掃き溜めのリベラ

那珂乃

　廻谷（めぐりや）高等学校は、初代学長にあたる私の祖父が学校法人『鳩（はと）ノ（の）巣（す）グループ』を立ち上げてから、最初に開校した教育機関です。

　東京の喧騒（けんそう）を離れ、森林に囲まれた穏やかな立地に校舎を構えたことにより、生徒が望んだ活動に集中できる環境作りと、効率的な指導を行うための諸設備を充実させる取り組みを徹底した学校運営が今日（こんにち）まで実現できています。

　これまでに政治、経済、芸術、スポーツなど、さまざまな分野の第一線で活躍する卒業生を数多く輩出しており、より専門的な教育を可能にするべく、廻谷大学などの系列校も都内各地に展開してきました。

　また、系列校や提携企業だけでなく、校舎がある籠森（かごもり）町との繋がりを大切にすることで、町の将来を担う人材の育成にも積極的に励んでいます。

　そんな本校も、来年度で創立五○周年を迎えます。

　ソーシャルネットワークの急速な発展といびつな変化にともない、あふれかえった情報と思想主義の飽和によって、本来尊重されるべきだったはずの個人の意思が相殺されていく、言わば『個性の平坦化』が進んでいる昨今。

　廻谷高校ではこれからも、いかなる時流にも囚われず柔軟に対応できる『自分だ（"Liberal）けの（For）自由（You"）』を追求し、広い敷地と少人数体制を生かした他校ではできない学習体験や、授業のみならず部活動や学内外のイベントを通じた、仲間との一期一会の交流機会をひとつでも多く与えられるよう、教職員一同、尽力して参ります。

　現代を生きる子どもたちに最も必要なのは『自立しようとする心』です。

　社会へ飛び立っていく子どもたちの健やかな成長を、保護者の皆さまとご一緒に、この学び舎で育（はぐく）んでいきたいと存じます。

　　　　　　　　　　　　　廻谷大学付属廻谷高等学校三代目学長　鳩ノ巣正道（せいどう）