第10話 私たちの馴れ初め

弟の豊が雨の日のことを詳しく聞きたいというので、彼に話すことにした。

すいちゃんはどこから話すことがいいのか迷っているようだったけど、口を開いて言った。

『蜜ちゃんはね、あの日お母さんに怒られた日だって言ってた。どんなことで怒られたのって聞いたら『20歳にもなってアニメが好きとか気持ちが悪い』と言われたそうです。それは、蜜ちゃんのアイデンティティを傷つけた一言だとも言っていたかな。それで、私なんて消えちゃえばいいと思ってどこか分からないところを歩いていたところ見つけちゃいました。蜜ちゃんを家に招いて、それで暖かいハチミツティーとクロワッサンと服も私のを貸してあげたの。そしたら、蜜ちゃんがワンワン泣きながらクロワッサンを食べてる姿を見て、愛おしく思っちゃったの。この子の事を守りたいって思ったの。それから、彼女は食べ終わったら『眠いです』って言って床で寝ようとしたから、慌ててベッドで寝かせたの。彼女は相当疲れてたのか2日ぐらい起きなかった。寝顔も可愛かったな。まあ、そんな感じで今があるって感じかな』


蜜ちゃんは顔を赤らめて耳をずっと塞いでいた。

弟の豊は少しニヤニヤしながら聞いていた。

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