4. 憧れはあの背中、夢は渦の中

 激しい水しぶきを上げて、意識を失ったエニカが川に落ちる。

 その後を追うようにカイトも川に突っ込んだ。


 川の流れは思ったよりも速く、カイトの体が激しく水流にもまれる。


「ぐっ……ごぼっ……クソが……!」


 カイトは何とか体勢を立て直し、大きく息を吸って川の中に潜った。


 暗く、音のない世界。

 流されていくボロボロの木や岩を横目に、カイトはエニカを探した。


 エニカは今意識がない。早く見つけて引き上げないと最悪の事態になる可能性がある。


 その嫌なイメージを振り払うように必死に首を回して川底を見回すと、沈んでいくエニカの姿が見えた。


 カイトは水面から顔を出すと、もう一度大きく息を吸い込んでから、一気に川底へと潜っていった。


 しかし、エニカの体はただ沈んでいるだけではなく、横方向に引っ張られるように流されている。


 その流されていく方向にカイトが視線を向けると、川の側面に大きな穴が空いていることに気付いた。


 直径3メートル程の深い穴。その中には深淵が続き、先はどうなっているのかわからない。

 どうやら、その深淵の中に水が流れていっているらしい。不幸なことに、その水流でできた渦にエニカが巻き込まれていく。


 カイトも覚悟を決めその渦に突入すると、水流に一気に体を持って行かれ上下左右にグルグルと回される。

 まるで洗濯機で洗われる洋服のように荒々しく視界が流転した。


 天地もわからず、目もろくに開けられない。

 そんな中でカイトがわずかに開いた目の先に、細いエニカの指が見えた。体の自由がきかない中で、カイトは必死に手を伸ばす。

 すると、何とかその指先がエニカの袖に引っかかった。


 そのままエニカの体をグイッと引き寄せてしっかりと抱き留め、ギュッと目をつぶり、なすすべなく渦の中心、穴の中へ吸い込まれていった。


 息もできない。何も見えない。わかるのはエニカの体から伝わる温もりと心臓の鼓動だけ。


 エニカはまだ生きている。その事実に安堵しながらも、カイトはその命の灯火が消えないようにエニカを抱きしめる腕に力を込めた。


 穴の中は入り口よりも狭く、何度も側壁に体を打ち付けられる。

 そのたびに肺が圧迫され、口から空気が出そうになるのを必死でこらえた。


 体はできるだけ丸め、自分の体でエニカを覆い隠すように包み、深淵をどこまでも流されていく。


 いつも有酸素運動をしているおかげかカイトは肺活量に自信があったが、終わりの見えない深淵にさすがに息が続かなくなってきた。


 かきむしりたくなるような苦しみが全身を支配し始める。

 もうこれ以上は耐えられそうにない。少しずつ意識が薄れていく。

 カイトの冒険にもうすぐ黒く重たい幕が下りる。


 そのとき、急にまぶたを通して光を感じた。


 それと同時に、体が宙に放り出されたような浮遊感を感じてカイトが目を開けると、そこは岩に囲まれた洞窟のような場所だった。

 ついに深淵が終わったのだ。


 カイトが通ってきた穴からは大量の水が滝のように噴き出し、下の広い水たまりに流れていく。


 カイトはエニカを抱きしめたまま、放り出され勢いそのままに水たまりに落下した。


「ぶはっ……! 何とか、空気がある場所に出られたな……」


 カイトはエニカの体を持ち上げながら水たまりから這い上がった。

 ずぶ濡れで重くなった体を引きずるように移動しエニカをそっと地面に寝かせると、荒く呼吸しながら座り込む。


 穴を流れている最中に岩壁にぶつけたところが痛み、カイトは顔をしかめた。


「いてて……クソ、ひどい目にあったな……」


 すると、体を横たえていたエニカがゆっくりと目を開け、あたりを見回しながら起き上がった。


「し……師匠……ここ、どこですか……?」


 馬車から放り出され時点でエニカは気を失っていた。

 だから、馬車から急に暗い洞窟の中に移動し、訳がわからないのだろう。


「おう、目が覚めたか。ここは……何だろうな」


 洞窟のようだが地面はガタガタしておらず、人の手が加わっているのか整備されている。


 その空間は家を何軒か建てられそうなほど広く、天井も高い。

 土まみれのスコップや手押し車がそこかしこに散らばっているが、サビ付きがひどく最近のものではないようだ。


 そしてなにより目を引くのが、壁や天井から顔を出している赤い鉱石だ。

 暗い洞窟を照らすように煌々と赤く輝いている。


 それを見てカイトは、何かに気付いたように頷いた。


「そうか、ここはあの赤い鉱石を掘り出すための採掘場だ。今はもう使われてないみたいだけどな」


 ところどころに落ちているスコップや手押し車はこの赤い鉱石を掘り出して外に運ぶためのものだろう。


「鉱石……きれいですね」


 まだ意識がはっきりしないのか、ぼやけた瞳を鉱石に向けてエニカはボソリとつぶやいた。


「そうだな。それにしてもよかったぜ。採掘場なら、外に出るための通路があるはずだ」


 カイトはフーッと息を吐いて胸をなで下ろした。


 ここがただの洞窟なら出口があるかもわからなかったが、採掘場なら過去に人が出入りしていた道が必ずある。

 あとは、その道が瓦礫などで塞がれていないのを祈るばかりだ。


「うっ……!」


 カイトが辺りを探索しようと立ちがったそのとき、エニカが右肩を押さえて苦しげに声を漏らした。


 見ると、肩に深い切り傷ができており、そこから真っ赤な血が流れている。

 穴の中を流されている間にどこかでぶつけたのだろう。


「お前、怪我してんじゃねえか! ちょっと待ってろ!」


 カイトは水で濡れた上着を脱ぐと、袖の部分を引きちぎり両手で力強く絞った。

 布に含まれていた大量の水がボタボタと音を立てて落ちる。


 カイトはある程度水が抜けたことを確認すると、その布でエニカの患部をきつめにギュッと縛った。


「ううっ……痛いです……!」


 岩に削られたのか傷は思ったより深いようで、傷口を圧迫される痛みにエニカは唇を噛み、目に涙が溜まる。


「痛むだろうが今はこれしかできねえ。悪いが我慢してくれ」


 その後、カイトは水たまりの近くに落ちていた乾いた木をかき集め火をつけた。


 パチパチと小さな火の粉を上げて燃える炎。二人はその焚き火のそばに座り、一息ついた。


 エニカは冷えた体を火で温めながらも、やはり傷が痛むのか腕をずっと押さえている。


「さっきのすごい光とおっきな音は何だったんですか?」


 エニカが先ほどの出来事を思い出して、自分たちをこの採掘場に落とした元凶について疑問を口にした。


「さあな、俺もあの瞬間は目を閉じてて何が起こったのか、はっきりとはわからなかった。ただ、馬車に乗ってるときに山の上に人影が見えたんだ。そんで、そいつらが何か小さい物体をこっちに投げたように見えた。きっと犯人はそいつらだろ。クソ、あのまま順調にいってりゃ無事に王都に着けたのに……。本当に今日は運が悪いぜ……」


 がっくりと肩を落とし、カイトは自分の不運を呪った。


 そんなカイトをチラッと見て、エニカは申し訳なさそうに体を縮める。


「師匠、ごめんなさい。私を助けたせいでこんなことに……」


 エニカが腕を押さえながら泣きそうな顔でうつむく。


「まあ確かに、お前を助けなきゃ俺は今頃王都に着いて、試験が楽しみで武者震いが止まらなかっただろうぜ。それがまさかこんなところで水流にもまれてびしょ濡れになって、その寒さで身を震わせることになるとは思ってもみなかった。まったく、お前が財布なくすからだぞ」


 カイトが淡々と愚痴をこぼすと、エニカは少しムッとして眉をひそめた。


「あの……そこは、そんなことないよって慰めるところなんじゃないですか?」


「バカ野郎、俺は聖人じゃねえんだ。慰めてほしけりゃマルリ草のパンを全部買い占めて俺に捧げるこったな。まあ一文無しの今のお前じゃ無理だろうけど」


 財布をなくしたことをいじられ、エニカは頬を膨らませてカイトの方に顔を向けた。


「師匠は鬼です! 人でなしです! あんな美味しくないパンのどこがいいんですか!?」


 事実としてあのパンは非常にまずい。

 エニカのようなお子様の口にはとても合うような代物ではない。


 あのまずさの奥にある魅力を知っているのは、あのパンを食べ続けたカイトだけだろう。


「癖になるって言ったろ。あと師匠っていうのやめろ。俺は誰の師匠にもなるつもりはねえよ。面倒臭え……」


 何度断ってもエニカはカイトのことを頑なに師匠と呼び続けてくる。


 それにうんざりしつつ、これ以上否定するとまた意味不明な師匠コールが始まってしまう気がして、カイトは話題を逸らした。


「それより、服がある程度乾いたら、あの奥に見える階段を上って外に出る道を探すぞ」


 カイトが指さした方向には、上へと続く階段がある。


 長い時間下へと流されてきたため、この採掘場は地下深くである可能性が高い。そうであれば、外へ出るのも一苦労だろう。


 ここでしばらく休んで濡れた服を乾かし、それと同時に体力を少しでも回復しておく必要がある。


「わかりました。でも、階段の先は真っ暗でちょっと怖いですね。何か変な生き物とか出てきたら私ひっくり返っちゃいます」


「お前冒険したかったんだろ? 暗闇を手探りで進むなんて、まさしく冒険そのものじゃねえか。お前が先頭に立って進んでみるか? 振り返ったら俺がいなくなってるかもしれねえけどな」


「い、いやですよそんなの! 師匠が先に行ってください! 私冒険はしたいですけど暗いのと狭いのは苦手なんです!」


 エニカは焦りながらいやいやと首を振る。

 その様子を見てフッと笑みをこぼすカイトは、エニカの顔を見た瞬間、急に目を見開きグッと顔を寄せた。


「あれ? お前顔もぶつけたのか?」


 カイトが手をそっとエニカの前髪に当てスッと上にあげると、額の端に小さな切り傷があった。


 腕だけでなく額もぶつけてしまったのか。

 それにしては痛がっていないのが気になる。


 カイトが眉間にしわを寄せまじまじとその傷を見ると、それはすでに塞がっている傷跡だった。


「これは、けっこう前にできちゃった傷なんです。もうだいぶ前のことなので痛みはないですけど、跡は残っちゃいました」


 エニカが恥ずかしそうにしながらも、その傷跡を愛でるようにそっとなでた。


「さっき両親が過保護だって話したじゃないですか? 私はそれが息苦しくて、夜に家をこっそり抜け出したことがあったんです。今回みたいに遠くの町とかじゃなくて、王都の郊外にある森まで行ったんですけど、迷って帰り道がわからなくなっちゃって……」


 エニカの境遇については馬車で話を聞いた。

 今回に限らず親に黙って何度か外に出たことがあるようだ。


 だが、森は町とは違い人がおらず、逆に獰猛な生物や魔族の方が多い。

 そんなところに子供が一人、夜に立ち入るなど、自殺行為だ。


「郊外の森に一人で行くなんて危険なんじゃねえのか?」


 カイトの当然の疑問に、エニカはこくりと頷いた。


「はい、その通りです。私は迷ったことに気付いた後、泣きながら必死に走って、森の奥深くまで入ってしまいました。そしてそこで、魔族に襲われたんです」


「!」


 子供だけで魔族に襲われた場合、生還することは難しい。


 例え弱い魔族だったとしても、人間の大人を簡単に殺せるだけの力は持っている。


「逃げようとしたんですけど腰が抜けちゃって、そしたらその魔族が魔法で私を攻撃してきたんです。私はもうダメかと思ったんですけど、そのとき、突然私の前に白く輝く人が現れたんです」


「白く輝く人?」


 脈絡なく登場した謎の人物にカイトは困惑した。


「そうです。白く神々しい光を放っていつの間にか私の前に立っていました。そしたら、その人から白い光の筋がパッと飛び出して、気付いたときには魔族が動かなくなってたんです。正直、今でもよくわからないですけど、その人は私を助けてくれたんだと思います。でも、魔族の攻撃が少しだけ私の額をかすめてて、これはそのときにできた傷です」


 エニカは嬉しそうに微笑みながら傷をさすった。


 白く輝く人、その存在に疑問を感じてカイトは眉をひそめた。


「結局、その助けてくれたやつは誰だったんだ?」


「そのとき私ショックで倒れちゃって、名前とか聞きそびれちゃったんですけど、鎧みたいなの着てたし、おっきな剣も持ってたので、たぶん冒険者だと思うんです!」


 エニカは楽しそうに手を振りながら、目を輝かせた。


「そのとき私は思ったんです、私もこんなかっこいい冒険者になりたいって! あんなに鮮やかに敵を倒して人を助けられるなんて、かっこいいじゃないですか! あの人は私の憧れです! 私もあんなふうに強くて美しい冒険者になりたいと思いました!」


 エニカにとってそれは、人生で初めて見た冒険者の姿だった。

 荘厳で美しく、その姿は今でもエニカの脳裏に色濃く焼き付いている。


 そして強く焦がれた。自分もあんな冒険者になりたいと。


 その白く輝く人はエニカの憧れであり目標であり、森で出会ったあの日から、エニカの将来を照らす人生の道標となった。


「そいつはいいな。俺もその白く輝く冒険者とやらに会ってみたいぜ。そんでぜひとも、手合わせ願いたいもんだな。俺より強いのかどうか」


 その人物が本当に冒険者なら、最強の冒険者を目指すカイトにとってはライバルになり得る。


「師匠でも負けちゃうかもしれないですねー。その人すっごく強かったですから!」


 エニカは何だか嬉しそうにクスクスと笑った。


「へぇーでもそんなすごいやつを目標にしちまって大丈夫なのかよ。お前ちゃんと魔法使って戦えるのか?」


 冒険者になりたいなら、魔法を使えることはもちろん、それを使って魔族と命がけの戦いをすることになる。


 エニカの魔法はまだ目にしていないが、ちゃんと魔族との戦いで有効に働く魔法なのだろうか。


 カイトの問いに、エニカは急に顔を曇らせ目をそらした。

 そして、もじもじと手をいじり、何やら言いづらそうに口を開けたり閉じたりしている。


「戦いで魔法は……あんまり使いたくないです……」


 その予想外の答えに、カイトは驚きと疑問を含んだ声で聞き返した。


「え? なんでだよ?」


 魔法は使えるが何らかの事情で戦うときには使えない、いや、使いたくないということか。

 それは一体どういうことなのか。


「いえ、それは……あ、そうだ! 師匠はどうなんですか? 師匠はなんで最強の冒険者になりたいんですか?」


 エニカは露骨に話をそらした。

 カイトは、その魔法を使いたくない理由に興味をかられたが、エニカの様子を見る以上、あまり人に言いたくない事情なのだろう。


 そのことを察して、カイトは自分の中で湧き上がる興味を抑えた。


「最強の冒険者になりたい理由か。まあ、男なら誰でも強くなりたいって思うもんだろ。別に特別なことじゃねえよ。……でも強いて言えば、お前と同じ憧れかな」


 人は生きている以上、自身の成長を望むものだろう。そこには明確な理由がないときもある。


 カイトも同様で、明確でわかりやすい理由などなかった。強くなりたいから強くなるのだ。


 しかし、強くなりたいと最初に思ったのは、とある憧れからだ。


「憧れ……誰にですか?」


「師匠だよ。俺にも昔、師匠がいたんだ。でもずいぶん前に突然いなくなっちまってな。今じゃどこにいるのか、生きてるのかもわからねえ。でも、師匠が魔法を使う姿は今でも鮮明に覚えてる。あの人は強すぎた。どこまでも強さを追い求める師匠の背中を見て、俺もそうなりたいと思ったんだよ」


 カイトは遠い過去を思い出し、目を細めた。


 師匠が見せた、ありえないほどの強烈な強さ。

 今思えば、それが自分自身の原点だったのではないかとカイトは思った。


「師匠の師匠ですか。じゃあ私にとっては大師匠ですね!」


「だから俺はお前の師匠じゃねえっつうの」


 苦笑いを浮かべつつ、カイトは顎に手を当てて難しい顔をした。


「でも、師匠のことでどうしてもわからないことが一つあるんだよな……」


 師匠と過ごした日々。その中で、魚の骨のように引っかかるもどかしい思い出が一つだけあった。


「わからないことってなんですか?」


「師匠がな、あるとき俺に言ったんだよ。『最強の冒険者とはどういう者か知ってるかい』ってな」


 カイトの頭に残る遠い記憶。

 幼いカイトが師匠の背中を見ながら歩いているときに、師匠が不意にそんなことを言ってきた。


「それで、その後なんて言ったんですか?」


 そのとき師匠は立ち止まり、カイトに振り返って微笑みながらこう言った。


「『最強の冒険者とは、花が開く先に立つ者のことだ』」


 当時のカイトは訳がわからず、何度も師匠にその言葉の真意を聞いた。


 しかし、そのたびに師匠は『いつかわかるときがくる』と言って頑なにその言葉の意味を教えなかった。


「師匠からはたくさんのことを教わった。魔法の使い方、肉弾戦の基本、必要な知識、それから料理や洗濯のやり方なんかもな。ただその言葉についてだけは、自分で考えろって言って最後まで教えてくれなかったんだ」


 カイトはその歯がゆい記憶を思い出し苦い顔をする。


 しかし、それとは対照的にエニカは納得したように頷いた。


「私は何となくわかる気がしますけど……」


 その返答にカイトは驚き、声を上げた。


「マジか……! どういう意味なんだ?」


 今まで理解することができなかった師匠の言葉。

 その真意を、師匠に会ったこともないエニカがわかるというのは少し悔しかったが、それよりも興味の方が勝った。


 興味津々のカイトの視線を受け、エニカは腕を組んで目をつぶり、しばらく考えてから口を開いた。


「ちょっと言葉にはできないです」


「なんだよそれ! お前本当にわかってんだろうな!?」


 エニカの曖昧な回答に興が冷めたのか、カイトは立ち上がって首を鳴らす。


「まあいいや。どうせお前だってよくわかってないんだろ。やっぱり簡単にはわからないことなんだろうな……」


 カイトはグッと背伸びをすると、上着とズボンの濡れ具合を確かめるように触った。


「さて、服もだいたい乾いたし、そろそろ移動するか。お前はどうだ?」


 エニカも自分の服をペタペタと触る。


「はい、私も大丈夫そうです」


「よし、じゃあさっさと行くぞ。今日は天気の良い日だ。こんな日の当たらない地下深くにいつまでもいたら体が腐っちまう」


「はい!」


 カイトとエニカは、火を消してから階段の前に移動し、その先を眺めた。


 そこに広がるのは果てしない暗闇。

 本当にこの先に空があるのかと不安になるほどだ。


 二人は意を決して、そのボロボロの石階段を一歩一歩上っていった。

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