最初で最後の花束を -終幕前-

今日はあの人と合う約束をしている…私は本当にどうしてしまったんだろう…


「お姉ちゃんね…最近亜理沙がどこに行ってるのか気になるな〜」


「友達の家だよ!!そんなに気にしなくても大丈夫だよ!!」


「そんな事を言って〜本当は男の子のところなんじゃないの?」


「ちっ違うよ!!」


「必死に否定している所が可愛いわね〜初めての恋愛って感じがしていいわ〜」


「そんなんじゃないもん!!お姉ちゃん酷い!!」


「まぁいいわ…お姉ちゃんはね…心配なのよ…」


お姉ちゃんと私はいつも以上に話をしながら、朝食を取り、家を出た…




「…どうすればあの子を引き止められるのかしら…」


私はあの子がどこに行っているのか知っている…路地裏のところにいるある男にあっているらしい…そんな危ないことは今すぐやめてほしい…


「あの子の友達から初めて連絡があった時は本当にびっくりしたわ…でもこれからどうすれば良いのかしら…もしその男が殺人鬼ならあの子は…殺されちゃうかもしれない…」


私は気が気でなかった…もうどうすればいいかわからない…


「流石に最近寝不足過ぎたかな…ちょっと寝よう…」


私は疲れが溜まっていたのかベッドに入るなりすぐに寝てしまった…




私は例の場所へと足を進めていた…そして着いて奥に進んでいくとやっぱり居た…


「来たか…」


「これ…ちょっとしたお菓子です…受け取ってくれますか?」


「唐突だな…まぁ受け取っておくとするよ…」


そう言って私の手からお菓子の入った袋を受け取ってくれた…


「ありがとな…」


「いえ…よかったら食べてくださいね?」


「美味しく食べさせてもらうとするよ…さて…俺はこれから此処を出ることにした…お前との関係も終わりだ」


「なん…でですか?」


「単純に警察の警戒が強くなったからだ…正直此処も結構マークされていて、警察の目がない状態で会えるのはもう無いかもしれない…」


「そうなんですか…」


「あぁ…だからこのお菓子は大切にするよ…決して俺と会ったことを口外するんじゃないぞ?捕まるからな?」


そう言って彼は立ち上がり立ち去ろうとする…本当ならここで手を掴んじゃいけないのに…


「なんで引き留めようとしているんだ…」


「わかんないの…でも貴方のことを話したくないと言うか…」


「…お前は何がしたいんだ…」


「貴方と居ることは出来ないの?私は貴方のためだったら実現可能な範囲なら何でもできる自信がある!!」


「はぁ…じゃあお前に選択肢を2つやる…一つは俺と一緒に来ること…その場合は覚悟を示してもらう…二つ…俺とあったことを忘れて過ごすこと…この場合は何も失うことはない…どうする?」


「私は…私は…」


頭の中で巡るのはお姉ちゃんや友達と一緒に過ごす青春の日々と殺人鬼である彼と過ごす刺激的な日々…後者を選べば幸せになるのは難しいのかもしれない…逆に前者を選べば刺激はないが、楽しい日々があるだろう…


私が悩みに悩んで出した結論は…


「私は貴方と一緒に行きたい…」


「はぁ…わかったよ…ただ覚悟を示してもらう…これを持て…」


「これ…拳銃?」


「そうだ…お前に一丁貸してやる…」


「これでどうするの?」


「覚悟を示してもらうだけさ…お前の大事な人がいる家を案内しな?案内したらその場で示してもらうから…」


「わかった…」


私はまず初めに友達の家に行くことにした…理由としてはまだ其処まで関係が深くないからだ…確かに友達も大事だけど家族よりかは劣る…


「ここが私の友達の家…多分親はふたりとも居ないはず…」


ふたりとも仕事で出かけることが多いと言っていたし、問題ないはず…


「そうか…それは好都合じゃないか…それじゃあ君の覚悟を示してもらう…鍵は俺が開けてやるから中に入って殺ってみせろ…」


「それは…殺せ…ってこと?」


「そうだ…俺がしている事の都合上、関係者が甘いと困る…拳銃で人を殺すことが出来なければ俺と一緒に来ることは出来ない」


「…」


「なんだ?友達を撃つのが怖いか?」


「ううん…私がもし失敗したらどうするの?」


「そこは俺がフォローしてやる…安心しろ…」


「それなら…わかった…」


私は拳銃を構えつつ、ドアを開ける…私は本当に友達を撃てるのかな…?


「手が震えているぞ?大丈夫か?」


「大丈夫です!!ただ、こういう物を持つのは初めてなので…」


「…まぁ普通に生活をして、結婚をして生涯を全うする人からすればこれはあんまり見ないだろうな…だがこれは警察共が使っているものよりかは強いから注意して使えよ?」


「うん…」


私は意を決して、友達の家に入る…玄関の靴の数を見るに、恐らく二人…友達のお姉さんだと思う…


「…緊張しているのか?」


「…緊張しないわけないでしょ…だって一応友達なんだから…」


「今から止めたって良いんだぞ?俺は人に無理強いすることは絶対にない…それと二人なら最初は会いに来たみたいな感じで行け…そうすれば相手も警戒は薄くなるはずだ…」


「分かった…」


「俺はここで待っているから、危険な事態になったら俺が対応してやる…」


私はその言葉を聞いて、友達のリビングの扉を開ける…


「え?亜理沙ちゃん!?どうして家の中に?」


「いや…家の扉空いてたからさ…ちょっとお邪魔しちゃおうかな〜って思ってさ…」


「本当に!?お姉ちゃん…しっかりしてよ…拳銃で撃たれてからずっと変だよ?」


「ごめんね…それと亜理沙ちゃんと言ったかな?ありがとうね…」


「いえいえ…」


「亜理沙ちゃん…なんか顔色悪いよ?体調悪いの?」


「ううん…大丈夫…」


「私には大丈夫そうに見えないよ!!それに時間的にももう家に帰りなよ!!なんでこんな時間まで外に出ているの?」


「…関係ない」


「今日亜理沙ちゃん冷たいよ…悲しいな…」


「はぁ…前々から思ってたんだけど…その言い方すこし腹たってたんだよね…もう貴方と会えないから言うけど…」


「え?それってどういう…」


「神奈!!伏せて!!」


私は拳銃を取り出し発砲する…『パァン』という音とともに、神奈ちゃんが元々立っていた場所を弾丸が通り過ぎる…そして後方にある窓に命中する…


「貴方は誰!!なんで拳銃なんて持っているの!!それにその拳銃は…警察のもののはずよ!!」


「…」


私は平静を装いながらも焦っていた…あの物言いから、恐らく警察だろう…このままだと私は不味いんじゃないか…と思っていた…


「ずっと名前を知らなくて悪かったな…亜理沙っていうのか…」


「…」


「ひっ…殺人鬼…」


「なんであんたが…此処に居るのよ!!私と会ったところよりも此処は離れているはずよ!!」


「あのときの警察の女の子か…君は油断して俺にやられた子じゃないか…そして君がこの子の友達だね…へぇ…意外といい目をしている…最初は怯えていたが今は俺のことを高い警戒心を持って見ている…」


「亜理沙!!早く離れて!!」


「…」


「なんでよ!!その人は殺人鬼なのよ!!急いで!!」


「…なたに何が分かるのよ」


「何?」


「貴方に何が分かるのって言ってるの!!なんで貴方の意見に従わなくちゃいけないのよ!!」


「私は真っ当なことを言っているだけじゃない!!そいつに脅されているの?それとも…」


「私は私の意志で彼と一緒にいるの!!」


「おかしいよ!!いつもの亜理沙ちゃんに戻って!!」


「私はいつもの亜理沙…安心して…」


私は拳銃を床に伏せている神奈ちゃんに向けて構える…しかし私のことを強い衝撃が襲った…


「うっ…痛った…」


「はぁ…はぁ…傷が痛むけど…こんなものよりもあんたを止めることのほうが大切そうね!!」


「邪魔しないで!!」


「この拳銃は私のものよ!!返してもらうわよ!!」


その時私のことを抑えていた彼女のことを銃撃が襲った…


「邪魔をするな…これは俺が彼女に与えた試練だ…お前ら警察が介入してはいけない…」


「…」


「次は当てる…俺の射撃能力を知っているなら今すぐそこからどけ…それとこれで自分を縛っておけ…安心しろ…お前が望むなら殺してやるから…」


「ロープ…」


「…今すぐ撃って殺しても良いんだぞ?」


「…分かりました…」


私のことを抑えた友達のお姉ちゃんは、ロープを使って自分を拘束した…それを彼が確認して解けないことを確認した…


「亜理沙…そこに居る友達を撃ったら次だ…安心しろ…もし邪魔が入る用ならそこは俺が排除してやる…お前は俺から与えられた課題をしていれば良い…」


私がするのは、大切な人を自分の手で殺すこと…私は本当に後悔していないのかな…


「分かった…それじゃあごめんね…神奈ちゃん…」


「ねぇ…嘘だよね?私のことそれで撃たないよね?ねぇ!!」


「ごめんね…私のためにも…ここで死んで!!」


私は拳銃のトリガーを引いた…そして彼女に向かって弾丸が放たれた…


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