第2話 手渡されたマグカップ

 すみません。もしかして少し怖いかもしれません。

 第1話と同様に、私が家族と旅行に来ていた時に経験した不思議なお話です。

 どれくらい前かとかは、誰のことを言っているのかを特定されてしまいそうなので隠させてもらいます。


 旅行に来ていたある日。私は夢を見ていました。

 起き抜け……? 起きる直前に見た短い夢です。でもすごく印象的な夢でした。

 なぜならある有名人が夢に登場したからです。


 私はその人のことを夢に見るほど想ったり、好きな感情はありませんでした。

 なので印象的だったのです。

 皆さんはそういう夢を見ることって普通にあるかもしれませんが、私はありませんでした。

 しかも私の大好きな友人からもらった、誕生日プレゼントのマグカップを手渡してくれるという内容で、起きてからも不思議な夢を見たなぁと心に引っかかっていました。


 実はその日、私が夢を見ていた時間帯かは分かりませんが、その方が亡くなったらしいのです。

 それを知って怖いとは思いませんでしたが、その事実は特別ファンではなかった私にとっても酷くショックでした。


 もしかしたら私が寝ている時に、部屋の外でその話題に触れている宿泊客がいて、寝ながらにして聞いていたから夢に見たのかもしれません。

 当時の私もそう考えました。

 ただ何となく、そのマグカップは大切にしようと心に決め(もともと宝物でしたが)、お家に帰ってきました。

 そしてここからが不思議な体験になります。


 自室に戻ってテレビをつけた時です。

 当時はまだサブスクがなかったので、旅行をしていた期間に放送された番組を機械を使って記憶していたのですが、なぜか独りでにその機械が作動して、以前のものがぱっと画面に流れ始めたのです。


 それだけでもおっとなりますが、誤作動なんてよくあることです。

 ただ画面に流れて映った人がその方だったのです。

 そこまで偶然が重なるのかは不思議でしたが、私はそれ以降この方を改めて意識して見るようになり、魅力に気付くことが出来た1人になったのでした。


 それでオチというか、マグカップ。

 なんと帰宅してキッチンに向かうと、母が割ってしまっていたのです。

 私はボンドでくっ付けると言ったのですが、もう破片を処分した後だったので泣く泣く諦めました。


 まぁ、マグカップくらい自分で洗わないと駄目ですね。

 何年かたってこの話をその方が好きそうな友人に話してみたのですが、「なんでりほこに報告するのっ」と大爆笑されてしまいました。


 うう、本当それ。全くその通りで、自分で話しておいて恥ずかしい思いをしました。

 やっぱり部屋の外で誰かが話題にしていたのでしょう。って当たり前か!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る