卒業式


彼は茫然と立ち尽くす。

目の前から去ってゆく少年の、あどけない笑顔を引き止めることができないまま。『おめでとう』と聞こえぬ強がりを落として、背を見送った。

明日から彼は、ぽつんと残された教室で独り、机に佇む花が枯れるまで見つめて座る。

少年が彼を思い出す頃、年上になってまたここへ。


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