。



 いじめっ子君は一個70円のみかんと、一個200円の林檎を持っていました。いじめっ子君は林檎を握り潰してジュースにすると「次はお前の番だ」と言いました。さて、死体は幾つになるでしょうか? と言うオチになった。


 鑑定眼によるものか、心ある貴族や大臣将軍だけが残り、閉ざされていた出入り口が開いた。


「さて父上、我らは七魔将討伐に行って参ります、吉報をお楽しみに、ハハハハハッ」


 王子殿下は黄金バットみたいに笑いながら、コウモリに分解して王城を出て、ついでに俺も連れて行った。


 まあ、国宝の安楽の籠手貸してくれた王様の命令だし、王子殿下の命令だから行くか。



 七魔将陣地


「マーシよ、七魔将タナトスを倒した腕前、見せて貰うぞ」


「はあ……」


 既に警備網にひっ掛かっているので、全周防御している魔獣魔物がすっ飛んできていた。


「まず、雑魚が走ってきますんで「エリアサンダーブラストッ!」なんか使ってやると、神経焼き切られたのがスッ転んで後続の邪魔になります」


「ウム」


 王城では「脱ぎたがり、キンニク見せたがり」の習性により上半身マッパだった王子殿下だが、防御力を上げるためか、寒くなって来たのか、タンクトップを着込んだ。


 体脂肪率低いんだから、薄着だと風邪ひきますよ。


 ああ、もうヴァンパイアロードなので、異常耐性高すぎて風邪のウィルスの方が逃げるか?


 サンダーブラストでコケた奴らを踏み越えて、もう少し強いのやレジストしたのがやって来る。


「次は地球防衛軍的に歩いて後退しながら、次のを「ヘルトルネードッ!」これで大抵の奴と、さっきコケたのが死にます」


「うむ、良い手際だ」


「それでも飛び越えて来るのがいますんで、そいつが本当の強者。一の火太刀、次元刀。俺がぶった切りますか? 殿下の経験値にしておきますか?」


「ヨシッ、ワシが倒そう」


 金属リザードかと思えば、Z級のベヒーモスが来たでゴザルの巻き。


「ウオリャアアアッ!」


 あ~あ、素手でベヒーモスに向かっちゃったよ、大丈夫なんか、あの王子?


「ウオオオオオンッ!」


 ベヒーモスの断末魔の悲鳴が響いた。素手でベヒーモスの頭蓋骨砕いて、頭の形変える人初めて見たや。


 定位置はバミって無かったが、王子が帰って来て俺の隣の定位置に立った。


 もう魔獣共ドン引き、最終兵器のベヒーモスが、素手のヴァンパイアロードに撲殺されると思ってなかったのか、足が産まれたての小鹿になってガクガクブルブルしている。


『カイラッ、エキテレンカッ!』


 何言ってるのか分からない魔国語だが「前進しろっ!」とでも言ってるのだろう。



 お次は命令を聞く大型ストーンゴーレム(屋外用)が出て来た。


「コイツらは固いので、素手でやると拳を痛めてしまいます、とりあえず一刀両断」


 次元刀を放ってやると、ストーンゴーレムが足から切断され、前方に倒壊して数十体が破壊された。


「数が多いので、土系の魔法で始末します「土槍っ!」」


 地面から土の槍が多数生えて、ストーンゴーレムと一体化したり、中央の魔石を破壊されて停止した。


 いちいちEMETHだのMETHだのやってらんない。


「おお、見事だ」


 後方で最前線の地獄絵図を見てなかったのか、テイムされている魔物魔獣が突出。


「まあ、足の速いのが来て囲まれたら、後ろに飛んで包囲されないようにするか、どうしようもなかったら自爆して、周囲の魔獣がいなくなるまでひたすら自爆します」


 こちら側の二人には影響が及ばないと言うか、ダメージが低いので自爆してみる。適当に減らしたら後退。


「まあ、こんな感じで全兵力引き出してやって、こちらは疲れないように、魔力使い果たさないように、回復ポーションとか魔力回復ポーションでも飲んで、じっくり潰してやります「コキュートスアイシングッ!」このぐらいでやってみますか?」


「うむ、やってみよう」


 今回は王子殿下と二人三脚で潰して回ったので楽。特に追いつめられることも無く、七魔将の陣を半周ぐらいしてやって、敵方をほぼ壊滅状態に追い込んでやった。


『殺さないで、殺さないでっ』


 珍しく人間語を話す、ドイツ語を理解できるプライベートライアンの通信兵みたいなのがいたが、即射殺。


 幕僚とか参謀まで殺し尽くせたか?


「ええ~、相手が混乱してる間に、ドロップアイテムとか、装甲アイテム拾い集めておきます。まあ、国家予算とか王宮運営費の足しにはなります」


「うむ」


 ギルドでどれだけ泣き喚こうとも、俺がガメたドロップアイテムや金は没収できない。


 どれだけ「業務中の収穫物はギルドの物だ」と泣き叫んでも「へ~、ほ~、ふ~ん」と言って鼻ほじっていれば、書類上どうにもできないので、アイテムボックスの中の私物まで没収できない。



 七魔将本陣


『よくぞ来た、勇者よ、よくぞ我が配下の兵士全てを焼き払ってくれたな? これは褒美をやらねばならぬ』


 なんかヘッタクソな人間語で話す七魔将。周囲にも不死の配下なんかがいるのか、リッチだか不死王の骨が一杯いる。


『災いの時は来たれり、ヘルグラビティ』


 やっぱり「お主の命で贖うのだ~~っ!」系統の褒美らしく、十階梯魔法の重力攻撃。


「レジスト、打ち払え、怒りの力」


 レベル差があるので、軽くレジストしてやって、重力技も無視して廃棄。


『な、何故だ……』


 十階梯魔法なら、誰にでも効くと思った? 効かないんだよなあ。


 もしかするとタナトスの眠りも、異常耐性が高すぎて自動レジストしてしまったか?


『コキュートスアイシングッ!』


「レジスト、消え失せろ、氷雪の魔術」


『何故だっ? 何なんだっ、お前は~~~~っ!』


「はあ? チート無しの転生者ですが?」


 眠る暇すらなく転戦転戦、移動中だけ寝られて、次の日の定時までに出勤しなかったら遅刻。出勤時間までに帰り着かなかったら欠勤。


 フラフラで帰って来ても、お茶に阿片混ぜられてシャキシャキにカクセイさせられたり、受付嬢に魅了の魔法掛けられて、フラフラのまま翌日出動。


 ギルドマスターとナベワタにゲラゲラ笑われて蔑まれて、手柄も報奨金も全部取り上げられて働かされると、今の強さになる。


 他のギルド員で冒険者は、魔物に殺されたか、超ブラック企業で使い潰されて死んだ。



「殿下、コイツらは大抵、無限の修復力とか持ってますんで死にません。心圧し折っておいて、光速の殺し技で、こいつらが知らない殺し方で始末してやると死にます」


「左様か」


「まず最大加速で光の速さ超える寸前まで加速。敵の体に突っ込んで光速技で破壊して、他の世界と重複させてやって量子論的大爆発。とどめに特異点呼んでやって、マイクロブラックホール作って事象の水平線出してやって、ジェットで「ひも」にまで分解してやると消えます」


「う~ん? 其方の言う言葉は、この世界に無い物ばかりだ、理解できぬ」


「まあ、やってみましょう」


 その間にも、七魔将の一人や副官が、泣きながら十階梯魔法を叩き込んで来たが、その度レジストしてやったり「このワシの鋼鉄の肉体には、そのような寝言は通じぬ」と言って、腹筋のバウンド一つでリアクティブアーマーみたいな攻撃をして、反射魔法で吹き飛ばしていた。


「ファイナルベント」


 腰のベルトから電子音が鳴り、カードが出現してファイナルベント。


 大きなお友達とかの標準装備で、雪かきとか道路の補修と化する時の必須アイテムだ。


 今回も荒木調で那由多の距離を駆け抜けて、デコ出しのままセル画の髪の毛が左右に分かれ、今回は王子殿下と一緒に絡み合うように聖闘士走り。


「Wライダーキックッ!」


 仮面ライダーオーズとかWの最終回とか、ガンダム最終回のフル装備発進とか「男の劣情を催す」変身や発進をしてから、相棒が消えるのが分かっていながら変身。


 スローモーションで蹴り入れる間とか、思い出のシーンが走馬灯のようによぎったり、二人で歌唱する歌とか流れたり、敵のボスが爆散するまでに色々なシーンが回想され、一人取り残された主人公が泣いて「フィリップ~~~ッ!」とか言って場面転換。


 まあ、名前も知らない七魔将は滅びた。


 周囲にいたザコの不死者なんかも、マイクロブラックホールに吸い込まれて死んだ。


 その前にドロップアイテムなんかは回収した。

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