#19 ご主人様※

 ご主人様は商館を出て家に着くまで無口だった。


 新たな奴隷を買うことになって思うことがあるみたいだ。


 私はあなたに愛して貰えるのなら、別に気にしないのに。


 十分過ぎるくらい幸せなのに。


 幸せすぎてバチが当たりそうだ。


 だから受け入れられた。


 家についた時にはもう日が傾いていた。


 夕食の準備をしようと台所に向かおうとしたが、ご主人様は手を離してくれなかった。


 私はそのまま寝室に連れて行かれた。


 ご主人様はベッドに座り、私を向かい合う形で膝に乗せる。


 ご主人様と目線が合う。


 優しい目で見つめてくる。


 私はこの景色が大好きだ。


 ご主人様がぎゅっと抱きしめてくれる。


 私も抱きしめ返す。


 幸せだ。


「レイラ……大好きだよ。

 愛してる」


 面と向かって愛してると初めて言われた。


 私は胸がきゅーっとする。


 嬉しい嬉しい。


 それと同時に切なくなってしまう。


 そこからご主人さまの怒涛の愛の囁きが来た。


「レイラ……大好き……レイラ……愛してる」


 合間に優しいキスを挟みながら、ひたすら愛を伝えてくる。


 ご主人様が甘い言葉をささやく度に嬉しさと切なさが積み重なっていく。


 私も負けじと愛を伝える。


「ご主人様……大好きです……愛してます……大好きです」


 お互いに見つめ合い、キスをしながら愛を伝える。


「レイラ……好き……大好き……ずっと側に居てね……レイラ……レイラ」


 私の頬に触れながらご主人様が愛おしそうに見つめてくる。


 私は胸がいっぱいでいっぱいで仕方なかった。


「ご主人様……好きです……好き……好き……好き」


 言葉で愛を伝え、キスで愛情を伝える。


 ご主人様との境がわからなくなっていく。


「レイラ……レイラ……レイラ」


 ただただ、私の名前を呼んでくるご主人様が愛おしくてたまらない。


「レイラ……好き……好き……好き」


 まるで壊れてしまったかのように私を求めてくれる。


 それを見て私も壊れてしまいそうだった。


 その後もご主人様は私の名前を何度も呼び、好き好きと何度も伝えてた。


 そして私もその度に幸せの絶頂に導かれた。


 何時間経ったか分からない。


 もうどこがご主人様との境か分からない。


 このままドロドロに溶け合って一つになりたい。


 そして永遠にそのままが良い。







「おはよ」


 気づいたら朝だった。


 どうやらいつの間にか寝てしまったらしい。


 私は自分の状態を確かめる。


 相変わらずご主人様に抱かれたままだった。


 私は嬉しかった。


 一晩中、ひとつになっていたのだ。


 その嬉しさを伝えるようにご主人様をぎゅっと抱きしめる。


 応えてくれるように強く抱きしめ返される。


 ああ……もう……。


「おはようございます、ご主人様」


「昨夜は何も食べてなかったからお腹が空いたね」


 私はまだご主人様に触れられていたかった。


 ご主人様は私を抱えて立ち上がった。


 ああ、ご主人様。


 そのまま台所に連れて行かれる。


「コップを出すから、水入れて」


 私はご主人様に抱えられたままコップに水を注いだ。


 私は抱えられたまま水を持ち、ご主人様は果物を幾つか持ってソファーに座る。


「水飲む?」


「はい、ご主人様」


 コップで飲ませてくれるのかと思ったが違った。


 ご主人様はコップの水を口に含み、口を近づけてくる。

 

 私も口を近づけ、ご主人様のを受け取る。


 水と一緒にご主人様のが私の喉を伝って身体に取り込まれる。


 ああ、たまらない。


 上手く飲めなくて、お互いの口からこぼれてしまう。


 もったいない。


 ご主人様の口から身体をつたって垂れていく水滴が綺麗だ。


 私はその水滴をできる限り舐め取った。


「今度は私がやります、ご主人様」


 私は水を口に含み、ご主人様の口に移していく。


 ご主人様はこぼれないように私の口の中の液体を余すこと無く吸ってくれる。


 私のがご主人様の身体に取り込まれて嬉しい。


 次にご主人様は果物をかじった。


 ある程度咀嚼すると口を突き出してくる。

 

 私も口を突き出して、慎重にそれを受け取る。


 口の中で私の唾液とご主人様の唾液が混ざり合う。


 ご主人様を食べてる気がして興奮する。


 今度は私が果物を口に含み、ご主人様に口移しする。


 私が飲み込もうとしていたものがご主人様のお口に入り、喉を通り、お腹に収まっていく。


 私がご主人様の中に取り込まれていく。


「レイラのすごくおいしい」


 そんなことを言われたらどうにかなってしまいそうだ。







 お腹が満たされた後はソファーに座ったままご主人様の上でただただ座っていただけだった。


 ご主人様の胸に耳を当て、鼓動を聞いていた。


 頭が撫でられる。


 抱きしめられ、身体が押し付けられる。


 体温が心地よい。


 触れる肌が気持ちいい。


 ご主人様の匂いに落ち着く。




 






 心地よさで少し眠ってしまったみたいだ。


 ご主人様の胸の上でまた目が覚めた。


 安心した。


 そう、まるでそれが当然かのように安心してしまった。


 ご主人様は私のホクロを数え始めた。


 見つける度にそこに口づけしていく。


 ホクロの数だけ愛が注がれる。


 繋がったまま身体の向きを変え、ご主人様は背中側も数えていく。


 私は自分の身体にそんなにホクロがあるとは思わなかった。


 ご主人様が数え終わると私もご主人様のホクロを数え始める。


 ご主人様のホクロの数を知るのは私だけ。


 とても優越感を感じられた。


 ホクロの数え合いが終わってしまって、手持ち無沙汰になってしまったが、ご主人様は新しいことを始めた。


 私の肌に吸い付いて痕を付け始め、噛みついて歯形を付け始めた。


 ご主人様のものだと目印を付けられている気がしてたまらない。


 私もご主人様に目印をつける。


 気づいたときにはお互いの身体は目印だらけだった。






 身体を愛で合うだけで日が暮れ始めた。


 私達はまた口移しで食事を終え、お風呂に入った。


 お風呂に入っているときでさえ私達は抱き合っていた。


 1日中ずっとずっと触れ合っていた。







 お風呂を出て、ベッドに向かう。


 これから何が始まるかはわかる。







 私はもうご主人様なしでは生きていけない。


――――――――――――

この話は修正前のを読んで欲しい。


2024/04/15 性的表現を一部削りました。

修正前のはノクターンノベルズにあります。

近況ノートから飛べます。

https://kakuyomu.jp/users/sigma-N/news/16818093074852774009

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