第42話 異世界生物 発見!

 リュノと朱里ちゃんと共に、大樹さんが経営するキャンプ場に着いた。

まさかの本日2回目の訪問である。

 

 まずは状況を把握するため、大樹さんに扉の開閉状況を説明してもらうことになった。

この時には大樹さんは魔力譲渡の効果が切れていたが、リュノへのスムーズな状況説明と、何かあった時に娘の朱里ちゃんと俺とリュノの助けになりたいと強く希望されたので、先に魔力譲渡をすることになった。


そうして、説明してもらうと、扉はおよそ1時間前に開き、それから動いていないとのことだった。

フラウ姫達が帰ったのが昼過ぎで、今が19時を過ぎているので、別件なのは間違いないし、もしフラウ姫達が戻ってきて伝達の魔道具が壊れていたとしても、ミズハ隊長ならそれだけの時間があればリュノの元に辿り着けるだろうとのことだった。


やはり正体不明のものが来て、こちらの世界に留まっている可能性が高そうなので、予定通りリュノが偵察に出て、俺たちはこのキャンプ場で待機していることになった。


『じゃあ、サクッと行ってくるね』

『リュノ、慎重にな。リュノに何かあったら嫌だからな』

『!カズマ…ありがと!』

『そうよ、リュノさんが無事に帰ってこないと、和真君はさっきのリュノさんの姿を堪能できなくなるからね!』

『ごふぁあっ!』

『いやぁ!朱里ちゃん忘れてぇ!…ってゆうか、カズマ!そうゆうことなの!?』

…朱里ちゃん何てことを…リュノは真っ赤になった後、ぷくーと膨れてるし。

しかしリュノ、あれを朱里ちゃんに見られたのは一生の不覚だと思うぞ…


『朱里?和真君?何の話?』

『それはねぇ…』

『うわぁ!今必要な話ではないので、気にしないで下さい!』


 大樹さんに伝わるのを何とか阻止し、リュノは丸太小屋に向かっていった。

はぁ、無駄に疲れた…



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 さっきの話題から逃げるように丸太小屋に向けて出発したリュノは、思い出して顔を赤くしむぅーと唸りながら、早まってバカなことをしたなぁと反省していたが、

「ま、やってしまったことはしょうがないよね。それより調査に集中しないと」

と早々に気持ちを切り替えた。

(この楽天的で引きずらないところがリュノの良い点であり、やらかしが減らない原因でもある笑)

そして魔力による索敵を行いながら進むと、何者かが丸太小屋の近くの狭い範囲から動いていないことに気づいた。


…う~ん、反応のある場所は畑にしたところぐらいかな?

まぁ動き回ってないのは偵察するには助かるよね


 そうして目視可能な範囲まで近づいたリュノが、木の陰からそろーっと見ると、小さいものが畑の上でもぞもぞ動いていた。


とりあえず無事に発見したので、ひとまず伝達の魔道具でカズマ達に報告だねっ


『あー、もしもし、こちらリュノ。目標を発見したよ。今日整えた畑のところに居るね。ただここからだと畝の間に入って良く見えないんだよね…

体も小さくて感じる魔力も少ないから、脅威は小さそうなんで、もうちょっと近づいてみようと思う。良いかな?』


『うー、うん。無理しないように。慎重にな。』

了解らじゃ


よし、了承も得たし、近づいてみよう。

…畝の凹部に居るから、見下ろせる位置に行こうかな。


身体を小さくして木の陰を利用して浮かび上がり、木の葉で身を隠しながら近づいた。


そうして慎重に見える位置から覗いてみると…


はぅあ!あれは!!!


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 リュノから近づいて確認するという連絡が入ったあと、待っていると、


『うわぁ!やばい!!全部喰われる!!カズマ、取り押さえて良いかな!!?』


とリュノからの悲鳴と焦った声が聞こえた。


『リュノ、大丈夫なのか!?』

『私は大丈夫だけど、畑が!!あぁ!!』

『危険がないなら、今から向かうけど良いかな!?』

『う、うん!早く来て!』


朱里ちゃんと大樹さんと共に丸太小屋に急いで向かうと…


『な、なんだあれは…』

そこには、リュノに捕らえられた、もぞもぞ動く巨大な枝豆が居たのだった!

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