第22話 真実が知りたいです
いつも悪態をついている警官も、さすがに女の涙には弱いようだった。
彼らは一瞬たじろいだ様子を見せて、
「……泣いたって罪は消えないぞ……」
そう捨て台詞を残して、保健室から消えていった。
……
あの優しくて明るくて頭の良い
「
大学に進学して友だちができるか不安で……誰かに話しかけたいけれど勇気がでなかった。
そして孤立しかけて心が折れそうになったときに、彼女は現れた。
「
彼女はずっと笑顔だった。いつだって優しくて太陽のように暖かくて……
「講義でわからない所があれば教えてくれたし……どこから聞いたのか私の誕生日も祝ってくれて……」誕生日なんて教えていなかったのに、調べてまで祝ってくれた。「いつか恩返ししなきゃって……ずっと、思ってたのに……」
恩返しができないまま、別れることになってしまった。
もう二度と、彼女とは会えない。そう思うだけで心が痛い。胸が張り裂けそうなほど苦しかった。
「……なんで……? なんで……
なんで
最終的に私はしゃべることもできなくなって、ただメソメソと泣いていた。涙だけが溢れて止まらなくなって我慢できなくなっていた。
「とにかく、今日はゆっくり休むと良い」
暇なのは暇らしい
話し相手になってくれるのはありがたい。話題が話題だけに、
「そうだ……
「
「私と
小学生の頃から一緒だと言っていた。私たち3人グループは
その
でも、いつかは連絡しないといけない。いつかは話し合わないといけない。
そう思っていると、突然スマホが振動した。マナーモードのスマホにメールが来たようだった。
差出人を見ると、
「……
【
変な気……
私が
時間をかけて返答を考えて、送信する。いつもならもっと簡単に長文が思いつくのに、時間をかけて少ししか送れなかった。
【
【ありがとうございます。では、しばらく1人にしていただけるとありがたいです。今の私は
冷静になんて話さなくても良いのに……一緒になって泣けば良いのに……
もっと……弱いところを見せてほしい。
そんな
なにか
できることは、1つだけに思えた。
「
私の親友を殺した相手が許せない。私の親友を悲しませた相手が許せない。この世から葬り去ってやりたい。
警察はもう頼れない。あんな人たちと一緒に捜査はしたくない。
探偵もいない。いつも頼っている
今の私が頼れるのは、
「……」
「……なんですか?」
「僕は探偵でもなんでもない。正確な証拠や100%の確証を探すことは難しいだろう。せいぜい80%程度の推測しかできない。真相に行き着かなかったのなら、そのときは諦めてくれ」
「……はい……」
諦めないけれど。先輩が諦めるのなら、私だけでも調べるけれど。どれだけ時間がかかっても、必ず……
それに、
「もう1つ忠告だ」こっちの忠告のほうが本命らしい。「調査の末に、キミにとって都合の悪い真実が明らかになることもあるだろう」
……都合の悪い真実……
だとしても……
「都合が悪くても、真実が知りたいです」
もしも私が
彼女の墓前で土下座しないといけない。
なんにせよ……私は真実が知りたい。どうして
それまで……泣くのはお預けだ。
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