第45話

 漢字のテストのあとは、クラスが文化祭に向けて動き出していた。


 おれたちのクラスは、「なぞなぞの部屋」をやることになった。

 そして、おれとジュンとレイアちゃんとユウコちゃんで、賞品と残念賞をつくることになった。

 全問正解した人には、わりばしでっぽう。半分以上正解した人にはおり紙のくす玉。あとは残念賞で、おり紙のしゅりけんを作ることに決めた。

 おれとジュンがわりばしでっぽう担当で、レイアちゃんとユウコちゃんはおり紙担当だ。


 四人で机をくっつけて、おしゃべりしながら作る。

「漢字の五十問テストの百点、お父さんやお母さんにほめられたよ!」とおれ。

「うん、あたしも!」とユウコちゃん。

「わたしのお母さんはね、みんなで勉強してえらいねって言ってた」とレイアちゃん。

「あ、それ、ボクのお母さんも言ってた!」とジュン。


「そうそう。名前の漢字の意味、調べた?」とおれ。

「まだー」とみんな。

大夫たいふちゃんがいないところで調べたいわよね」とレイアちゃん。

「……お昼休みに、図書室に行く?」とジュン。

「図書室なら、漢字辞典あるよね!」とユウコちゃん。

「おれ、漢字辞典の使い方、わからないかも」とおれ。

「教えてあげるから、だいじょうぶだよ」とジュン。

「よかった! あたしも教えてね!」とユウコちゃん。

「お昼休み、楽しみだね!」

 レイアちゃんがそう言って、みんなうなずいた。



 お昼休み、みんなで図書室に行った。

「漢字辞典はさ、画数でひいてもいいけど、音読みや訓読みでもひけるから、好きな方でひけばいいんだよ」

 ジュンがそう言ったので、おれは「わ」で「和」をひいてみた。

「あった!」

 意外に簡単だった。


 書いてあることを読み、自分なりにまとめてノートに書く。

「すごい、漢字の成り立ちもかいてあるよ!」

 とおれが言うと、みんなも

「ほんとうだ! 知らなかった!」

 と言って、真剣に漢字の成り立ちも読んだ。

 そうして、おのおの、ノートにまとめていく。


 それぞれの漢字の意味を調べ終わって、おれたちは自分の名前の意味を考えることにした。

 おしゃべりしながら、やる。


「意味がたくさんあるよ」

「うんそうだよね。いろんな意味があるよね」

「まとめるの、難しいね」

「うん、でも、なんとなくイメージはできる」

「どうやってまとめようかなあ」

「調べた漢字の意味の中で、いいなって思うものに赤で線引くといいかも」

「やってみる!」

「知っていると思っていた漢字でも、深い意味があるね」

「あ、それ、思った!」

「成り立ちもけっこうだいじだね」

「うん、そう思う」


 おしゃべりしながらやっているけれど、調べた内容は大夫の前で一斉に伝えるつもりだから、お互い書いている内容はないしょなんだ。


「できた!」

「あたしも!」

「わたしもできた!」

「おれも!」


 ノートをぱたんと閉じて、みんなでにこってする。

 大夫に伝えるのがとても楽しみだ。

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