記憶喪失になった幼馴染が、厨二病をこじらせてます

春白 ルナ

第1話  お前は誰だ!

 俺の名前は、秋谷 圭人(あきたに けいと)。高校2年だ。俺は今、とある病院の一室にいる。本来であれば今頃、沖縄の海でサーフィンでもしていただろう。そんな俺がなぜ病院にいるのかというと、幼馴染が階段から足を滑らせて記憶喪失になったからだ。俺は、未だかつてこんなにも焦ったことはなかった。家族を沖縄に残して、ほとんど不眠不休でこの病院に来た訳だが、ここに来たことを猛烈に後悔していた。


「クフ、クハハハハ、そうか封印されてしまったか、俺の魔力は」


 この厨二病全開のやつが俺の幼馴染の早見 司(はやみつかさ)だ。


「あの、司どうしたんすか」


「それがね〜よくわからないのよ。でもほら、うちの子前から少し変なところあったでしょ〜、だからあんまり変わらないわよ。それより、圭君ごめんなさいね〜折角家族で旅行に行ってたのに」


「いや、それは全然平気なんすけど…」


「こ〜ら司!折角圭君がお見舞いに来てくれたんだから挨拶ぐらいしなさい!」


「なっなんだお前!まさか、魔王の手下か!」


「は〜、困ったものよね〜親の顔も覚えてないなんて。私のこと魔王の手下なんて言うのよ」


「司、ほんとに全部忘れてるんすか」


「本当に全部忘れてるらしいわよ。まあでも元気そうだし良かったわ~。あらっ!もうこんな時間!ごめんなさい圭君。予定があるからもう帰るわね。司、しばらくは入院する予定だから、たまに会いに来てあげて。それじゃあまたね」


 司の母さんはいつもと変わらないな。それに比べて司は、どうしたんだよ。お前、確かにたまに変なこと言い出したりしてたけど、そこまでじゃなかっただろ。


「魔王はもうすでに俺の居場所を突き止めているのか?くそッ、魔力を封印されていては魔王がどこにいるかすらわからない!」


 もう、お前誰だよ!!



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る