第29話 アウラの力
『配信お疲れさまです~英雄殿~』
『イレギュラーダンジョンでの大活躍すごかった!』
『無事で何よりだよ~!』
『ニュースにはなってなかったけど、俺達は英雄殿の活躍を見届けたぞ!!』
配信が始まってすぐに応援コメントが無数に届く。
暗黒獣の配信から温かいコメントがたくさん届くようになって本当に嬉しい。
そんな中、目立つコメントが流れる。
『後ろに幼女がいる!?』
『ダンジョンに成人してない子供を連れ込むのって犯罪じゃなかったっけ?』
ダンジョン成人法。
ダンジョンに入場するのは成人になってからしか許可が出ない。
入口で厳しい年齢確認がされ、探索者のライセンスなどで年齢を証明する必要があるのだ。
ライセンス自体はとても簡単に作ることができて、身分証明書的なものが特殊な技術によって簡単にできるので、ほぼ年齢確認しかされないのだ。
でなければ、俺みたいなハズレ才能で最弱だったにもかかわらずライセンスが作れなかったからね。
「皆さんに紹介します。こちらはアウラ。色々あって俺が身請け人になりました。こう見えても実は――――成人しています」
『すげぇええええ! 幼女にしか見えねぇwww』
『冬様といい勝負か……?』
「おいっ。私とアウラちゃんの
冬ちゃんがムキになってカメラに寄る。
「ほら、ちゃんとライセンスもありますよ」
アウラちゃんの代わりにライセンスを見せる。
そこには成人のマークが書かれている。
実はこのマーク。生まれてから十八年が経過すれば付けられる特殊なもので、
見た目は五歳児くらいに見えるが、推定年齢はなんと――――五十三歳。ただ、精神年齢は五歳児と変わらないようで、魔族は人間より寿命が長いのかもしれない。
「それと、ずっとイレギュラーダンジョンに捕まっていたのもあって、彼女はまだ日本語が上手く喋れないのでよろしくお願いします」
『アウラちゃん~! 可愛いよ~!』
『幼女! 幼女!』
「幼女はやめて!?」
リスナたちにアウラを紹介して、狩りを始める。
雰囲気を感じてもらうように、一層で魔物を集めてくることに。
アウラちゃんは咲の手を握ったまま、少し不安そうに眺めていた。
配信は基本的に配信主に付いてくるが、設定の仕方によってメンバーを追いかけさせることができる。
今はアウラちゃんを思って咲にしている。
一層の魔物を集める時、黒衣のベルトを使ってベチッと叩いて注意を引いて集める。
二十体くらい集めてアウラちゃんたちが待っている場所に行った。
「&#%$&“%&!?!?」
アウラちゃんが大きな声で驚いて俺を指差しながら咲の手を引っ張った。
魔物に叩かれているのが気になるようだ。
そりゃそうだよな……普通、魔物にボコボコにされながら歩く人なんていないから。
「アウラちゃん? 大丈夫だよ? ユウマくんはすごく強いんだから!」
「#%$&#%%“&!?」
「ただいま~レナ。冬ちゃん。よろしく頼む」
「任された!」「はいはい~」
レナと冬ちゃんが走り出そうとしたその時――――
「――――%&#%$#!!」
前に出したアウラちゃんの両手に魔法陣が浮かび上がり、爆炎の刃が二本飛んできて、魔物を一気に殲滅していく。
『アウラちゃんつええええええ!?』
『魔法使いだったんか! すげぇな!』
『ファイアスラッシュ!? 一瞬で使えるとか、とんでもない魔法使いじゃん!?』
まさかアウラちゃんが魔法を使えるとは思わず驚いたが、よくよく考えてみれば、あの悪魔と同じ魔族なら魔法が使えてもおかしくないよな。
以前レナに聞いた話では、魔法使い系は魔法を使うまで集中する時間が必要だという。
咲が使う補助魔法だって一瞬では使えない。とくに二重掛けになると使うまで少しの間集中せざるを得ない。
それをほぼ集中なしで魔法をダブルで撃つ。しかも強い魔法らしく、Bランク魔物ですら一瞬で半分になってしまう。
「%#$&$&!!」
魔物を殲滅したアウラが真っすぐ俺に向かって走ってくる。
すぐに俺の足に抱きついた。
「%$&#?」
「心配してくれるのかな? ありがとう。でも大丈夫! 俺、硬いだけが自慢だから!」
「先輩は、防御力は高いですけど、攻撃力は低いですよね~でも金属スライムを倒せたんですよね?」
「うん? そうだね。俺が持ってスキルのせいだと思う」
「う~ん。あまり聞かないスキルだけど、それで補助魔法がよく効くとかかな……? まあ、そこはおいおい解明していきましょう」
何かを考察しながら遠くを見る冬ちゃん。たまに見せる大人っぽさが彼女の魅力の一つだ。
レナもやってきて一緒にアウラの頭を優しく撫でてあげる。
「これならアウラちゃんも一緒に戦えそうだね?」
「うん。あまり戦ってほしくはないけどな」
「ふふっ。可愛いからね~でも本人が戦いたいならいいんじゃないかな?」
「そうだな。アウラ? 無理はしちゃダメだからな? あと助けてくれてありがとう」
「%$&#!」
頭をポンポンと優しく撫でてあげて、続けて狩りを再開した。
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