第5話 恵美と

「みせてもいいけど、どうせ恥ずかしいとこみられてるし」

 恵美はボタンダウンの裾をまくると、スカートの前立てのボタンを外した。が、ファスナーを半分降ろして手を止めた。青い縞模様のパンツがちらっと見えている。

「ただじゃいやだ」

 え、お金取るの、それはちょっと……。


「あ、違う違う。キスして」

 びっくりした。それぐらいならお安い御用、というより俺もうれしいし、亮は恵美の体を抱き寄せた。

 恵美とは二十センチくらいの身長差がある。恵美は目を閉じると上を向いた。

 ほんのすこし震えている。可愛いと思う。


 航は恵美に唇に唇を重ねた。いい香りがする。つまり恵美は準備してきたというわけだ。

 舌を絡めるのはまだ早いだろうと思う。その代わりにぎゅっと力を入れて抱きしめてみた。思った以上に華奢だ。


 恵美がおずおずと航の背中に手を回す。こういうのもいいな、久しぶりに中学生らしい恋愛だと思う。

「脱いでも襲ったりしない?」

「しない、でも加藤がしてほしくなったら」


「そっか、その可能性あるかも、じゃあ脱がない」

「それは、詐欺だ」

「仕方ないなあ、見るだけだよ」

 恵美はスカートを落とした。ついでボタンダウンを脱ぐ。


「でもさあ、私だけが脱いでるって変だよね。住谷君も」

「男の裸なんか見たいか、鍛えてもいないのに」

「んー、だって見たことないから」


「そっか、じゃあ」

 パパっと素っ裸になった。ブリーフ一枚よりは恥ずかしくない。

「あれ、なんか思ったよりつまんない」

「でしょ、女の子みたいにセールスポイントがないから」


「恵美のが見たい」

「見たでしょ、お風呂上がりの」

「でもほら、距離があるから。よく分からなかった」


「今日はここまで」

「けち」

 けちというのも違うような気がしたが、つい亮の口から出た言葉だ。


「うそよ」

 恵美は亮に背を向けるとブラジャーとパンティを脱いだ。

「ほかの人と比べてどう」

 どうせもっと恥ずかしい姿を見られているということかもしれない。恵美は見せびらかすように胸を突き出した。


「きれいだよ、だけどみるだけじゃ」

「そういうこと言うなら見せてあげない」

 恵美は背を向けた。

「見たい」

 亮は後ろから恵美を抱きしめると耳元で囁いた。


「きゃ」

「馬鹿くすぐったい」


「ねーその私のお尻にあたっているのなあに」

 もちろん亮の大きくなったものなんだけれど。

「恵美が可愛いから、こんなになっちゃった」


「触っていい」

「いいけど、触るよ俺も」

「我慢できる、絶対しないよ」


「やめる」

「そうだよね、もうすこしたったら」

「って可哀そうだから、なんか最近はやりのしてあげよっか」

「流行の、って」


「ディープスロート」

「え、」

 えーっとその映画は中学生が見られるものではないはずだが、と言いながら亮もしっているし、クラスのみんなも知っている。


「やってみたい、してほしくない」

「そりゃあ、してほしいけど」


 パクッ。レロレロ。





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