七月 海に行く

 七月になって梅雨もあけたとある休日に零子れいこ優一ゆういちは海水浴に行くのであった。


「ほら見てよ、優君。真っ白な岩がいっぱいたってるで。うちこれ何回見ても感動するわ。これが和歌山のエーゲ海、白崎海岸やよ」


「なあっすごいやろ。ほんま車で一時間ぐらいはしったところに別世界あるんやもんな。なあ、優君きてよかったやろう。ほな、大引海水浴場にいこか」


 二人は白崎海岸の絶景を堪能したあと、大引海水浴場に向かった。


「晴れてよかったわ。さっきの白崎海岸もよかったし、こっちもなかなかええ海のいろしてるわ」


「ほな、優君荷物もってな。やっぱり男の子おったら心強いわ。荷物いっぱいもってくれるもんな。ほんなら、パラソルそっちにたててくれへん。うちはレジャーシートひくわ」


「ありがとうな優君。ほんでバスタオルも引いて。クーラーボックスそっちにおいてな。飲み物なに飲む? あははっ海にきてまでコーラなん。ほんま優君コーラ好きやな。まあ、コーラは何にでもあう最強飲料やもんな」


「さあ、お昼たべよか。痛んでもたらあかんからな。うち、おにぎりつくってきたんや。アルミホイル巻かれてるやろ。具はな、ツナにおかかに梅干し、塩昆布やねん。ちゃんとマジックで書いてるやろ。ほんならさっそくいただきまーす(ぱくり)」


「クーラーボックス入れてたからひやこいけど、けっこう美味しいな。ほらほら優君、急いでたべるから喉つまるねんで。って喉つまってコーラはやばいって。うちのウーロン茶あげるさかいに」


「落ち着いたか。ほんならよかったわ。いい塩加減で美味しいって。せやろ、うち料理は好きなんよ。こんな派手な見た目やけど家庭的なんや。優君家庭的な女の子は好き?」


「あははっ照れてもうて、ほんま優君はかわいいな。さて、お腹もふくれたし(脱ぎ脱ぎ)」


「ジャーン!!」


「優君これ見てよ。新しいビキニ買ってきたんや。ほら、右の胸のとこ見てよ。ひまわりの柄になってんねん。めっちゃかわいいやろ。前に雑誌の撮影で気にいったから、買ったねん」


「ほれもっとうちの水着姿よう見てよ(ぷるぷると体を揺らす音)」


「うち、スタイルええやろ。これはほんまお祖母ちゃんに感謝してるねん。実はお祖母ちゃんはアメリカで女優やってたねん。今でも検索したらでてくるねん。その血をうけついでるさかいな」


「さてさて、ほんなら優君、日焼け止めぬってくれへん」

 ごろりとバスタオルに仰向けに寝転がる。


「ほんなら、ビキニの紐ほどいてくれへん。何、どうしたん? 緊張してるの。ほんまかわいいな。うちこれでもモデルやからな。日焼けは天敵やねん。濡れもれないようにしてな」


「ハッアンッ……。ごめんごめん、なんか変な声でてもうたわ。日焼け止めおもったよりひゃっこいわ。ええよ、でも日焼けはしたらあかんからね。ちゃんと塗ってな」


「ハウッ、アッ、アンウウッ♡♡」


「うんっ、今のはわざとやで。優君興奮した?」


「あたたっちょっとそんなごりごり塗らんといて。う、うちがわるかったから堪忍してや」


「ありがとうな。ほんならビキニの紐むすんでくれへんかな。あ、ありがとう。これで優君、いつでもうちの下着つけたり外したりできるな」


「ほんなら海いこか。めっちゃきれいやで」


 バシャバシャバシャバシャ(海水をかけあう音)!!


「はーほんま楽しいな、優君。またよな」

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