9 ぞくぞく! ふたりのトット

「これは……まずいな。というか、Aランクのおれでは普通にこいつに勝てるわけがない」

 スサノヲは、草魔法に関してだけいえば、Sランクと判定されるほどだった。

 それでも、血筋を感じさせるセンスのある魔法を見ると、やはりかなわないなと思わされる。

 ここまで、ポインセチアやソーダの戦いぶりを見て、ひしひしと感じていたことだった。

 自分はトットに、必ず負ける。

 何もできずに負けることが、目に見えている。

「だが……」

 トットは、この戦いを赤銅卿にわかってもらうためだけのものだとはっきりといった。

「……つまり、マジに戦う必要はない」

 スサノヲは杖を振る。

 すると地面からボワンッと、巨大なフランクフルトが生えてきた。

 見上げるほどの大きさ、スタンダードプードルよりも太いフランクフルト……ではなく。

 ちくわ、あるいはフランクフルト。

 いやいや、きりたんぽ。

 はたまた、某有名な十円で買えるロングセラー棒状スナック菓子、に似ている。

 スサノヲが、苦々しげにそれに触れた。

「ガマの穂……湿地や浅い水辺で見かける植物だ」

「なぜ今、こんなへんてこな植物を出したんだ? しかも、巨大化させてまで」

 理解できないといいたげにしながらも、トットはスサノヲを止めることはしない。

 完全に、興味のみで会話をしている。

 トットは、スサノヲのようすを観察している。

 なぜならこの勝負、するまでもなくトットの勝ちなのだから。

 スサノヲは、跳ね回る心臓を押しこむように、深呼吸をした。

 目的がバレないよう、慎重に話を進める。

「おれはよく、魔法でたんぽぽを呼びだす。便利だからだ。おれは執事だから極力、身軽でいたい。ゆえに、飛行術で使うホウキを持ち歩く手間をはぶくため、たんぽぽのワタゲを貸してもらっている」

「草魔法使いのあるあるみたいだな。たんぽぽはそのへんによく生えているから、魔法をかけやすいとよくいってる」

「たんぽぽのワタゲはおよそ八十本。いっぽう、ガマのワタゲはおよそ三十五万本だ」

「……何の話だ?」

「爆発の話だ」

 わけがわからない、と眉間にシワをよせるトットに、スサノヲは慎重に話を進める。

「三十五万本ものワタゲが凝縮したガマの穂を手でぎゅっと、つぶす。すると」

 巨大なガマの穂に、スサノヲはこちらも巨大化させたたんぽぽの葉を巻きつけさせる。

 普通のガマの穂であれば、手でにぎればいいだけだが、巨大ガマの穂はそうもいかない。

 とたん、葉に巻きつかれたガマの穂が、ぱあん、と破裂したように四方八方に飛び散った。

 トットが両腕で顔をおおうのが見えた。

 視界が悪くなったひょうしをねらって、スサノヲはたんぽぽのワタゲをつかんだ。

 今度は早く飛ぶために、横に倒し、ホウキのようにまたがる。

「今はとにかく、逃げるが勝ちだ」

 ワタゲを飛ばし、スサノヲはその場から、なんとか逃げおおせた。

 後ろをふり返れば、フランクフルト色のガマの穂が、もくもくと飛んでいくのが見える。

 ガマの穂には、スサノヲの気配を遮断する魔法をかけておいた。

 いくらトットといえど、しばらくは追って来れないだろう。

「……さて」

 トットの願いを聞いてしまった今、彼を野放しにしておくわけにはいかない。

「ポーチさまのところへ、急がねば」




「いや、だーかーら。おれのことをベリーマフィンに告げ口するひまがあるんなら、蜜の紋章のかけらを探したほうがいいんじゃねえの。なっ、そうしろよ。お前ら、ひまなのか? そうじゃねえだろ。今は、大魔法戦争の真っ最中だぞ。さっさと動け! ほら! とっとと、お宝探ししろ」

 ぱんぱん、と手を叩くトット(二百歳)をポインセチアとソーダが離れたところから、呆れたように見やる。

「安心安全な大魔法戦争にするため、報連相がいちばん大事だ、とお父さまがいっていた。大魔法戦争なんてぶっそうな名前なんだから、内容だけでもクリーンな作りにしてないとな、ともいっていたぞ」

 ポインセチアはスマホの画面をたぷたぷと操作し、ベリーマフィン家の家電の番号を表示する。

「ぐぬぬ、おれの考えた大魔法戦争だぞ! 侮辱するな!!」

「お前が不正するからだろ」

「おれが考えたお祭りなんだ〜! 何したっていいんだ〜!」

「こういうお年寄りがいちばん困るんだよな」

「おれはぴちぴちの若者だ!!」

 トット(二百歳)がかんしゃくを起こすので、いよいよ電話しようかとなったとき。

 ととととと、と見覚えのある精霊が歩いてきた。

 りんご三つ分といいたくなるような大きさの、小人だ。

 苔むしたからだに、干しぶどうのような目がひとつだけついている。

「草の精霊デュラン。スサノヲとよく契約している精霊だよな。こんなところでどうしたんだ。スサノヲといっしょなのか?」

 デュランはふるふると首を振ると、ゆっくりとした口調で、テレパシーを送ってくる。

「ワタゲ……赤銅卿……野望……ガマの穂……」

「え? うーん……すまん。何を伝えたいんだ? もっとゆっくりテレパってくれ」

「いや、そっちじゃないでしょ。これ以上ゆっくりしゃべったら、次の日になるよ」

 ソーダがおだやかにツッコむ。

 大魔法戦争の夜は、そろそろ明けようとしていた。

 もう少しで、朝が来る。

 本来は、一夜限りの大魔法戦争なのだが。

「これは、延長戦かな」

 明るくなってきた空を見あげながらソーダはしゃがむと、デュランに視線をあわせた。

「このいくつかの言葉のなかにつながりがあるんじゃないかな。隠されたメッセージを伝えようとしているんじゃない?」

「デュランは静かな性格で、おっとりしているんだ。そんなデュランが〝野望〟っていっていたな。まさか、危険を伝えようとしてくれているんじゃ……。隕石が降ってくるとか、宇宙人がせめてくるとか、地下室からミイラが発見されたとか……!?!?!?」

「ミイラはともかく、デュランの言葉もわからないし、いったんプリンガレットにもどって、スサノヲさんに……」

「おい」

 へらへらとした能天気さで、トット(二百歳)がポインセチアたちを引きとめた。

「草の精霊の言葉、翻訳してやろうか」

「そんなことができるのか」

「二百年生きている、天才魔法師だぞ。できないことなんてない」

「ふん。私だって、いずれそうなるが?」

「こらこら、はりあわないの」

 二百歳と十二歳がプライドをバチバチと火花を散らすのを、ソーダがあいだに入って中和させる。

「トット(二百歳)。翻訳、やってみせてよ」

「そのカッコ、ずっとついたままなの、いやだな……」

 しぶい顔をしながら、天才魔法師は杖を取りだし、さらりと振った。

 赤銅色の杖。

 先端の満月を模した宝石から、しゃらりという音が鳴りそうな、星の装飾が三つぶらさがっている。

 ベルリラの杖に、負けるともおとらない、美しい杖だ。

「発しろ」

 地をはうような、力強い言葉にデュランのからだが、どくんと反応する。

 ソーダが、ぽつりとつぶやいた。

「今のは……呪文、なのか?」

 ポインセチアも、目の前の光景から目が離せない。

 何が起きているのか、目では追いつけるものの、頭で理解することは難しかった。

 魔法師にとって呪文は、長ければ長いほど強い魔法が仕えるとされていた。

 なので、あんな短い呪文で、精霊の言葉を変えることなど、普通ならばできるわけがなかった。

 デュランから、テレパシーが送られてきた。

「スサノヲさまが、こちらに向かっています」

 ポインセチアとソーダは、驚きに満ちているお互いの顔を確認した。

 デュランのテレパシーはゆっくりと、続きの言葉をつむいでいく。

「トットさまという魔法師が、スサノヲさまの前に現れました。トットさまは、もうひとりのトットさまのことを、赤銅卿と呼ぶといいました。おのれの願いのことも話されました。人々を不老不死の反対にするといいました。スサノヲさまはガマの穂を使って、トットさまから逃げ出しました」

 そういい残すと、デュランは煙のように消えてしまった。

「契約をスサノヲが解いたんだ。おそらく、近くまで戻って来ている」

「さてさて、この赤銅卿の血筋のものがなんだって?」

「もう呼び名を使っているのか。気が早いな」

「おれは新しいものが大好きなんだ。いや、それよりも愛しの子孫の願いがどうしたって?」

 赤銅卿がにやにやと、ふたりの顔をのぞきこんだ。

「ベルリラとはまた別の思想の持ち主だ。不老不死の反対とは、生の終わり。トット・ベリーマフィン。最愛の子孫はとんでもないところに行きついたものだ」

「血筋だね。まったくもって」

 ソーダが呆れたようにいう。

 ひゅん、と一陣の風が通りぬけた。

 いや、巨大なたんぽぽのワタゲだ。

 魔法師が、それにホウキのようにまたがっている。

 ずざざざ、と地面に足を擦りつけ、ブレーキをかけている。

 とんでもないスピードで飛んできたようだ。

「スサノヲ」

 ポインセチアに名前を呼ばれると、スサノヲはワタゲを空に放し、地面に膝をついた。

「お嬢さま。ご無事で何よりです。ですが、今はご報告をしている暇がありません。さきほど、草の精霊に現状を伝えるようにといっておきましたが」

「聞いた。トット・ベリーマフィンはどうした」

「あと、五秒ほどでここに着くでしょう」

「五秒!?!?!?!?」

 びしゃああああああん!!!!

 落雷。

 どこに落ちたのか、確認するよゆうもない。

 ポインセチアは、雷に耐性のあるしゃっくんを召喚した。

「シャッ!? んぴゃああああ!!」

 絶叫しながら、ソーダもセベックを召喚する。

 赤銅卿は、嬉しそうにトットへと歩み寄っていく。

「ああ、トット。すばらしい子孫に、ようやくご対面だ」

「ええ、おれもお会いできて嬉しいですよ。赤銅さま」

 トットのくちびるが、にこりと笑顔のかたちに作られるが、目はしっかりと相手をとらえている。

 まるで、射抜くように。

「トット、話をしないか。そうだな、お前の夢の話とか、とても聞きたいな」

 ドオン!

 激しい、爆発音。

 気づけば、赤銅卿の足元に焦げた穴が空いていた。

 トットの杖が、ゆらりとゆれる。

「夢、ですって? ぼくの野望を夢だなどと、あやふやな言葉で表さないでくださいよ」

 トットが、ぶつぶつと何かをいっている。

 呪文だ。

「白銅の花よ、冷笑せよ」

 赤銅卿の足元に空いた穴から、氷の花がぱきぱきと咲き乱れる。

 地面から、じょじょに冷気が伝わる。

「あ、足が……凍る!」

「しゃっくん、地面を……」

 にゅるり、としゃっくんが鳴いた。

 しゃっくんは雷には強いが、氷には弱かった。

 ポインセチアは「すまない、いつもありがとう」と、しゃっくんを還してやる。

 セベックも炎には強いが冷気には弱かった。

「まさか、トット。こちらの手を読んでいるのか」

 使い魔の特性を明らかに理解した、的確な攻撃。

 しかも、魔力も申し分ない。

 こちらのほうが人数では優勢にも関わらず、油断したら、完全に押し負ける。

 トットの戦い方は、それほどによゆうがあった。

「まずいですよ。このままではガチで、ガチガチに凍ってしまいます。ポーチさまだけでも、どうにか逃がして……」

 本格的に吹雪いてきたところで、スサノヲが叫ぶ。

「何をいっている!? 私をみくびっているのか、スサノヲ! 逃げるなら、お前だけ逃げろ!」

「あなたはプリンガレットの跡取り令嬢ですよ! 大魔法戦争で勝てなくても、あなたには家があります! 大魔法戦争で蜜の紋章なんか手に入れなくたって、あなたには歴史に名を残せるほどの実力があります! だから、どうかここは引いてください!」

「いやだ!!!!!!!」

 ポインセチアの絶叫が、あたりに響いた。

 とたん、あたりがシーンと静まりかえる。

 ゆっくりと吹雪く雪が、音を飲みこむようにして、ポインセチアたちに降り注ぐ。

「私は、大魔法戦争で勝つために、今日までをがんばってきた。勉強も、礼儀作法も、魔法も、飛行術も、瞬発力を鍛える訓練だって。泣きそうなほど嫌になるときがあっても、がんばれたのはなぜだと思う?」

 きらり、とポインセチアの背後から、光が差しこむ。

 朝が、のぼろうとしていた。

 ゆるり、ゆるりと太陽がのぼる。

 ポインセチアの銀色の髪に、光が反射して、きらきらと輝く。

 朝が、ポインセチアを照らしている。

 ソーダとスサノヲは、静かにそれに目を奪われた。

 あたたかな空気が、吹雪く雪をしゅわりと、わずかに溶かした。

「大魔法戦争で優勝する自分のすがたを思い浮かべて、必死に自分を奮い立たせてきたからだ。私にとって、ここに立つということはそれほどに大事なことなんだ。大魔法戦争に参加している私をそう簡単に取りあげるな、スサノヲ」

「お、お嬢さま……」

 だぱり、とスサノヲの目から涙があふれた。

 しかし、いまだに足元は凍りついてきているし、吹雪は止んでいない。

「朝だ。大魔法戦争は延長だな」

 トットが、ローブをひらりとひるがえした。

 太陽が昇っているあいだ、大魔法戦争は休戦だ。

 トットを見つめる赤銅卿は、目尻をへにゃりととろけさせている。

「いやはや、トットは強いなあ。さすが、おれの子孫だ」

「おれ、強いですか?」

「おーおー、強いさ。なんたって、おれの血が流れているんだからな」

「じゃあ、トット・ベリーマフィンはひとりでよくないですか?」

「ん?」

「ふたりもいらないでしょう」

 トットが呪文を唱える。

「くじゃり、どぐら、じゅらら、まぐら……」

 それに気づいたソーダが、ポインセチアを後ろに押しやった。

「禁忌魔法だ! いったい、なんの呪文かわからない……。ポーチ、さがって」

 しかし、反対にポインセチアはぐいっと前に進み出た。

「おい、またはじめから唱えはじめたぞ。まさか、禁忌魔法は十三回唱えないといけないルールがあるのかもしれないな」

「ぽ、ポーチ。さがってよ」

「なぜ、赤銅卿は黙って聞いているんだ……?」

「ポーーーーチ!!」

 トットは、まるで歌でも歌うように、ゆったりと禁忌呪文を唱えていく。

 一回、二回、三回、四回……。

 そのあいだ、赤銅卿は一歩も動かなかった。

 コンサートを聴きにきた客のように、トットの呪文をのんびりと聞いている。

「うん、子孫の呪文は音程がいい。リズミカルだし、聞いていて飽きねえ」

「マジのコンサートじゃないか! おい、赤銅卿。お前、それが何の呪文なのかわかって聞いているのか」

「わかってるぜ……?」

「いいのか!?」

「そーだな」

 赤銅卿が、さみしそうに笑った。

「もう二百年も月からひとりでみんなを見下ろすの、疲れたのかも知んねえな」

 ぴたりと、呪文が止んだ。

「魂連結の呪文」

 ぐらり、とよろけたかと思うと、赤銅卿はばたりと地面の上に倒れてしまった。

 二百年も生きたらしい肉体が、さらりと砂のようになって崩れた。

「なっ……!!」

 ポインセチアは驚いて、口元を押さえた。

 砂になったことで、風にさらさらと飛ばされていく光景を、トットは黙って見おろしていた。

 ポインセチアが肩を震わせながら、いい放つ。

「おい、お前。赤銅卿に何をした……!!」

「……魂、連結されたようだな」

「なっ!?」

 そのしゃべり方は、間違いなく赤銅卿のものだった。

 しかし、見た目はトットのままだ。

 ポインセチアは背筋にゾッと寒気が走るのを感じた。

「お前、どうしたんだ、それ……」

「言葉どおりだ。いっしょになったんだ、おれたち」

 朝の光が、赤銅卿となったトットを淡く包みこむ。

「まるで、生まれ変わった気分だぜ」

 風の精霊が透明の器となって、赤銅卿を乗せて、飛び立つ。

「また、夜に会おうぜ。ぬるま湯のような、心地よい夜にな」

 ひらひらと手を振って、赤銅卿はブルーマフィンの屋敷のほうへと飛んで行った。

 あとには、呆然とたたずむ三人がいた。

「ああああ!!!! マジなんだってんだ、あのやろ〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!」

 感情に任せてじだんだを踏むスサノヲが、ソーダは羨ましかった。

 自分もむきだしの感情のままに、暴れ出したかった。

 それでも、気持ちをおさえこめたのは、彼女がいたから。

 ポインセチアが、希望を捨てていない顔をしていたからだ。

「ポーチ……」

 とたん、ポインセチアがどしゃりと、地面にへたりこんだ。

「ぽ……!!」

「ポーチさま! 限界ですか」

 スサノヲが駆けよる。

「ぽ、ポーチ。どうしたんだい?」

 混乱しているソーダに、スサノヲが振り返る。

「持久力切れだ」

 ポインセチアを横抱きに、スサノヲが抱えこんだ。

「一晩、走り回っていらしたからな。疲れも出るだろう」

「きみ、屋敷にいたんでしょ。まるで、知ったように話すんだね」

「……ととと、当然だろう。そうに決まっている! ポーチさまは努力家でいらっしゃるのだから!」

 わかりやすくあわてるスサノヲに、ソーダは頭の上にハテナを浮かべた。

 家族のようなプリンガレット家だから、褒めたつもりだったが、と。

 ポインセチアは完全に体力ゼロになったためか、スサノヲの腕のなかで眠りについていた。

「ポーチさまは、そうとうなお疲れだ。きさまはもう、チョコレートパインにもどれ」

「いや、だってきみ、そのままじゃ杖振れないだろう。どうやって、プリンガレットにもどるんだい?」

「きさまにかけてもらう情けなどいらん。自分でなんとかする」

「ぼく、召喚魔法得意だから、乗り物の代わりになりそうなやつを呼ぼうか」

「おい、きさま! ポーチさまを乗りもの酔いさせるつもりか!?!?」

「いや、寝てるんだし、少しくらい平気でしょ……。抱き抱えて、そのまま帰るつもりなの?」

「おれはプリンガレットの執事だ。こんなこと何の苦でもないわっ」

「そうかあ。じゃあ、ふたりで順番に運ぼう。ここからプリンガレットなら、三十分ほど歩けば着くものね」

「誰がきさまなどにお嬢さまを運ばせるか! おれひとりで十分だ!」

 そう宣言したスサノヲは、本当に見事、ポインセチアを横抱きのまま、プリンガレットの屋敷に着いたので、ソーダはすなおに感心してしまった。

 ベッドでポインセチアを寝かせると、ふたりもそのまま応接室のソファの上で、転がり落ちるように眠りに着いた。

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