キャラクター賞

 キャラクター賞は『脳内AIに導かれる、なんかズレた平穏への道(作者:アールサートゥ)』です。

 作品リンク→https://kakuyomu.jp/works/16817330650722012078


 ○愚弟・評

 あまりにもこの賞に相応しい作品で、意見が割れることなくキャラクター賞に決まった。

 まず設定から面白い。余裕のある少女が実はへっぽこで、AIの指示に従って余裕ぶっているのだった(内心冷や汗)……と、もうこれだけで面白い。

 しかもAIと主人公のやりとりにしているおかげでコントとして成立もしている。AIと主人公がそれぞれボケでありツッコミでもあるという設定だ。

 キャラクターに二面性があって「実はこんなことを考えていたのだ」というのは最近の流行りの一つであるから、設定だけでいえば特筆すべき目新しさがあるわけでもない。

 けれど本作で大事なのは実際に面白く書けているという点だ。

 それはもう、キャラクターがイキイキしている。かわいい。魅力的。

 正直に言えば地の文は何が起こっているか読みづらい部分も多い。だが、そんなことよりもキャラが良い。

 地の文はあとからでも身に付ければいいです。

 ストーリーだの構成だのもあとから覚えればいいです。

 このキャラを生み出せたという事実だけで充分にキャラクター賞に値します。


 ○小山・評

 正直心のうちでは大賞でいいのではないかとも思っていた。ただ、キャラクター賞という一番ふさわしい賞があるのに欄外の意味である大賞にするのもどうかなぁと思ったので、キャラクター賞がいいかと思い直した次第である。

 主人公とその相棒のキャラクター性の高さは言うまでもないし、能力バトル系の群像劇として一人一人の特徴をよくよく描き出せているのが非常に素晴らしい。

 1章後半のバトルにおけるモブだからといってモブでい続けてやる理由はないのだ(意訳)、というメッセージ性のあるセリフとそれによって立ち上がるキャラクターたちには痺れた。そこからの熱いバトル展開といい、これが書けるのであれば今すぐにでも書籍化ないしは新人賞を取ってもおかしくないレベルである。

 惜しむらくは勘違いものという構造もあるのだが、読者が一読して理解しにくい要素が非常に多いこと。勘違いさせるためには常に二つの意味を文章に持たせなければいけないため、それをわかりやすく書かなければいけない勘違いものはとても難易度が高い。

 勘違いものとしての俺tueeeee的な面白さの部分の演出に関しては文句がない。ただ、それを十全に読者に伝える文章の整理については要修練といったところか。

 設定なども独自性が非常に高く、全体的にレベルの高い作品だった。個人的にとても気に入っているのでぜひ続きも読みたい。

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