プロローグ

 エリンジウム大陸コロニラ王国は、小国ではあるが、ダイヤモンド、ルビー、エメラルドなどが産出する鉱山を保有している。そのため観光客も多く来訪する賑やかな国だ。


 世界の始まりは、原初の神、エビネが海に浮かぶ大陸を8つに分け、子供たちに与えた。

 エビネの第二子エリンジウムは貰い受けた大陸をエリンジウム大陸と名付け、月の女神エキナセアに神秘の国『コロニラ』を、太陽の神ソラーレに誠実の国『ルドベキア』を、海の神ハマナスに希望の国『エレムルス』を、愛の女神ルピナスに『サンビタリア』を、美の女神アマリリスに『カトレア』を管理するよう命じた。


 5カ国は互いに警戒しつつも、良好な関係を築いていた。

 そして、それぞれ神聖力の発現を今か今かと待ち侘びていた。

 そもそも神聖力を持つ聖女または聖者というのは、約300年に1度起きる惑星直列の日に生まれた子供の中で、特別な浄化の力と精霊や聖獣を従える力を持って生まれてくる者のことだ。この事を知っているのは、各国共にごく一部の重鎮だけが知る機密だった。


 前回の惑星直列が18年前、コロニラ王室とエキナセア教会はこの日に生まれた子供たちを密かに監視し続けていた。それは、いつ聖神力が現れるのか分からないため、監視するしか方法がなかったのだ。

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