第二話 母の日記

私は、元々子供が産めない体だった。

卵巣に病気が見つかり、手術したものの調子が悪く、色んな検査をしたが、どこにも異常は見つからない。

医者も原因が分からず頭を抱えていた。

 

 『今度はワンランク上の精密検査を行いま 

  しょう』


次の診察日の予約をして帰宅したけれど、

彼になんと言えばいいのだろう…

 

私には子供が大好きな彼氏がいる。

結婚も視野に入れてくれているのだが、子供は絶対にほしいと言っていた。

きちんと話さなくては。

私は子供が産めない。

だからあなたとは結婚できないと。


彼が仕事から帰ってきて医師に言われたことを話し、別れようと言った。

だが、意に反してそれでもいいという答えが返ってきた。

わずかでも望みは残っているからと。

そんな話をしてからそれほど時間はたずに私は妊娠していることが分かった。

病院を受診した時に私より医者のほうが驚き、喜んでいる姿に思わず笑ってしまったが、心の底からの

「おめでとうございます」

に嬉しさが込み上げてきた。

まだまだ5ミリほどの小さな命。

人の形はしていないが、心臓はしっかりと脈打っていた。

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