第23話
過去編
それからも、優くんは泣いて帰って来た。
私は覚悟を決めた。
もしもの時は転校しよう。
そして、もしみんなと離れて優くんが苦しんだら、その時は責められる覚悟を決めよう。
ーーーー
その日も優くんは何も教えてくれなかった。
だから、思い切った。
「優くん、何で泣いてるのか教えて!」
「嫌だ!!」
「お母さん、優くんの力になりたいの」
「嫌だ」
「お願い優くん!!」
「嫌だ!!」
優くん、そこまで追い詰められて、
そして、優くんを抱きしめる。
「お母さん」
「優くんが言うまで離さないから」
「・・・離してよ」
「嫌だよ。優くんが言うまで離さない」
「離して!!」
「嫌だ!」
ーーー
それからも抱きしめ続けた。3時間はずっと抱きしめて居る。
「そろそろ、離してよ。おかな空いたし、トイレ」
「離さいなよ。お腹が空くより、優くんの話を聞く方が大事だし、トイレはもうその場で漏らしていいよ。だから離さない」
「・・・っ」
優くんは、下を向いて悔しそうに涙を流して口にした。
「友達が、」
「友達が??」
「友達がお母さんをキモいって言うから」
母は後頭部を叩かれたような痛みを感じていた。強引に聞こうとしたのに、まさか自分の為に悩んでいたとは思いもしていなかった。
「ごめんね、優くん。私のために怒ってたんだね」
「・・・」
優は黙る。その通りと同意しているということだ。
「うぅ、ぅーー」
むしろ、母が優泣かないようにするための筈が、悔しさで自ら泣くようになってしまった。
「お母さん苦しい」
母はより優を強く抱きしめて離さなかった。
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