第十一話 Go to hell! You devil called Ubilfeint! 4

「ふふふ、はっはっはっ。本当はちょっと目眩しに使ってその隙に全力で逃げる予定だったんだけど、勿論予定変更だ。はは、もっといい方法があったもんだ。コイツにライトを当てれば体が蒸発する。コイツの弱点さえ分かれば全部こちらのもんだ。オラオラ、めいいっぱいの光のプレゼントだぜ。おっさん。」


 どっちが悪か、わからないくらいに俺はド畜生であった。も、勿論俺だってこんな事はしたくないからな!!


「俺は決めたことはとことんやるぜ。バカな奴にはバカな目に合わせてやる。」


「くそっ、なんだと。これはまずいな。光の魔法か。それにしても見た事がない。」


「光が苦手なら日傘でも持ってくるべきだったなぁ。おっさん。」


「く、この、クソガキが!!イキがるなよ。ふん、覚えておくが良い。貴様が俺の名を忘れている頃に俺はまた来る。その時が貴様の命日だ。お前は怒らせてはいけない相手を怒らせた。」


 ユビルはまるで再来を預言するの様な発言をしていた。忘れたところにふらふら現れてくるのは勘弁して欲しいものだ。


「ふっ、ははーん、またそんなそれっぽい台詞言いやg。」


「さらばだ。クソガキ。」


 ユビルはそう言うと速攻で消え去っていた。まさか、テレポート能力を使ったのか?


「あの野郎、俺まだ、喋ってた途中だったのにな.....なんだってんだ。」


「あ、そういえば襲われかけてた、紫少女は無事か?」


 そう思い振り向くと、やはり彼女は美しい髪であり、綺麗な眼をしていた。かなりの美人だ。

 そんな彼女は乱れた髪を指でまとめ、涙を拭き此方に寄ってきた。


「うわーん、怖かったよー。」


 女の子は俺の方に思いっきり飛びついた。その拍子にまた、俺は後ろに転んだ。やはり、彼女はさっきの事にはかなり恐怖していたらしい。そりゃ怖いよ。俺もマジで死ぬかと思った。


「もう大丈夫だよ、そりゃさっきのは誰でも怖い。一旦落ち着こう。」


 彼女の眼はかなり涙で波打ってたが、しばらく経った頃には涙は消えていた。

 どうやら少しばかり、落ち着いてくれた様だった。


「そういえば、何故あんな化け物みたいな奴に君が目をつけられたんだ?」


 そう俺が聞くとこの子は、俯いてしまった。


「アイツは、私が森で散策してる途中に襲いかかってきたの。急に、お前はいい商売道具だって言い出して。」


「くそっ、あの野郎.....ふざけてやがるぜ。」


 そして俺は思い出した様にボソッと呟いた。


「いやー、しっかし、俺の最強人生はどこに行ったんだよ。結局転生した時に貰った能力とか、ないし、分からないし.....」


「因みに、貴方の能力はなんですか?」


「いや、悪いが、それが全くわからないのだよ。」


「はあ、という事は、自分の能力をまだ、調べられていない、という事ですか。」


「うん、まあね。まだ、調べてはないね。」


「ふむふむ、それなら自分の能力を測ってくれる、能力調べるよ屋さんに行ってみてはどうですか?」


 少女は顔を近づけ、眼をキラキラさせ俺に提案する。それにしてもやけに顔が近い。


「能力調べるよ屋さん?」


「そう、読んで字の如く、依頼すれば貴方の能力やステータス、なんならレベル状況などを全部、詳しく調べてくれるの。しかも驚くべきことに、初回転生者はタダだからね、やったほうがお得なの。貴方転生者でしょ。転生者ならやっぱり早めに、自分の能力を知ることは大切だから。」


 この少女は得意げにこの世界の仕組みのことをペラペラ語っていた。


「ん?何故俺が転生者だと分かった?」


「いや、だってそんなこの世界にマッチしてないよく分からない服とか、その真っ黒な黒髪とか、この世界ではそういう格好をしているのが、ほんとんど、転生者しかいないからよ。」


 この世界には一応は転生者の認識があるのか。


「えっ、この世界に黒髪はいないのか!?」


「うん、いないと言うよりかは、生まれつき黒い人はいないね。皆んな頭髪がカラフルだよ。まあ、辛うじて、白髪ならいるんだけどねー。」


「そ、そうなんだな。」


「因みに、髪の色は生まれた血筋によって分かれるんだよ。赤なら名家の血筋だったり、青なら剣豪の血筋だったりするんだよー。面白いでしょ。」


「へー、そうなんだな。そうなると黒が転生者ってことになるのか。要するにカースト的なモノが目視できるって事なんだな。じゃあ君のその髪色は、どういう血筋なんだい?」


 俺は興味本意で聞いたつもりだった。


「.....あ、え、いや、別に。」


「え。」


 彼女は俯き、指同士を突きながら目を逸らして、

 

「いや、なんでもないよ。」


 と言った。


「ああ、そうか。すまん。」


 なんだろう、隠すってことはあまり言いたくないアレだったのかな。

 なんか、ちょっとまずいこと聞いてしまったのかもな。

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