第5話 カズマの魔力と受け渡し(2)

『だ、大丈夫か!?』

『駄目、死んじゃう…』

『お、おいっ!』


焦って手を伸ばそうとすると、

『ぐぇぇ、くそ不味マズい~~~』

とリュノは涙目になって嘔吐えずいていた。

orzリュノ


『……』

『……魔力は…かなり増えてるけど、2度と口にしたくない…』

『………』

『見た目通りの、いや、見た目以上の不味さね…。こんなの姫様に紹介したら不敬罪になってしまうわ…』

『……おい』

『あぁ、カズマじゃなくって、あの澄んだ水色の魔力をしていた女の人のものなら美味しかったかもしれないのに!神様、チェンジで!!』

『……ひど過ぎない?』


思わず涙目になると、

『ごめんごめん、冗談よ。でもホントに不味くて。このままじゃ無理だわ』

と苦笑したリュノがこちらを見たあと、なぜか顔の近くまでバッと飛んできた。


ち、近い…!

急に間近に来たリュノにドギマギしてると、ちょっと思案したリュノがいきなりゴツンッと頭突きしてきた。


「『いってぇ~!』」

急なことに潤んだ瞳からポロッと涙が零れ、何しやがると感じている間に、リュノはさっと涙をすくってゴクンと飲み込んでいた。


『これは!さっきの丸薬よりは魔力少ないけど、染み渡るわ!涙目が凄いキラキラしてるって感じたのよ!不味くないし!』


そうして憮然としているこっちをよそに、リュノはハイテンションになっていた。

そして、

『ねぇ、カズマ。泣いてくれない?』

と言ってきたので、

『…協力はなしで良いかな?』

と半眼になって問うと、

『ちょ、冗談よ、本気にしないで!』

と冷や汗を流しながらハハハと乾いた笑いをした後、


『すみません、調子に乗りました』

とリュノは深々と謝罪していた。


…さて、このポンコツお調子者、どうしてくれよう。好奇心旺盛で後先考えず動いちゃう性格なのと悪気はないのは分かるけど、ちょっとふざけが過ぎるから、このまま単に許すのもなぁ。

と考えていると、リャノが謝罪した状態から目を上げてそろ〜っと伺ってきた。……ふむ、効くかどうか分からないけど、反省といえば正座かな。


『とりあえず正座』

『正座ってなに?』


首をかしげていたので、正座のやり方を教えてやらせてみた。

しばらく様子を見ると、人間と同じようにしびれるらしく、いや普段羽を使って飛んでいて足を圧迫をされることがないからか、効果は抜群だった。


『くーっ!ちょっ、なにこれ!』

『時間計ってるから羽使って飛んだら最初からな』

『くぬー』

『はい、その状態でこの魔力の丸薬を食べる』

『鬼!悪魔!』

『あれー反省は?ほら身体には良いから』

『ぐぇぇぇ、不味い〜!イタイ〜!』


 

こうしてリュノは正座と丸薬の罰の恐ろしさを心に刻み、調子に乗らないように気をつけようと誓ったのだった。

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