第2話 気がついたこと

暑い、とにかく暑い。満員電車って何故こうも、

暑いんだよ。


【りな、大丈夫?暑くない?】


【………】


【りな…どうした?】


【………気持ち悪い………】


 ヤバいっ!こうなるよな、ここまで暑くて混んでると何人かは具合い悪くなるね。俺は、


【次で降りよう。遅刻は仕方ない】


【はると…私は大丈夫…先に行って】


【気にしないで】


 次の駅で降りた。りな、辛そうだ。貧血かな?

休ませて、飲み物を自販機で買って渡した。

少し落ち着いたみたいだ。良かったね。


【ねぇ、はると…】


 なんだ、りな。こんな甘えた声出したことない。

それほど具合悪いのかな?可哀想に。


【なに、りな?】


【寄りかかっていい、少しだけ…】


【いくらでもいいよ。汗かいでるけどな】


【ありがとう…少しだけ…】


 さっきの元気な、りなとは大違い。なんか、こんなにも物静かな、りなって始めて見たかも。

俺は遅刻だから、会社にメール入れよう。叱られるよな、なんて言っても月曜日に遅刻って、とてもとても印象悪い。いや。有休取らせない会社が悪い!


 暫く、メールをしていると、寝息が…りな、

寝てるの?りなは遅刻のメールしたのかな?

熟睡してる…起こさないでおこう。暫くは。


 この電車混雑で有名だけど、もう少ししゅっきん時間ズラすとかならないものかね。リモートとか、オンラインとかあるのにさ。りな、起きたみたい。


【りな、大丈夫?】


【はると、なんかごめんね。付き合ってくれて】


【いいよ、昔から貧血気味だよね、りな】


【私、朝礼で倒れたもんね】


【覚えてる。俺が保健室に連れて行くはめに】


【今日も迷惑かけちゃった…】


【迷惑とか思うなよ。それほど気を許してるってことだろ?別になんの問題もない】


 りな、見つめてきて、おい、何だ何だ!

焦るぞ、そんな風に見てきたことないだろ!


【はると、優しい…一緒にいると心地良い…】


 何だろ、この雰囲気…いつものりなじゃない。

そして、俺も焦ってる。汗も出てくる。


【りな、あのね、俺汗臭くなってると思うから、

そろそろ離れたほうが、周りの人も見てるし…】


【私は平気だよ。はるとの汗だもん。それに見られても気にしない。はるとは、嫌なの?】


【嫌とか無いけどさ、りなが気にならないなら】


【じゃ、もう少しこのままでいさせてね】


 そういうと、りなはメールを。あっ、会社にね。

遅刻確定だからね。


 ちょっとだけ、りなを女性として見てしまった。

変に意識して、明日からどう接すればいいかな。


 幼なじみなんだけどね。まぁ、大人って訳だし、

こういう気持ちになっても不思議ではないね。


 りなは、俺に寄りかかって平気だよって、

どういう気持ちなんだろ?

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