昏い檻、真っ白な未来。高三の夏、僕は親友を失った。

高三の夏。
僕と親友はよく【檻】と呼ぶ隠れ家にいた。
ある日、親友は川で亡くなってしまう。

―――――あれは不幸な事故…ではない?

僕は隠れ家で、怪しい【檻の男】に出逢う。
その男は親友のことを知っているようだった…

僕は亡くなった親友を思い、
卒業を目の前にしながら前に進めない。

【まだ何も描かれていない。紙の真ん中に、鉛筆を一本立たせる。これが僕だ。突然、こんな白紙の世界に放り出された】(本文より)

白紙のままではいられない。
何かを描かないといけない…
高校生のままではいられない。
変わらないといけない…
重なるプレッシャーと…【恐れ】。

僕が抱えていたものの正体とは?

親友の死と、隠された想い。
冒頭の昏さが晴れていくような爽やかなラスト。
僕の内面の葛藤と不安が見えてくると共に
真実が明らかになっていくようなミステリー。
表現がとても繊細で、すうっと心に残ります。
素敵なミステリーです。お勧めします。