第6話 偶然

そう思っていると、彼女が声を掛けて来ました。

(そうだよね、また何時でも会えるもんね)

と思って笑顔で返すと、彼女も笑顔になってくれたので一安心しましたわ。

そして最後にお別れのキスをして私達は船に乗り込み、サイード島を出発しました。

暫くの間は順調に進んでいたのですが、突然激しい嵐に見舞われてしまいましたね。

(この船は大丈夫かしら?)

と思いながらも心配しているとどうやら難破してしまったようです。

それでも諦めずに頑張っていたんですがとうとう限界がきてしまい、私達二人は海に投げ出されてしまったのです。

私は必死に泳いでいましたが思うように泳げず溺れかけましたけれど、そんな彼女が私を助けてくれました。

私は、心の中で感謝の言葉を述べながら彼女に抱きついていると、彼女がこう言いましたね。

「大丈夫ですよ、私が一緒なら何も怖くないですよ」

その言葉を聞いた私は思わず泣きそうになってしまいましたけど、それでも堪えて笑顔を作ると、彼女もまた笑顔で答えてくれました。

(そうだね、私にはあなたが居るもんね)

と思いながらも二人で協力して陸地を目指すことにしました。

そして、しばらく経ってから無事に岸まで辿り着く事が出来ましたわ。

その後は現地の人達に助けてもらったのでお礼を言って、その場から立ち去りましたがその直後のことです。

どうやら近くに軍隊が居たようで見つかってしまったようなのですけれど、

彼女は私の事を心配して安全な場所へ連れて行ってくれると言ってくれて、私を守ってくれたので安心出来ましたね。

「さあ、着きましたよ」

そう言って彼女が連れてきた場所は一軒の家だったのですが、そこには私達以外に数人の男女が居ました。

そして、その中に私の知っている人が居たので驚きましたが彼女も同じように驚いていたようですね。

(あれ、どうしてここに居るんだろう?)

と思っていると向こうから声を掛けてきましたね。

そこで初めて知ったのですけれど、彼女は私が思っている以上に凄い人だったようでして驚くばかりでしたよ。

(サラナって一体何者なんだろう?)

と思いながらも話を聞く事にしましたわ。

そして、その話は私にとって衝撃的な内容でしたの。

まあでも当然と言えば当然ですよね!

だって今の彼女の姿を見れば誰でも気付くはずですもの!

そんな彼女の姿を見ながら私は心の中でこう呟きましたわ。

「やっぱり、サラナは素敵だな」

それから暫くの間、一緒に過ごしていましたが、その間に私は彼女にある事をお願いしてみたのですけれど、

快く引き受けてくれたので本当に嬉しかったですわ。

その翌日、私達二人は新しい生活を始める為に旅に出る事になったのですが、

道中では特に何事も無く進む事が出来ましたのだけどね。

ですが、とある街で宿を取ろうとした時の事なのですけど、そこで出会った女性の一人が私に話しかけてきたのですよね。

その人の名前はニーナさんと言うらしいんですけど、彼女は私に対して色々と質問してくるんですわ。

その質問の内容というのが、私の生い立ちについての事だったので少し戸惑ってしまいましたけれど、

彼女なりに心配してくれているのかもしれないと思い質問に答える事にしたのですよね。

そうして暫くの間話をしていると彼女はとても喜んでくれましたし、その後も一緒に食事に行ったり遊んだりと楽しい時間を過ごしましたわ。

そして彼女が自分の故郷に帰る際にまた会おうねと言って別れましたが、それから数日後に彼女の故郷の村へ立ち寄る事になりましたので挨拶に行く事にしましたよ。

(どんな人達が居るんだろう?)

と思いながら行ってみると、そこには本当に驚くような光景が広がっていましたわね、一体どうなっているのでしょうか?

私の目の前には、皆女性しか居なかったのです。

しかも、全員がとても美しい人達ばかりでして驚きましたわ。

そんな中で私が彼女達に自己紹介をすると、やはり最初は驚いていたようですがすぐに受け入れてくれたようでしたし、

歓迎してくれたので嬉しかったですね。

そしてその後、一緒に食事をしたり遊んだりと楽しい時間を過ごしていたのですが、

途中でニーナさんが用事があると言って何処かへ行ってしまったのですよね。

なので私は一人で待っていたんですが、中々戻ってこなかったので心配になって探してみると近くの湖にいるではありませんか!

しかし、そこには彼女が居なくてその代わりに見知らぬ女性が立っている事に気が付いたのですけれど、何故か彼女から目を反らせない自分がいましたね。

(あれ? どうして私は彼女の事を気にしているんだろう?)

と思いながらも彼女に話し掛けてみましたが、彼女から返ってきた言葉は意外なものでした。

それは、私に向かって好きだと言ってきたのです。

当然、最初は冗談だと思いましたけれど彼女は本気のようでしたので驚きましたわ。

(えっ!? 本当に私の事が好きなのかな?)

と思いつつも彼女と話しているうちに私も彼を好きになってしまったようでして、気が付けば自分からキスしていたんですの。

それから暫くの間抱き合っていましたけど、不意に彼女が離れてしまい、

そのまま何処かへ行ってしまいましたので寂しかったですね。

(何処に行ってしまったのかしら?)

と思いながら探していると、どうやら街の外れに居るようなので行ってみたのですが、

そこで彼女が見知らぬ男性と楽しそうに話しているのを見掛けたんです。

その男性は身長が高くて体格も良く顔も整っていましたし、何よりもイケメンでしたわね。

それに物腰も柔らかかったですし親切にしてくれましたので好感が持てましたわ。

そして、その後にも彼女と会って色々と話したのですが、その時の出来事が私の中で凄く印象に残っていますね。

それは彼女がサラナと同じ名前だったからです。

(まさか偶然だよね?)

と思ったんですけど、彼女の反応を見る限りでは違うようですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る