初めまして。
この度は『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画にご参加いただき、ありがとうございました。主催者の島流しにされた男爵イモです。
公開されている内容は一通り拝読致しました。
オカルトとミステリーを掛け合わせた作品ということで、従来のこの系統の作品の良さを踏襲したうえでオリジナリティが加えられていた印象です。大まかな構成としては各章の謎を解決しながら、冒頭にある十夜の秘密の真相に迫っていく形でしょうか。ここまで導入として話が上手く機能しており、安心して読み進めることができました。文体はウィットに富んでいて良かったかと。物語の構造に関しても目立った瑕疵はなく、作品の滑り出しには好印象を抱きました。
気になった点としては二つほど。
一つ目は主人公と成澤の距離について。警察関係者が、参考人と近しい関係になるのには違和感があります。作中の雰囲気として、頻繁に喫茶店を訪れているようにも読み取れますし。話があるならば任意の出頭命令を出して、主人公を署に呼びつけるでしょう。とりわけ主人公は一連の事件の被害者ではないので、そこまで成澤が接近する必要性(私情を除く)はありません。なるべく違和感の少ない場面に演出するなら、「成澤が喫茶店前に、自家用車で乗り付ける」というのはどうでしょうか。車内での会話、あるいはドア越しのやり取りの方がまだ自然かと。あとは今後の展開で成澤(警察)がさほど重要でない場合は、「個人的な興味で主人公に近づく酔狂な探偵」という設定に変更しても良いかと。そうすれば、成澤の肩書きを変えるだけで済みますし。
二つ目は淡泊な展開について。
ここまで読んだ限り、10話あたりから物語が軌道に乗った印象です。言い換えるのなら、それ以前の話は読者を引き付ける力が弱いように思います。原因としては、事件を考察する材料や伏線(ミスリードも含む)が登場しないことが挙げられます。必要最低限の情報のみ(二重先輩の謎や、主人公を取り巻く人間関係)が開示されるので、読者側が勝手に想像を膨らませることが難しくなっているのです。現状を改善するために、適度に情報を追加してみてください。たとえば通り魔事件の詳細の追加や、主人公の心理描写をさらに掘り下げるなど。なにかしら本作ならではの特性が序盤でアピールされると、読者の心を掴むきっかけが増えるのではないかと考えます。
最後に気づいた範囲で誤字脱字報告を。
第1話より:「肩まで切りそろえられた栗毛色の髪の毛」→「肩までで」
:「人の合間を塗っていく」→「縫っていく」
第2話より:「体育の先生も融通を聞かせる」→「利かせる」
第3話より:「人間がなりすましているのかいいか」→なりすましているの「が」
:「なぜなにの解を貪欲までに求める」→貪欲「な」までに
第5話より:「四十代ほとで、」→四十代「ほど」
:「ただ、完全な目撃も」→目撃「情報」
:「彼は体制を前かがみにし」→「体勢」
第10話より:「わざと似たり寄ったりな格好して格好して」→言葉の重複。
以上になります。
作品の改善や補強について、ご一考いただければ幸いです。
作者からの返信
こんばんは。企画からお越しくださり、ありがとうございます。
丁寧な批評のコメント、ありがとうございます。拝読させていただきました(誤字脱字の報告までありがとうございます、修正させていただきました)。
まず全体の評価についてですが、そのようなお言葉をいただけたことを大変、嬉しく思います。
一つ目(成澤との関係性)、二つ目(展開が淡白)。客観的かつ的確なコメント、ありがとうございます。ともに書いている私では気づきにくい部分でした。一つ目については今後の展開と練り合わせながら、二つ目についてはもう一度最後まで読み直し、早急に手直ししていきたいと思います。
最後になりますが、公開分まで読んでいただき、ありがとうございました。いただいたコメントを反芻しながら続きを書かせていただきます。
(追記。男爵イモ様の「内なる獣が俺を殺す」、拝読させていただいています。文体も世界観にマッチしていて、とても惹かれました。完結済とのことで、少しづつ読み進めさせていただきます。)
一挙に解決と思いましたが、今の段階では絞り切れない感じですね。オカルトの線が消えただけでも前進と言えるかもですが。
作者からの返信
焔コブラ様
コメントありがとうございます。
そうなんです。誰がとはっきり特定するために、情報収集回はもう少しだけ続きます。