月刊誌奇々怪々録6月号より※現在廃刊
今月特集予定でした「異との遭遇記録」は諸事情により来月以降と変更させて頂きます。申し訳ございません。
女の絵
今回、本誌が取り上げるのはこちら
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特に上手くもないただの女性の絵である。本誌が出処の不明なこの絵を取り上げた背景には、ある噂話がある。
その噂話とは
「この女の絵が送られると全く同じ女が部屋に出る」
というものである。
所謂「呪いの手紙」的な噂話。
ネット全盛期の現代では、少し時代遅れという感じもするが、この絵はメールやDMでも効果があるのだという。
ただ、今は全世界、どこでも誰でもSNSで情報を見ることができる。
そして本誌が調べた限りでは、ネット上でこの絵が送られてきて
「実際に部屋に出たのを見た」
という人は皆無なのである。ということはこの噂は、「嘘」だと言う事可能性が高いのだ。
世の中には、そんな作り話や偽物が多いのだが、調べているうちにこの絵には気になる部分がいくつかあった。
・噂の出処が全くわからない(何年頃からこの噂話が広まったのかも不明)
・絵の出処も全くの不明(ネット上で広まっている呪いの絵等は大体が何らかの作品であったりすることも多い)
・地域によって噂の内容にばらつきがある
スルーしておけば良いものの、本誌の編集者であるN氏はどうしてもこの絵、噂について調べたいとの事で趣味の写真撮影の為にとっていた貴重な休みを返上し、調査に当たった。
改めて伝えるが、本誌から休みを返上しろとは言ってないない。
N氏の自主的な行動である。本誌はブラックでは無いので勘違いしないように。
特に面白い話も出ないだろうと誰も期待していなかったのだが、N氏は興味深い情報を集めてきたのだ。
この絵は〇〇県〇〇市(諸事情により名前は伏せる)にある古アパートの一室で見つかったという。
そのアパートには、ある写真家が住んでいたらしいのだが、借金生活に耐えられず夜逃げしたのだそう。
そこからどんな経緯があってこの絵が流出したのかは分からないのだが、元々この絵は絵では無かったらしいのだ。
N氏の調査によれば、元々は絵ではなく、女性が写っていた写真だったという。
その写真を、誰かが絵に描いたものが例の女の絵だというのだ。
誰が描いたのかは分からない。
N氏が人脈をフル活用して、元の写真を探したのだが見つかることはなかった。
ただ、その写真。聞くところによると、全くこの絵と同じなのだという。写真なのに絵と同じとはどういうことなのか。
大体お察しになったかと思うが、この絵、まさにこの姿の女性が写真に映されている。
ということは、この女性は実際に存在していたということなのである。それも、全く同じ姿で。
あり得ないと思ったかもしれないが、本誌はこれまでもあり得ないと思った話をたくさん聞いている。
なのでにわかに嘘だとも言えないのだ。
更にN氏は調査を進め、この噂が広まったのが、2006年頃からだと突き止めることができた。
当初の噂は現在とは少し違っている。
この絵を見た人のところへ、この女性が現れる。
ただ、その姿は絶対に見ることができない。この女性はあなたが目を瞑っている時、その瞬間のみ、あなたの前へ姿を現す。
というものだった。
特に呪いとかだとかは無い。ただ現れる。
しかし、こういう話には大体疑問がつきまとう。
本当に現れるなら、その人が目を閉じていても誰か一緒にいる人が見るんじゃない?
カメラとか仕掛けてたらわかるんじゃない?
なんてところだろう。
野暮な質問である。ホラー好きの皆さまには分かるだろう。
それで見えないから怪異なのだ。
大抵、このタイプの「見たら現れる」「話を聞くと姿を見せる」系統の話は該当者以外の人には影響がない。
いわば、当事者の脳や精神に影響があるものだと本誌は考えている。なので、実際にこの現実世界に姿を現しているという訳ではないのだと解釈しているのである。
このあたりの話は長くなるので、いずれ特集でも組もうと思うので楽しみにしてほしい。
とりあえず、この女性が現れるという怪異は証明のしようがないのだ。
更に、最初に絵の元となった写真がどのようにして写されたものなのか、何故、絵として残っているのか、それは分からない。
ちなみに、実は〇〇地方で広まっていたこの噂には続きがあり、「ある行為」をすると、この女性の姿を捉えることができるらしいのだ。
ただ、代償があまりにも大きい為、その方法は本誌では発表できない。我々で実際に試してみることもできていない。(いずれは試してみたいと考えている)
と、いうことで謎の解明の為、本誌ではアパートに住んでいたという写真家の○○○○○さんを探している。
情報があれば是非とも御連絡下さい。
ちなみに、この絵は不特定多数に見せるような雑誌、SNS等では効力は発揮せず、女性が現れることもないというが、上で述べたように、確認することはできず、真偽は定かではない。
もし何か起きた場合、本誌にクレームを入れないようにご注意頂きたい。
※後日写真家の○○○○○が■■■■ており、現在情報提供は受け付けておりません。
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SNSやサイト「こわいはなしあつめました」で絵を見ることができますが、責任は持ちません。
このサイト、雑誌の情報お待ちしています
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