第1章 着到

朝9時、目覚ましがなる。枕の横にあるスマホを取り出してアラームを止める。「んうう…。」まだ眠い。寝ようかな。いや、今日は通販で2万もしたMA-1ジャケットが来るんだった。どうしようか。時間はいつ来るか指定してないし。と、思った矢先、インターホンが鳴り響いた。すぐに自分のベットから音に反応するようにバッ!!と飛び起きた。無意識にドアを開けて、自分の部屋を出る。インターホンへ向かう一瞬”解”の部屋が目に飛びついたが気配もせず、扉の隙間から見える鞄もなかった。恐らくは、もう学校へ向かったんだと即座に理解した。慣れてきたいつもの理解だ。インターホンの解除ボタンを押して玄関のドアを開ける。「おはようございまーす。○○便です。」宅配業者の持っていた段ボール箱は大きかった。「はーい。ありがとうございます。」そう言って、段ボール箱を貰った。ドアを閉めて鍵を閉じ、すぐさま段ボール箱を持ちながらリビングへ向かった。こんなに大きかっただろうか。まあ、ハイブランドだし。そう思い、ハサミを取り出して段ボール箱を開ける。文字通り、中には買ったMA-1が透明袋で梱包されて入っていた。しかし、その割には箱の端と服が異様に離れていた。その隙間には何か黒い曲線を描いたものが見えた。咄嗟に買った服を取り出して見えていた黒い曲線物を見てみる。そこには、黒い弓と矢と手紙だった。「なんだ……?」思わず口に出していた。実際に弓矢を見てみると思っていた以上に大きく自分の体半分のサイズはあった。また、手紙を取り出し、読んでみる。そこにはとても現実とは思えない内容が書いていた。

《政府公認。これは極秘ファイルであり、誰にも知られてはいけない。喜ばしいことに今手紙を見ているあなたが選ばれました。内容は以下を参照してください。1、8月20日N県Bビルの最上階で「アレン」、「伊田」、「雨奈」の超有名資産家3人が内密会議をします。2、彼らは悪徳資産家である。我々も10年間必死に処罰を下そうとしてきましたが、不可能な状態が未だに続きます。よって、1人暗殺するごとに報酬として30億円をあなたの口座に自動で振り込ませていただきます。3、暗殺の条件は弓矢で射貫くこと。それ以外は暗殺として認められません。認められない場合、殺人犯としてあなたを世間に公表します。4、これらを肝に銘じて、弓矢を忘れずにあるタワーマンションの地下室へ向かってください。適切な準備をさせていただきます。会社や学校の心配は無用です。政府自ら上手く言伝しておきます。

命は保障します。では、健闘を祈ります。》

文の下には地図があった。いつも図書館へ向かう時に利用する駅の向かいにあるタワーマンションだ。疑問だらけだった。これは危険への誘いだ。誰が見てもそう思い、行くのをやめるだろう。しかし、私は違う。むしろ、こういうことを望んでいた。たとえダメ元でも。自然と口角が上がる。気付いたら立ち上がって外出する準備をしていた。「今すぐ向かってやる!」気持ちが変わらないうちに!さっそく買ったMA-1を着て〇×駅へ走った。走りながら極秘文の内容と自身の過去を思い返していた。

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