第6話 結婚?

 りなと付き合うことになって、始めての週明け。

月曜日のだるさは変わらない。満員電車は変わらず嫌いだよ。


 今日はりなに合わせて出勤。りなは、朝のミーティングが毎週月曜日にあるらしい。このミーティングってさ、月曜日の朝早めの出勤を要請してさ、ほんと何の意味があるんだろう?


 たぶん引き締め効果狙いってことだな。こういう風潮もくだらないと思う。月曜日くらいは出勤遅らせようか?みたいな社長っていないのかな?


 少なくとも俺は週末のほうが頑張れる。それに休日出勤反対!!有休は必ずみんな規定通りに取得する。それこそが今の時代に合ってると思うけど…


【はると、なにブツクサ言ってるの?】


【あっ、いや。月曜日って嫌だよね?】


【そう?私は嫌じゃないよ。月曜日ミーティングだけどそれぞれ意見言えるチャンスだし、その出勤分早く帰れるからね】


【そうなの?それは理解力のある社長だね!】


【社長って若いし社員思いなの。有休も好きなように使えるし、代休とか言われないから】


 それは羨ましいぞ。代休ありきのうちとは大違い。やはりしっかり管理してるんだろうな。その分だらしないとかは駄目だろうけどね。


 それは当たり前かな?月曜日に遅刻って絶対印象悪いもんね。だらしないことの典型だからね。


【また、ブツクサ言ってる…はると。私との出勤つまらないの?】


【違う!違う!あのね、だめなんだよ。月曜日って】


【へんなの…はると】


……………………………………………………………


【はると、じゃあね。今夜家に行くね。両親のお土産持ってく】


【ああ、気をつけて】


 りなは駅で降りたが、俺はまだ時間ある。りなにバレないようにあとをつけた。何故なら問題の男がりなに近づく可能性がある。


 りな、普通にしていても、スーツ姿似合ってるなー。やっぱ、可愛い。本人には言わないけど。つけあがるから。


 大丈夫そうかな?とりあえず職場についたみたい。この先は…仕方ない。考えていても。


 あっ!あいつ。解る。たぶん、いや、間違いない。

うちの近くをウロウロしてたやつ!


【おい、ちょっといいか?】


【はい?何でしょう?】


【お前さ、昨日、うちの近くをウロついてたよな?】


【え?何のこと?人違いでは?】


 その男はさっさと行こうとするが、とっ捕まえて、一言。


【あのな、りなは俺の彼女だ!お前が前からウロつきてること解ってるんだよ】


【なんだよ、人違いって言ってんだろ?だいたいりなに彼氏がいるなんてないんだよ!!俺がりなの彼氏なんだから!】


【何いってんだ、お前?りなの彼氏?あるわけ無いだろ!】


 騒ぎが大きくなり、人集りが…りなの会社の警備員が出てきて、


【何かありましたか?】


 俺は正直に、りなのストーカーだと。そいつは否定しているが、ほぼ確信している。


 警備員がりなの職場に連絡、りなの上司が出てきて、その男と俺を商談室に案内、警備員も。


 俺は全てを話した。そいつは、黙っている…

うつむいて何も離さない。卑怯だな、こいつ。


上司がついに、はっきりと、言い出した。


【君の行動は入社以降、ちょっとね、問題がある。こちらの男性の言う通り、女性社員にいろいろとね。それに、何人も…】


 何だと?りなだけでは無かったのか!さてはとんでもない女好きだな。それも相手の気持ちを無視した…とんでもないやつだな。


【すみませんでした!悪気はなかったんです。どうしても早く彼女ほしくて、ほんとすみません】


 上司が理由を聞いた。高齢の両親に早く安心させてたかった。凄く結婚を重要視している家系らしく、焦っていたと。なんだ、ストーカーじゃなかったのか…良かったよ。


 とりあえず何か起こした訳ではないし、この場で解決ということに。上司が今後もしっかりりなのことを職場では見守ってくれると、その男も本当に反省して二度とりなに仕事以外では話しかけないって約束する内容を書かせた。まぁ、大丈夫かな?


 その男と交代にりなが呼ばれた。りなはびっくりして、


【はると、何でいるの?騒ぎってはるとなの?】


 上司が事情を説明、その男のことも、今後のことも全て。りなは、安心して、そして恥ずかしそうに…


【すみませんでした。こんな騒ぎに…はると、大袈裟にし過ぎだよ】


【いやいや、有り難いじゃないか。こうやって自分の奥さんを守ってくれる旦那さんって】


【部長、私、結婚してないですよ。話、飛躍しすぎです】


【だって、いずれは結婚するんだろ。こんな旦那さんなら素晴らしいよ。ハッハッハ!】


そう言って部長は出ていった。


【はると、今度はこういうときに言ってよ!】


【ごめん…りな】


【心配してくれたことは…ありがとう】


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る