第24話 見られて

「許す、けど必ず彼女を助けること」

 萌は人目もはばからず、深に口づけすると先に帰ろうとした。

「一緒に行こうよ」

「何言ってんの」

「別に、ヌードを撮るのに俺一人でなきゃいけないわけじゃない」

「私に手伝えってこと」

「うん、前から考えてた」

「本間さんも、俺一人より気が楽だよね」


 ということで、日を改めて本間には、次の非番に萌の家に来てもらうことになった。

「ほんとに私がいていいのかなあ」

「なんでだめなの、俺さ、萌がやきもきしてるだろうなあ、そう思うとさ、立つものも立たなくなる」

「何言ってんだか、やりまくってるくせに」

「おいおい、かわいい女の子の言う言葉じゃないよ」

 カメラが口をはさんみ、それが二人の笑いを誘った。


「あれ、本間さん、下着付けてこなかったの」

 萌がびっくりしたように聞く。恥ずかしがりながら、ワンピースを脱いだ本間は素っ裸だったのだ。


「下着の線が付くと美しくないって聞いたんで、バスの中でドキドキしました」

「こいつが撮るのにそんな大層な、っていうより下着姿も撮りたかったんだけど」

「あ、じゃあ後で付けます、帰りのために持ってきてますから」

 この子かわってるなあと深は萌を見たら、一緒のことを思ったのだろう彼女はくすっと笑った。


「なんか私だけ裸って、恥ずかしすぎます」

「俺はいいけど、萌は」

 返事より早く、萌はスパっと全裸になってしまった。相変わらず思い切りの早い奴だ。


「せっかくだから、並んでみてよ」

「えーやだ、本間さんおっぱい大きいもの、深は絶対比べるでしょ」

「比べないよ、それぞれ素敵だから」

「よ、女たらし」

 今のはカメラだ。萌は笑ったが、本間には聞こえない。


 椅子に座って、立って、ベッドに寝ころんで。萌が先導してポーズを付けていく。

 それに伴い、どんどん本間の表情が明るくなっていく。


「萌、したくなってきた」

「私も」

 写真を撮りながら、萌が高ぶっていくのが深には分かっていた。

「生でいい?」

「うん、大丈夫なはず」


 いきなり横で始まったSEXに、本間は戸惑いながらも目を背けることもその場を立ち去ることもできず、ただ眺めるだけだった。


 もちろん、深と萌は本気でSEXをするつもりなどなかった。少々恥ずかしかったが、本間にほードルを超えさせるために仕組んだのだ。

 けれど、いったん始めると二人とも、本来の目的を忘れてしまった。

 本間のことそっちのけで二人は上り詰めてしまった。


「ごめんなさい、本間さんのことほったらかしにしちゃった。私ちょっと後始末してきます、深、本間さんのことよろしくね」

 萌は急に恥ずかしくなったのか、まっ赤になった顔を両手で覆い、部屋を出た。


 深は呆然としている本間の手を引くとベッドに引き込んだ。そのまま唇を重ねていく。

 多少は抵抗されるかとも思ったが、彼女は深の背中に腕を回した。

 真横で見せつけられてか、表情は固まったままだが、身体は既に反応を始めていた。「おおい、萌。戻ってこないと、このままやっちゃうよ」


 二人はカメラを経由することで、言葉を交わすことができるようになっていた。

「いいよ、許す。私はしばらく身体冷やす」

 ったく勝手な奴だと思うが、仕方がない。もう本間も深も止まらなくなっている

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