第4話 デート

 約束だった。だったけど、眠い…これラブストーリーなら絶対寝るな。寝る!な映画何見るのかな?


 二人で歩いていると、りなの友達が、ニヤニヤしながら声かけてきて、


【りなー、彼氏?いつから!紹介してよ〜】


【ごめんね、今度紹介するねー、今日はね、これから映画だから】


【ラブラブだね、今度、絶対だよ】


 おい、何で彼氏になってんだ?そんな話はありっこない…ってこともないのか?とにかく、りなからは聞いてない。でも、りな、何で否定しなかったんだろう。俺とりなでは釣り合わない気がする…もちろん、りなのほうがどう見ても上だよ。


【はると、飲み物買ってこう】


【ああ、ところで何の映画見るの?】


【見てからのお楽しみ!間違いないからさ】


 派手なアクションなど頼む。眠いので。飲み物を買って二人で、さて、おおっ!これは、ホラー?


【これ。りなの見たかったの?】


【恐くてさ、一人じゃ見れないからね】


 それは俺も苦手なんだけど、確かに話題にはなってるよね。この映画って。始まると初っ端から、背後に何か出てくるような、音響も工夫され、とても不気味。これは怖い…とても怖い…


 時折あがる悲鳴に似た感じの声が…りなは?

意外と平気なんだな!ほー、感心したよ。度胸ある?って目をつぶってみみ塞いでるじゃん。


 お前何のための映画だよ!損してんじゃん。だったら家で見ればいいのに…


【りな、ほら見て、耳から手を離して】


【キャー!もうやだー!】


 凄い力でしがみついてきた…く、くるしい…

こんなに力あったのか?とにかく落ち着いて…

くるしい…まじで、ちょっと、ちょっと…


【りな、力弱めて…抱きついていていいから】


【…ごめん…キャー!でた~😭】


おいっ、泣くことないだろ。お前。


【もうやだー、出るー!】


【解った、解った、出よう。もう恐すぎだね】


 二人で途中退出。映画で途中退出って、つまらな過ぎは解るけど、恐すぎでって、おっ、何人も…


【りな、大丈夫?】


【はると、誘っておいてごめん…疲れた…】


 そうだろうね、あれだけしがみついて、あれほどの力で。


【もう、大丈夫?気分転換に何か食べに行こうか?】


【恐すぎて、お腹空いた…】


空いたのか、りな。じゃ、食べに行こうか?


【はると…お兄ちゃんみたい、面倒見の良い…】


【お兄ちゃんなら映画見に来ないだろ】


【そういう兄妹いるかもよ】


りな、大丈夫そうだ。もう絶対にホラー見ない。


【この映画さ、配信開始したら、今度はるとの部屋で見ようよ】


【見れるの?無理だろ、懲りてないな、りな】


 何か寂しそうに、しょぼーんとしてる。こういうの見ると可哀想になっちゃうんだよな。俺、悪くないけど悪者になってるような。


【解った、解った!今度見ようね。俺の部屋でね。そこなら安心して大騒ぎや大泣き出来るからね】


【やったー、ありがとう!はると、優しい!そういうとこ大好き!】


 飛びついてきて、大喜び。それにしても、軽い大好きだな。間違いなく友達に言う大好きだな。


 これ、他人が見るとカップルじゃない?りなはそれでいいの?俺のこと恋愛対象じゃないでしょ?


 さっきも友達に否定しなかった…そう思ってるのかな?それもそれでいいかな?性格も悪くないし、見た目は明らかに…いいね!


【はると〜、何、食べに行く?りなは何でも食べれるよ】


【どこも混んでるから、空いてるとこにしよう】








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る