第3話 教室にて

四葉

「ねえ、真智ちゃん?

宙ちゃん今日も学校休んでるみたいだよ」


真智

「そっか。

今日で5日経つよね」


四葉

「谷先生は身内の不幸って言ってたけど、心配だよね。

真智ちゃん、何か知ってる?」


真智

「実はさ、あたしも宙のこと気になってたから、昨日の昼休み職員室で谷先生に聞いてみたよ」


先日、職員室


真智

職員室の出入り口のスライド扉を開ける

スス、ススススー。

真智

「し、失礼します」



谷先生

「真智か?

悪い。今忙しいから用件は3行で頼むわ!

どうしたんや、真智?」


谷先生

谷先生は職員室の自分の席のパソコンでヘッドホン型イヤホンマイクを装着してオンラインゲームにいそしんでいた。


真智

「・•・、」


谷先生

「ツッコミせんのかい!」


真智

「いいえ、えーと」


谷先生

「お前が自分から職員室に来るなんて珍しいやんけ。真面目に聞くから話してみ」


真智

「実は、宙が最近学校に来ないから、

あたし心配で。

谷先生は何か聞いていますか?」


谷先生

「うちもな、宙のこと気になってたんや。

せやからな、一昨日のお昼

宙の親御さんに電話で聞いてみたんや」


谷先生 電話

『宙さん今日もお休みされていますよね?

私も含めクラスメートも心配していますし、

何かがあってからでは遅いと思い、

勝手ながらご連絡を入れさせてもらいました』


宙の母 電話

『ありがとうございます。

大丈夫ですよ、宙は』


谷先生 電話

『そうですか』


宙の母

『実は仕事から外国に長期滞在の多い夫が久しぶりに日本に帰って来ておりまして。

家族全員で過ごせることは滅多にありませんので、家族で連泊で旅行に行っております。

宙のことてご心配をおかけしてしまい申し訳ありません』


谷先生 電話

『そうだったんですか。

大丈夫です。

家族全員で過ごせる貴重なお時間、楽しんで来られてくださいね』


宙の母 電話

『は、はい…』


谷先生

「宙の母親曰くそういうことらしいで」


真智

「なるほど、そうだったんですね。

納得です!」


谷先生

「……」


真智

「……」


真智

「なんでしょう?」


谷先生

「何やろな?」


真智

「何だかわからないけど、

あたし、大切な事を忘れてる気がするんです…」


谷先生

「ああ、実はうちもや。

なんやろ、大切なことっていうのは過去のことのような気がするんや」


真智

「谷先生、実はあたしもです!!」


谷先生

「そっか、真智もか。

じゃあ、この違和感は未来から来ているっていう感覚もあったりするんやないか?」


真智

「はい、全く同じです」


真智と谷先生。

二人は漠然とではあるが、

何か危険な状況が自分達に迫っているのでは無いかと思い、妙な胸騒ぎがしていた。

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