第9話 剣術指導にて

 そこにいたのはわれら1年C組が誇る秀才である、長い金色の髪を持つエルフ族の少女だった。


「ねえ聞いてる。あなたに言ってるのよアレス・クリフォード。それとも何?別人だったりするの?」


 長い金色の髪を手で払いながらエルフの少女は言い放つ。


 なぜ声をかけられたのか。その真意はアレス自身も理解はできていない。

 同様にレオンも混乱しているのだろう。キョトンとした顔でアレスたちを交互に見ている。

 

「あ、ああ。すまない。えっと君は……?」

「なに?あなたクラスメイトの名前も覚えていないわけ?ソフィア・スタッフォードよ。で、アレス君に尋ねたいことがあるのよ。」


 俺に向かってそう告げた瞬間、ソフィアと名乗った女の子がグイっと顔を近づけて言い放つ。


「あなた推薦で入ったんでしょ?この学院に。ということはそれ相応の実力も身に着けてるってことでしょう?ちょっと興味をもってね。だから手合わせしてくれない?」


 なるほど。


 ソフィアは俺とやりあいと。


 …………。


 

「えっと。俺はもともとレオンとやる約束してたから期待に応えられないな。ごめん!それじゃ!」


 そういうとレオンの手をとりソフィアから逃げるように去っていく。

 レオンが何やら俺に声をかけているらしいがそんなの無視だ。

 

 むやみやたらには”力”を使うことは許されないんだよ。

 しかもそれを授業中にしようもんなら確実に噂として学院内に広がっちまう。

 そうなるとせっかくの学院生活がおじゃんだ。

 ”四界”ってのはそういうもんだ。オッサンの時は例外だ。周りに人もいなかったし。


 さあ剣術の授業を再開しないとな!!






 






 「なによ。あいつ。絶対に確かめてやるんだから……。」




 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




「なあ。アレス本当によかったのか?」


 レオンは自身の顔を歪めながら俺に告げる。


「ああ、別にいいんだよ。変に目立つのもよくないし。第一苦手なんだよ、ああいうの。」


 嘘はついていない。

 ソフィアが纏う独特の雰囲気というか、あの感じがどうにも好きになれない。

 昔の自分を見ているようで……。

 いや、それはさすがに違うか。


「ふーん。ま、それならいいがな。さてやろうぜアレス。」

「そうだな。よし、かかってこい!」

「へへ、驚きすぎて腰ぬかすなよ。」


 そう言いあうと俺はレオンとともに授業を再開するのだった……。









    ※第一話を改稿しました。

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