双樹の拳

 奏の母、祇蔵かなは、ざっくばらんな人である。

 奏の講習会行きをあっさりOKした代わりに、結果如何で即切ると約束をした。ある種現実的で、同時に残酷な性格とも言えた。

「……」

 その人を前に奏と双樹は長い事正座したままだった。非常に息が苦しい。

「どうしたの?食べなよ」

 と言っても正座しろと言われた訳ではないし、黙っていろと言われた訳ではない。

 普通に机を囲んで晩御飯中である。しかし奏と双樹はさっきから用意されたご飯を見詰めるだけで、箸を付けようとはしなかった。

「まさか仙人に成って、ご飯見るだけで栄養取れる様に成った訳じゃないよね?」

 動かない二人を見て、かなはからからと笑った。普段ならば竹を割った様な気持の良い笑い声なのだが、後ろめたさの有るこの時ばかりは居心地が悪い。

(あ~……やばい、こええよかあさん)

 かながテストの事を言い出さないので、逆に奏はかなりびくびくしていた。このまま言い出さないでくれないかな~、なんて淡い期待まで抱いている始末。

「お…おいしそうだな」

「味わって食べなさいよ」

 促されて、奏は箸を握る。緊張の為か、そんな普通の事すら手間取ってしまった。

「で?テストは?」

「ぐふっ!?」

 かなは、ほれ、と手を差し出した。

「けは…こふ…」

「奏くん、汚ないよ…」

 ご飯を呑み込む絶妙なタイミングで切り出されて、奏はせき込んでしまった。

(……ったく、性格悪いぜ。ここぞというタイミングで気を削いで来る)

「……ちょっと待っててくれ」

 奏は箸を箸置きに揃えてから立ち上がった。そして脇に置いてあった鞄を探る。

 僅かに手が震え、ジッパーが上手く動かない。双樹の不安そうな視線とかなの見透かした様な視線が、背中に突き刺さる。

「…はい。あんまり悪くない筈だけど」

「それは私が決めるよ。ん~……」

 奏からテスト用紙を受け取ると、かなはパラパラと捲った。その時間がやたら長く感じて、奏は座る事すら忘れていた。そして、裁定。

「悪くはないけど、あまり変わらないね。態々勉強する意味あるのかい?」

 かなの声は呆れる様な、笑っている様な、疑心の暗鬼を呼び覚ます様な声。

「う…」

『死ね』と言われたみたいな気がして、かぁっと一気に体の温度が上がっていく。

 それは焦りという麻薬。道を閉ざされる怯えが思考を支配し、嫌な汗が肌にべっとりと服を張り付けた。そんな『呑まれた』奏の様子を見て、双樹はぐっと息を呑み込んだ。

「おばさん。私の話を聞いてください!」

「おばさんじゃなくてかなさんって呼んでね、双樹ちゃん♪」

「ひゃい!?ごめんなさい」

 猫撫で声と鋭い眼光に黙らされ、双樹も出鼻を挫かれた。

(う~、やっぱりおばさん怖いよ……)

 双樹はかなが苦手な事を、細胞レベルで思い出した。肩と肩の間に首が埋まっていく。

(でも私がどうにかしないと!奏くんは、かなさんを前にしたら凄い頼りないし……)

「あの、少し聞いて下さい」

 双樹は喉が喉に張り付くのを感じた。体外、体内、全ての皮膚の上を血管が這い回っているみたいに心臓の音が聞こえ、外耳の回りで何かが鳴っていた。

「かなさん。奏くんの学力は上がっていると思います」

 けれども気力を振り絞り、意見を述べる。そうまでして双樹が意地を張るのは奏の為ではない。

 自分の為だった。かなはいずれ乗り越えないといけないと女の勘が言っていた。

「かなさんは奏くんの学力が上がらなかったら、奏くんを講習に行かさないと言っていた様ですが、奏くんの学力はちゃんと上がっています。点としては分かり辛いですが、内容を見ていただければ分かる筈です」

 とにかく『取り敢えず講習はお預け、受験勉強は自分達でも出来るだろう』という妥協点に持っていくのが自分の出来る最大の所だと決心した。

 そんな双樹の必死を感じてか、かなはにっと笑った。

「寂しいね。折角双樹ちゃんが来てくれて、楽しく食卓を囲めると思ったのに。そんなにしょうもない話をしにきたのかね」

 かなは全然寂しくなさそうに言って、双樹にテスト用紙を突き付けた。

「言っておくけど双樹ちゃん、説明が必要だったり、詳細を確認しないといけない様な物は『上がった』『出来た』とは言えないよ。出来るって言うのは本当に出来た時だけ。説明不要なそれだけを『本物』って言うんだよ。体面だけ言葉で繕った男なんて無様でしょ?」

「んく……」

「全部満点だったら、誰が文句を言う?全部合ってたら、双樹ちゃんは私に何か説明しようと思った?双樹ちゃんが此処に来た時点で、そう言う事でしょ?」

 かなはふんと鼻を鳴らす。双樹はやられたと思った。

 歯噛みするが、何かを言う前に潰された。ここからでは『点は低くても細かい要旨がある』と持っていかないといけないが、かなり丁寧に立ち回らなければ傷は悪化しかしない。しかもかなはチラッと双樹の鞄に目を向けた。

 それは牽制だ。困った事に鞄にはその『満点ばかり』の双樹の答案が入っている。それを言われると、苦しくなってくる。

「……でも」

 でも、黙っていても結果はきっと同じだ。

 だからもう、突破口だけを見据えて突っ切るしかない。何処でもいいから切り裂けと、牙をメチャメチャに入れる。

「でも、かなさんの言い方は乱暴だと思います」

「ほう?」

「『本物』になる過程と言う物が在るじゃないですか。奏くんはゆっくり進んでいますが、きっとそうなれます。今は伸び悩んで見えても、いずれ結果は出ます」

「双樹ちゃん。いつか、じゃないの。私はこのテストで結果を出せって言ったの。何度繰り返したって結果は一緒。それにね?本物になる過程って言ったって、学界で認められる論文書けとか、芥川賞貰えって言ったんじゃないの。たかが学校のテストで結果を出せって言ったの。『過程』が在るのは分かってる。そこで男見せる人も居れば大した結果を見せない奴も居る。双樹ちゃんは奏は後者だって言いたい訳ね」

「……何度繰り返したって?未来が分かるかのような言い様ですね」

「分かるよ。『本物を見極める』位。年の差ってのがあるから双樹ちゃんにはまだ難しいかもしれないけど、このままじゃ底が見える。今の積み重ねが未来になる。だから未来見るには今を見ればいい。双樹ちゃん。人には結果を出せる人とそうじゃない人が居る。それだけ。自分と一緒にしちゃいけないよ。いいかい?今、結果は出たかい?予言者めいた言い方がいやなら統計的な言い方にしようか?だから、次も結果は出ない。これで良いかい?」

「良い訳ないですよ、私は頑張っている奏くんを見ていました。それで大丈夫だ、次は大丈夫だって思ったから今此処に居るんです」

「頑張っているの何て双樹ちゃんも他の人も一緒でしょ?だから、駄目♪」

「駄目って、そんな!」

 この期に及んでニコリと笑うかなに、双樹はついカッとなった。

「一回で結論を出す人が居ますか?早計です!」

「……そうは言うけどね、双樹ちゃん」

 けれども無常。いや、平常か。双樹の言葉を引き出した途端、かなはにやりと笑った。

「あ……」

 途端、双樹はかなの無表情に恐怖し、自分が何をやらかしたのか理解した。

 今があり、未来が有るのなら、『過去』がある。その分量で、双樹はかなに勝てようか?

「何回も?見たよ。奏も、沢山の人も。中でも私は奏を十六年見てきたんだ。十年見ていない双樹ちゃんよりは知っている筈だけどね」

「っ!!」

 いや、勝てない。だから突き付けられるは残酷。ズキリと、双樹の目に痛みが走った。唇が震える。目頭が熱くなる。間違えた、失敗した、喰われた、見透かされた。

 人生の半分を否定された様な気がした。奏を助けられなかった悔しさ、何より望む道を掴めなかった後悔が胸の内で煮え滾った。

 双樹は、もう黙っていられないと言う熱さだけで口を開く。

「それは…確かに私はこの十年奏くんに会っていません!でも!私は奏くんの一番最近の頑張りを見ていました!一番近くで見ていました!奏くんは十年前と一緒で……何も変わってなくて、頼りないけど…お馬鹿だけど!でも優しくて強い男の子だった!」

「たかが一週間寄り添っただけで男の全部を知ったつもりかい?甘っちょろいよ!まぁ、可愛い小娘が目にするのは、きっと優しい男ばっかりだろうね」

「そん…そんな事……」

 ただ溢れ出るだけの灼熱は、冷水の一つで消失する。笑われた双樹は言葉を失い、膝の上で握った拳を見詰めた。論でねじ伏せられ、その上でからかわれた。

 人としての大きさが違って、悔しくて、悔しくて、悔しかった。

「でも…でも…」

 でも…でも…でも……奏くんは頑張ってた。奏くんは一生懸命だった。

 双樹は必死に次の言葉を探す。

 しかし腹に堕ちた数多の感情は、全てが曖昧。喉の熱さで悉く燃えて、霧散し、言葉としての生まれ方を忘れてしまった様。もう双樹はただ駄々をこねるしかなくて、でもそれは嫌で。ただ涙を流すまいと食いしばる事しか出来ない。

「話は終わりだね。さ、双樹ちゃん。楽しくご飯でも食べようか」

 そんな双樹を見て、かなは優しく言った。その言葉に双樹はビックリする。

 終わり?終わりってどういう事?奏くんと一緒に居られないの?

「待って!待って下さい!!」

 嫌だ…もう独りは嫌だ!

「けほっ……はっ……」

 けれども嗚咽と喉の熱さが邪魔をして、言葉は生まれない。

 声が出ない。代わりに耳鳴りが大きくなり、かながどんどん遠ざかっていく様に感じた。脚の下のカーペットがグズグズに溶け、異常な弾力を持った空間に投げ出された様な気がした。

(かなさんは意地悪だ……酷い!酷い、酷い…!)

 駄目だと分かっていても、不毛な言葉ばかりが双樹の頭を駆け巡る。横隔膜も震えてきた。こうなったら終わり。思考は廻らず、声も操れない。考論はただ同じ所を廻る堂々巡者。かなを解き伏せる筈だった剣は切っ先を見失い、無間に双樹を傷付ける。建設的な全ては崩れ、あらゆる過程が意味を成せず、その全てが形に成れず無為に死んでいく。

(皆も酷いよ。いきなり転校させられて、全部変わっちゃって……でも奏くんは優しくて……やっと帰って来れたと思ったのに!なのに……)

 いずれ言葉は輪郭を失い、溶解した熱で気持ちを焦がす呪いと成る。自身を殺傷し、他者を負傷させ、緩やかな自殺に世界を巻き込む。もう駄目だった。敵わなかった。

「うく……ぅ……」

(誰か……誰か助けてよ!)

 双樹は嗚咽を漏らし、十把一絡げの神に祈る。けれど何時だって何処だって、『誰か』が助けてくれる事何てない。誰か頼れる人が突如現れて双樹の危機を救ってくれるなんて馬鹿らしい話は子供だましでしかない。双樹だって理解している。だから泣いたのだ。

 だから……そう。自分を助けるのは自分で無ければ成らない。そうじゃなくては嘘だ。頼れるのは自分だけ、助けるのは自分だけ。そうでなくては人生は無為に成ってしまう。

 だから……そう。

「かあさん、双樹も。いい加減俺喋っていいかな?」

 奏は今、此処に居なくちゃならないのだ。今、此処に居るのだ。

「……奏くん?」

 奏がただ突っ立っているだけで双樹に助けられるのならば、奏にとって双樹は神様でしかない。そんな当事者無しの解決を、かなが許す訳もなかったのだ。

 奏を助けるのは、奏でしか、かなは許さない。

「どうしたの?奏。置き物に成ったのかと思ってたのに」

 だから途端に雰囲気が一変。双樹は自分が捌かれていただけなのだと理解した。

「で?アンタはどう噛み付くの?それとも犬の置物になっただけ?」

「奏くん……?」

 楽しそうなかなとは対照的に、双樹は不安で潤んだ瞳を奏に向けた。

 奏はその瞳を見つめ返すと、大丈夫だと頷いた。双樹はそんな奏の自信ありげな顔を見て、

「……もう、駄目なのね」

「どう言う事だよ!?」

 がっくりと項垂れた。しかし伏せようとした双樹の頭は、むんずと掴まれた。

「うわっ!?な、何ですか?かなさん」

 その犯人はかなだった。かなはにーと笑い、双樹にだけ聞こえる様に囁いた。

「だからまだ小娘だって言ってるの、双樹ちゃん。いいのよ、男を庇う事何てしなくて。困難を前に何とか出来る奴なら着いて行けばいいし、出来ないようなら見限りなさい。ただ、それを見守る位はしないといけないし、最期の瞬間までは信じ抜くのは最低限の愛よ」

「え?あ……ふぇ?」

 囁く声は聞いた事ない位優しい物。双樹の不思議そうな顔に、かなは笑うと手を離した。

「さて、奏。何か言いたい事が有る様ね。有るなら早く言いなさいな」

「説明なんてないよ。そのテストが俺の結果だ」

「へぇ、それはつまりきっちり諦めるって事?私立受験も、講習も全部スパッと。約束守れなかったんだからそりゃそうよね。良い子に成ったわね。奏」

「違う、聞いてくれ」

「奏くん?」

 かなは自分で言って、うんうんと頷いた。しかし奏は首を振る。

 そして奏は座り直して姿勢を正すと、頭が地面にめり込まんばかりの勢いで頭を下げた。

「ごめんなさい!約束守れなかった!でも講習に行かせて欲しい!勝手だと思うけど、次頑張ります!お願いします!」

「はぁ?」「奏くん!?」

 かなは何を甘えた事をと、こめかみをヒク付かせ、双樹は驚きで目をパチクリとさせた。

「自分で何言っているのか分かってるの?『約束は守れませんでした。でも約束は守って欲しいです』。そんな道理が通ると思ってるの?」

「申し訳ないです。次頑張るから。講習が始まって直ぐにテストが有るんだ。そのテストで結果を出すってんじゃ駄目かな?絶対に結果を出すから」

「小癪な事を言うね。今日の双樹ちゃんとの作戦会議で決めたの?帰随分遅かったものね」

「ごめんなさい。俺は結果を残してないから、許して貰う以外ない。でも!俺必死で頑張るから!双樹に言われたんだ!俺は不真面目だった。双樹に擁護して貰える様な奴じゃない。でも……だからこのまま終われないんだ!お願いだ!お願いします!」

 奏はやっと顔を上げ、かなの目を見た。

「アンタね……」

 かなの声が疲れている様に聞こえた。だから此処だとばかりに、双樹も身を乗り出す。

「奏くんが真面目にやるかは「双樹!黙っててくれ!」ひゃん!?」

 しかし、それを遮ったのは奏だった。

「奏…くん?」

「ごめん。でも俺が許して貰わないといけないんだ。説得とか、妥協するとか、そういう事じゃないんだ。『力を貸してくれ』って言っときながら、勝手でごめんな」

「奏くん……ううん。いいの。私こそ信じられなくてごめんね」

 奏は申し訳無さそうに謝る。対して双樹はゆっくりと首を振った。

「かあさん、俺は双樹の隣を歩きたいんだ。でもそれは、双樹が歩幅を合わせてくれるんじゃだめだ。俺が口臭に行かなかったら、双樹も講習に行かないって言ってくれるかもしれない。2人で毎日勉強して、成績だってあがるとは思う。でもそんな情けない俺じゃ、双樹の隣にはいられない。双樹は前を見てて、俺の遥か先を走ってて。俺はそれに追いつかないといけない。それで初めてちゃんと双樹の隣にいられる。それには双樹の行く夏期講習に挑戦して、追いつかないと意味がないんだ。お願いだ、俺にチャンスを下さい」

「…アンタって子は、つくづくヘタレてるね。人の目も見ずに許して貰おうだなんてね」

「ん。ごめん」

「全くよ……誰に似たんだか」

 かなは奏の顔を眺める。そして、奏の真剣で、しかし怯えを含む顔が、何時かの誰かのそれにとても似ていたのでつい吹き出してしまった。

「あははは。奏、アンタ『本物』の馬鹿だよ。女の子の為に突然進路を決めた事もそうだけど、一言も慰めないで女の子泣き止ませるなんてね」

 かなは実に愉快そうに笑って、奏と双樹の頭を撫でた。

「しかし馬鹿になったね。昔は愚にも付かないアホな屁理屈捏ね回してたのに。『謝るしかない』と来た。成長したのか、退化したのか」

「ぐ……あんあまり頭を触るなよ」

「そうだよ。出来ない時はドンと構えな。そんな土台にしか本物はない。寝ても生きても同じ一秒。必死に生きるなら何処までも行けるし、どんな苦境も跳ね返せるよ。どんな無様だって、失敗したっていい。結果さえ出せればね。泥啜ったって、地面這ったって、逃げ出したって良い。プライドを左手に握り締めたままならね」

 かなは奏の頭をぽんぽんと叩く。そして穏やかだが、真剣な顔で問うた。

「奏、アンタの『結果』は何?」

「だからずっと言ってる。双樹と同じ所へ行く。でも、まず模試で結果出す」

 これは心の底で決めた事。本能の赴くままの本物の答えだ。

「分かった」

 だから、かなは奏の額をこつんと叩き――

「だったらやってみな。その右手、離すんじゃないよ」

 にっこりと笑って見せたのだった。

「え?」「それって…」

 一瞬何を言われたのか、分からなかった。しかし直ぐに腰を浮かせ、顔を見合わせる。

「ありがとう、かあさん!」

「はぁ……凄い、奏くん」

 奏はぐっと拳を握り締める。双樹は思わず息を呑み、そして力なく吐き出した。驚き、しかし自然とさっきまでとは違う、人の温度をした涙に潤む。

「もういいから、ご飯食べな。二人とも」

「あ、はい。頂きます」

「頂きまーす」

 奏は無邪気にご飯を食べ始める。一方ドキドキが収まらない双樹は、無意識に奏の横顔を眺めていた。

「ごめんね、こんな単純な奴で。苦労掛けると思うけど、お願いね。人生どんなに卒なく生きても、いつか奇跡みたいに走り抜けないといけない時が来る。その時にごちゃごちゃ言い出したら殴ってやって」

「ふぇ?か…かなさ……」

 気が付いたらかなが隣に折り、申し訳なさそうに耳打ちしてきた。

 双樹は何を言われているのか察して、少し赤くなる。けれどそんな態度では恥ずかしいと思い直し、背筋を伸ばして頷いたのだった。

「はい。私の拳と引き換えにしてでも」

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