第22話 ザ・リッツ・カールトンホテル

翌日の朝、元の時間軸へと戻った南条と青葉はふと目を覚ますと、何故かジェット機のシートに乗せられていた、「お帰りなさない、お二人とも」前の座席には畠山が座り込んでいた、「俺達、斎藤らに拘束されているかと思っていたのに、どうやってここまで?」すると畠山は微笑みながら二人に応えた、「未来から戻ってきた二人に伝えられたからですよ、フッ」南条は思わず頬が緩んで何故か笑みが溢れた、「東堂が最後にいた場所はマレーシアにあるここ、ザ・リッツ・カールトンホテルです」畠山はタブレット端末から映し出された、ジェット機が向かっている目的地を二人に見せた。





その頃TIME本拠地では、手に入れた設計図を元に核兵器の開発プロジェクトに斎藤は参加していた、その日は朝から激しい雨が降りだしている、斎藤は雨に打たれながら駆け足で道路沿いに止まっている公用車へと乗り込んでいった、「開発は順調か?」公用車の後部座席へと乗り込むと早速隣にいた官房長の木山は開発プロジェクトの状況について、挨拶の変わりに質問を投げ掛けてきた、「えぇ、予定よりも順調に開発は進んでいますよ」そう応えると木山は満足そうに高笑いした、「やはり本物のスパイに仕事を頼んだ会があったわ」すると前に座る運転手から一つのメモリが装着されたパソコンを斎藤に渡してきた、斎藤は疑問に思いながらもパソコンを受けとると、木山はパソコンを開くよう促してきた、「一体何です?」斎藤は不信に思いながらもマウスをファイルの所へ動かすかと素早くクリックした、「今回の件は政府にとっての機密情報だ、情報を知るものは排除しなければならない、」木山は高級な腕時計で時間を目にしながら斎藤にそう話した、斎藤が開いたファイルには、今まで協力してきた工作員の佐竹を殺害するよう命じた内容が記載されていた、「早急に頼むぞ」 すると斎藤は険しい表情で木山に応えた、「実は未だ、設計図を運び出した工作員を消せていません」

「何?、どういことだ!」木山は突然表情が豹変し小さく怒りを露にした、「佐竹はその後に、」

斎藤はふと木山の方を覗くと、木山は眉間に皺を寄せながら時計を気にしていた、「期限は今週までだ、」木山は斎藤に目線を会わせる事なく斎藤を車から降ろした、雨粒が斎藤に激しく打ち付けるなか、公用車が去るまでの間じっと頭を下げて見送った。




午前8時、再びリセットをした南条達は東堂の襲撃が始まる前の時間帯で、足早にザ・リッツ・カールトンホテルへと先にチェックインを済まし、部屋で時間を過ごしていた、しかし南条は不安と緊張で冷静ではいられなくなり、部屋の中を彷徨いていた、「敵はブラック一派です、奴らの数はかなり多く我々が真っ向から対抗しても只殺られるだけです、」畠山はテーブルに座り込んで持ち込んできたパソコンを操作しながら、淡々と計画を話していた、「ならどうすればいい?」青葉は腕を組ながら頭を悩ませている、「安全に東堂を探しだすことが出来る方法は一つだけあります」  「それはなんだ?」突如その言葉に足を止めた南条は方法を問いかけてきた、「奴らは全身黒色の衣装を着ていた筈だ、」

「まさか、敵組織に紛れ込むつもりかよ」青葉は動揺しながらそう呟いた、「だが他に方法はない、敵を一人ずつ始末して衣装を手に入れる、任務はまずそれからだ」南条はようやく覚悟が決まったかのように目付きはさっきと変わっていた、すると南条と青葉は準備へと取り掛かり始めた。

9時10分、畠山はエントランスホールの2階から周りの状況を監視していた、すると、奥の廊下から黒のスーツを羽織りサングラスを身に付けたSPの様な男が通話をしながらこちらに歩いてくのに気がついた、畠山は不信に思いながらもそのSPを警戒した、すると段々近づくにつれSPの男の会話が聞こえてきた、「Come in from the entrance We are trusted by him If you get a signal, come down from the 4th floor without any problems (入り口から入ってくる、俺達は奴に信用されている、合図が出たら問題なく四階から下に降りてこい)」  ふとその会話を耳にしてしまった畠山は急いで二人に連絡をかけた、

畠山の応答を先に気がついたのは青葉だった、「まさか先にいるとはな!」青葉は急いで四階へと駆け上がった、その途中走りながら南条に連絡をかけた、2分後、四階の廊下へと辿り着くと青葉は拳銃を腰から抜いた、「チッ、こんな沢山の部屋からどうやって絞ればいいんだ、」青葉は足早に廊下を渡った。

9時30分マレーシア、ザ・リッツ・カールトンホテル前にて、東堂を乗せたオープンカーが等々来てしまった、畠山は思わず何度も目を見返してエントランスから入ってくる東堂の姿を覗いた、「不味い、不味いぞ!」畠山は焦りながら東堂が入ってきたことを無線で二人に伝えた、一方青葉はどうすればいいのか悩んでいた、「不用意に問題をでかくすると更に状況は困難になる、どうすれば?」すると次の瞬間、突然無線から南条の声が聞こえてきた、「敵の居場所がわかったぞ、青葉」その声は青葉の後ろからも聞こえてきたような気がした、ふと後ろを振り向くと無線を片手で握りしめた南条の姿があった、「敵は439号室だ、行くぞ!」すると南条は拳銃を抜け出してその部屋へと走り出した、慌てて青葉も南条の後ろへとついていった、「南条さん、どうしてわかったんです?」   「時期にわかることだ」南条のその応えに青葉は納得がいかなかった、しかし時間は刻々と迫られ青葉は躊躇する暇さえもなかった、次の瞬間二人はベルを鳴らすと、合図と共に部屋へと襲撃を仕掛けた。




 

その頃畠山は、二人の動向に不安を感じて監視室にいた警備員に銃口を向けて、監視カメラを支配していた、すると次の瞬間、「バン!」でかい銃静音がエントランスから聴こえてきた、「Now is the signal! (今のが合図だ!)」銃声が鳴り響いた途端、四階に潜んでいたテロリスト達は仲間の合図だと認識し、一気に武器を持って部屋から飛び出してきた、そして439号室からも二人のテロリストが部屋から飛び出してきた、「青葉!俺はこのまま前に着いていく、お前は怪しいと判断してきた奴らを始末して援護してくれ!」南条は走りながら必死に青葉に言いかけた、「わかりました!」やがて二人はテロリスト達より早く着いていくように一階へと降り始めた。

やがて一階へと降りると突然前に走っていたテロリスト達の足が止まり、一斉に銃を構え始めた、ふと前を見るとこちらに走ってこようとするあの東堂の姿が見えた、「!?」東堂の近くにはエレベーター内に隠れる自分の姿がいた、「止めろ!撃つなぁぁぁぁぁぁぁぁ」南条は何故か意を決して発砲して行くテロリスト達の前から飛び出しエレベーター内へと全速力で向かった。


次の瞬間、東堂は南条の方へと飛び込みその勢いのまま二人はエレベーター内へと入っていった、「ボタン押せ!」すぐに起き上がり東堂は4階のボタンを押した、エレベーターのドアがゆっくりと閉まるその時、「ガチャン!」突如エレベータードアが閉まる数前に一人のテロリストが微かな間から侵入してきた、「!」必死に南条はそのテロリストを後ろへと蹴りを入れたが、力強くで中へと入った、「教授は離れて下さい」上へと進み出したエレベーター内では南条とテロリストが静かに睨みを効かせた、その場は計り知れない緊張感で溢れている、ふとエレベーター内のモニターを振り向いた瞬間、テロリストは東堂に殴りかけてきた、南条はすぐに阻止して二人は激しい取っ組み合いと化した、「グウゥワァ!」南条とテロリストの攻防はお互いに殴りかかろうとするが攻撃が塞がれる、互角状態であった、「もうすぐです!」東堂はモニターから4階が映し出されると南条に呼び掛けた、「チーン、」4階のエレベーターが開いた、ドアが開くと共に南条はテロリストの方へ飛び込んだ、「早く合流地点へ!」 「あぁ、わかっている」東堂は先に走り出し、倒れ込むテロリストを退けて南条は後に続いた、「待て!」突然その声に南条の足が止まった、南条は理由のわからない疑問を感じしばらく倒れ込むテロリストを見ていると、「何してる!南条早く来い」奥の廊下から仲間の呼び声に気づき、仕方なくその場を後にした。

「ヴゥウ、」気がつくともう一人の俺は、俺の元から去って行き段々と姿が見えなくなっていった、このままだと又あの最悪な悲劇が訪れてしまう、南条は痛みを我慢して立ち上がった、すると廊下の奥から先に合流していた青葉と畠山がこちらに走ってきた、「大丈夫ですか!」二人からの心配を南条は気にすることなく、近くまで辿り着くと指示を出した、「恐らく、後数分後にホテルの駐車場で東堂は爆発に巻き込まれる、俺は今すぐ爆弾が設置された車の方へ行く、二人は…」

南条が二人に話していた次の瞬間、「バン!バン!」突如奥の廊下からテロリスト達の襲撃が三人を襲ってきた、「畜生、さっき無理に飛び込んだせいで奴らに素性が張れた」そう話しているうちに、激しい弾丸が降ってくる、三人は各々僅かな壁に身を隠し、引き金を引いて対抗した、「ダダダダダダ!」すると敵が所持ていたライフル弾が対抗する余地もなく更に激しく壁に打ち付けてきて、壁にはそこらじゅうに穴があいてる、「ヴゥウゥ!」ふと誰かが悶えている声が聞こえたように見えた、南条はふと横を振り向くと、 「 ! 」そこには赤く血で染まった腹部を抑え壁に寄りかかる青葉の姿があった。

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