#5 今後の方針

 深い眠りから覚めると、ベッドには俺1人だった。

 

 彼女は既に起きて、既に着替えて側に控えていた。


「おはようございます、ご主人様」

 

 布団の中で朝チュンを迎えられなかったのは残念だが、またチャンスはいくらでもある。


「おはよう、レイラ。

 早いね。

 本当は起きた時に横に居てほしかったんだけど」


「申し訳ありません、ご主人様。

 次からそう致します」


 次ね。

 

 少なくとも彼女は次があると思ってくれてるみたいだ。


 嬉しい。


 彼女の顔を見て、昨日の事を思い出す。


 とても幸せな時間だった。


 彼女も思い出したのか、顔を背けてしまう。


 可愛すぎだろ。


 第二回戦を始めたいが、初めてだったし止めておこう。


 ベッドから起きて、服を着替えようとすると、


「私にお任せ下さい」


 と着替えさせようとしてくれる。


「いや、自分でやるよ!」


 ちょっと大きな声が出てしまった。


 彼女がビクッとしてしまった。


「違うんだ!

 今、レイラに身体を触れられるとちょっと……抑えられる気がしないんだ」


 恥ずかしいことを言わされた気分だ。


「また、今度お願い」


「わかりました、ご主人様」

 

 彼女のお辞儀は深く長かった。


 彼女がどんな表情をしているかわからなかった。








 朝食を2人で取りながら、やるべきことを考える。


 一つ、金を稼ぐ。


 一つ、レイラの護衛装備を整える。


 一つ、月隠れのポーションの調達。


 直近でやるべきことはこの3つかな。


 金を稼ぐのは一応、考えていた。


 俺が貰った治癒の力で人を治療して金は稼げないだろうか。


「レイラ、聞きたいんだけど、治癒魔法って珍しい?」


「軽い傷を治すぐらいの治癒魔法は珍しくはないと思います。

 ご主人様のように私を治してしまうのは相当珍しいと思います」


 やっぱり、珍しいのか。


 治すのが難しい傷や病はよく考えてから治さないとな。


「レイラ、俺の力のこと黙っておいてくれ。

 この力は珍しいから俺が狙われる可能性がある。

 だからこそ、レイラを護衛として買ったんだ」


「もちろんです、ご主人様。

 多大なる恩を仇で返すはずありません」


 深々とお辞儀する。


「治癒魔法で商売が出来ないかって考えてるんだけど、治癒魔法で目を付けられないのはどの程度だと思う?」


「凄腕の治癒魔法使いは欠損部位を復活させることができると聞いたことがあります。

 教会に所属する治癒魔法使いは深い傷や病を治すのを仕事にしているので、その辺りではないでしょうか?」


 ふむふむ。


 神様に貰った力だから欠損部位の復活も出来る気がするが、それをしてしまうと目立ってしまうか。


「傷や病は教会が治してるの?」


「はい、一般の人達は教会に治しに行きます。

 治癒魔法が使える者は大体教会に所属しているので」

 

「教会で治癒魔法を独占してるの?」


「詳しくはわかりませんが、教会が治癒魔法でお金稼ぎをしているのは有名です。

 ご主人様も教会に所属すればお金は直ぐに稼げるでしょう」


 聞いた感じ、教会は弱者から金を巻き上げてる感じか。


 宗教関係は怖いからな。


「教会に属さないで人からお金を貰って治癒してたら、教会はなにかしてくると思う?」


「します。

 昔、心優しく実力のある治癒魔法使いがタダで人々を治していたら辞めるように迫っていました」


 レイラの語気が強い。


 教会は商売敵を潰しに来るのか。


「どうしたらいいと思う?」


「そうですね……。

 教会から守ってくれる後ろ盾があれば教会に所属しなくても良いかも知れません」


 マルロスの顔が浮かんだ。


 商品の奴隷に治療するのはありかもしれん。


 そして、後ろ盾になってもらう。


「わかった、ありがとう。

 話は変わるけど、レイラの護衛の装備を整えないとと思ってるけど何が必要?

 流石に武器なしじゃ心もとないからね」


 遠慮するだろうが、武器がないのは困る。


「そうですね……。

 武器さえあれば良いかと」


「本当に武器だけで足りる?」


「……防具なども必要かと思います」


 だよね。


「武器とか防具って高いよね。

 命に直結するし。

 どれぐらいする?」


「小金貨数枚はくだらないかと……」


 やっぱり高いな……


 金が必要だな。


「あの、お金が必要なら私が働きます!

 ご主人様は私のことを治してくださいましたし、恩を返したいと思います!」


 確かに、その手もある。


「それも金策の案の一つとして覚えておこう。

 もう一つ聞きたいんだけど、月隠れのポーションってどこで手に入れるの?」


「申し訳ありません、私にはわかりません」


 そうか、ならまず行くところは、


「マルロスさんのところに行こう。

 月隠れのポーションについてと治癒の仕事の相談について」


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