第16話 つけない嘘
▽ホヨヨ
「ただいまをかえりました! ホヨです~~~」
▽ミズナ
「あら~~~ ほーちゃんお帰り~~~
学校は午前中に終わるって言ってたけど…
どこか寄り道してたの?」
▽ホヨヨ
「えへへ…ジャン! 冒険者ライセンスです!
ギルドで登録をしてきたのですよ~」
▽タタラ
「おお………ホヨもついに冒険者デビューか!
急なもんだから祝う準備も出来てないぞ…」
▽チリリ
「フジヤマ学園の生徒は…無条件で9級からだったわね
私が8級で父さんと母さんが9級だから……
これで全員9級以上になったわ」
▽ミズナ
「冒険者ライセンスって取得するには何十時間もの講習が必要なのよね~
ママたちもだいぶ苦労したわ~」
▽タタラ
「そうだな…今となっては懐かしい………と おや?
ホヨ、その髪飾りは…買ってきたのか?」
▽ホヨヨ
「これはですね…なんと!
友達からお祝いにプレゼントしてもらったんです!」
▽ミズナ
「お友達………プレゼント? 入学初日に!?
あら………! あらあらあらあらまあまあ~~~~~!!」
▽チリリ
「ヒョ~~~↑↑↑」
▽タタラ
「それは………いや 学園生活が順調で何よりだ
ホヨがあのエリート集団に馴染めるか心配だったが…大丈夫そうだな」
▽ホヨヨ
「それと………せっかくなのでダンジョンの中も見てきました!」
▽タタラ
「ダンジョン!? 武器も持たずに………平気だったのか?」
▽ホヨヨ
「はいです 戦ったりはしませんでした!」
▽タタラ
「そ、そうか………それならよかった
もしまたダンジョンに潜るなら…家の倉庫にある武器や防具を使うといい
ちゃんとホヨの体に合うよう調整もしておこう」
▽ミズナ
「こういう時私達が【クリエイター】でよかったと思うわけよ~~~
素材があれば自分で装備を作ったり直したり出来るもの
ちょっとした家具だって作れちゃうの 便利よ~~~」
▽チリリ
「ダンジョンに入らなくてもそれらで収入を得られるし
装備製作を生業とする企業やクランに入ればもっと安定する
《下級鑑定》も冒険者の間で重宝されているわ」
▽タタラ
「私としては【クリエイター】になって家業を継いでほしいとは思うが…
まあ、冒険者は冒険してこそとも言うからね
自分が好きだと思った事をするといい」
▽ミズナ
「………まあ、すぐに決めなきゃいけないって事もないわ
色々と歩き回ったのなら…とりあえずお風呂に入ってらっしゃい
すぐご飯にするわよ~」
▽ホヨヨ
「は~い!!」
――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――
▽ミズナ
「………ねえ あなた」
▽タタラ
「………どうした、瑞菜」
▽ミズナ
「…その………ね ほーちゃんが付けてた髪飾りと…指輪、あったじゃない?
ほーちゃんが付けてた時は何もなかったのだけど、
あの子が外している時に見てみたらなんだか変な感じがして………
こっそり《下級鑑定》を使ってみたの」
▽タタラ
「…あの子はもう冒険者だ
あまりプライベートに干渉するのはよくないぞ」
▽ミズナ
「………ごめんなさい でも…でもね? アレ………」
▽ミズナ
「………偽装用マジックアイテムと、アーティファクトだったのよ」
▽タタラ
「………そうか………」
▽チリリ
「その髪飾り…友達からのプレゼントって言ってたわよね?
…今のホヨちゃんであれば………ええ その友達の判断は正しいわね
レベルの高い冒険者ならともかく、ホヨちゃんは冒険者になったばかりだもの
そんなものを持っていると知られたら…危ないわ
学校やダンジョンには付けていかない、という手もあるけれど…
レベル付きだったの 肌身離さず装備していた方がいいものだわ」
▽タタラ
「…ならこれはホヨが自ら話してくれるまで私達だけの秘密にしておこう
あの子は……良い事があったら真っ先に私達に教えてくれる子だ
でも今日はそうじゃない 嘘をつかなくてはいけなかったんだ
それはおそらく…私達を思っての事」
▽ミズナ
「………ママ、ほーちゃんの事がすごく心配になってきたわ
危ない事に巻き込まれなければいいのだけど………」
――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――
お風呂から上がって、家族みんなで晩御飯です。ダンジョンで何時間も動き回ったからか、お腹はペコペコでとてもよく食が進みました。
家族にも話せないヒミツがたくさんできてしまいましたが…ホヨがもっと強くなって、自分でそれを守れるようになった時にちゃんと話そうと思います。ごめんなさい。強い達成感と心地よい疲労感もあり、今晩はよく眠れそうです。
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