第32話 早めの帰宅


 キャンプ道具を設置し終えた俺たちは各々の食べものを出して食べていく。

 食べ終わる頃ようやく梅田クランが戻ってきた様だ。

「大丈夫ですか?」

「柳がやられた、ポーションをはよう!」

「はい!」

 柳の足があらぬ方向を向いている。

 近づいていき、

「柳、我慢しろよ」

「うす」

 柳の足を元の位置に戻してポーションをかけると残りを飲ませる。

「はぁ、はぁ、はぁ、た、助かりました」

「おう」

「レクト待ちい!うち達はこのまま潜って大丈夫だと思うか?」

「それはリーダーのあんた次第だろ?ワンマンでパーティーが成り立つとは思ってない」

「そ、そうか」

 俺は戻って椅子に座りコーヒーを飲む。


 朝起きると柳がいた。

「どうだ?」

「もう大丈夫です」

「そうか」

「今日も先に行って良いぞ」

「本当ですか?」

「あぁ。俺たちは二時間後に出発するから」

「ありがとうございます」


 そう言ってバスに戻って行くと、狭間が機嫌良く降りてくる。

「おおきに!んじゃ、先いってますね」

「おぉ、気をつけろよ」

「はーい」

 何が嬉しいんだかわからんけど先に行きたいんだろうな。


「うにゅ、もういったの?」

 テントから顔を出したのはヒナ。

「あぁ。どうしても俺らより先に行きたいらしい」

「そう。ふあぁ、眠い」

「まだ寝てろ、時間になったら起こすから」

「ふぁーい」

 ヒナがテントに戻って行く。

 三人とも楽しかったのか昨日の夜は遅くまで起きてたみたいだからな。



 ♦︎



「ほないくで!」

「「おう」」

 四十一層からスタートする。

「柳。遅れるなよ」

「少しスピード落としたらどうですか?」

「そんなことやってられへんわ!ホープクランに負けるやろ!」

「勝ち負けの問題じゃなくて」

「いややねん!負けたくないねん」

「はぁ、分かりましたよ」

「よっしゃ!派手に行くで!桜花扇!」

「あーぁ。最初からとばしてるし」

 


 ♦︎



「あー、お前たち起きろよー」

「ふぁい!起きてます」

「ねーむーいー」

「えっ!もうこんな時間?」

 もう朝の十時だ。朝七時にでた梅田クランとは三時間の差がある。

「やばいやばい」

「もっと早く起こしてよ!」

「起こしたけど起きなかったのはお前らだ」

「そりゃ。こう朝チューとかあるでしょ!」

「ないわ!」

 まぁゆっくりするのも良いだろう。

 

 なんとか準備が終わったらしいヒナ達は身だしなみをチェックしている。

「ヒナよーし!アズサよーし!」

「ミアよーし!オッケーです」

「んじゃいくかな」

 俺たちも四十一層から始めて行く。

「シッ!」

「アイスランス」

「はあぁ!」

 朝から調子がよさそうだ。って昼前だけどな。

「うら!」


 俺も身体が軽いな。まだ四十一層だしな。


 四十ニ、三と下に行くとめんどくさそうな敵は俺の収集でかき集めて焼却なり粉砕して行く。

「全部レクトがやってもダメでしょ?」

「めんどくさそうな奴だけだ」

「ふーん、ならいいけど」

 そうそう、使えるもんは使っていかないとな。

 

 四、五も同じ理由で収集、焼却してしまった。

「もう。私達が何もできないでしょ?」

「そうですよ!師匠やりすぎです」

「でも、めんどくさいパターンの奴らばっかりだったから」

「それでもです」

「はい」

 四十六層からは普通に倒しているがやっぱりめんどくさい。


 まぁ倒せるからいいのだが、ヒナ達も奮闘しているので使わずに進むことにする。

 


 五十層、キングスライム。

「師匠やっちゃってください」

「そう、これはやっても良いよ」

「そうなの?核壊せば一発だろ?」

「あの粘液で汚れるのが嫌」

「はいはい、スライム収集、焼却」

 キングスライムは灰になりドロップ品になった。


 そのまま五十層で休憩にして、お茶を飲みながらゆっくりしている。

 今日はここまでで良い気もするが、六十層まで行ってみたい気持ちもある。

「ここで良いんじゃない?」

「明日もあるし」

「梅クランに追いつくとまた面倒ですしね」

「なら今日はここまででやめておこう」

 外に出るとまだ夕方にもなっていない。

「ちょっと早かったかな?」

「まぁ、いいんじゃない?」

「そうそう、ここまで無事来れたんだし」

 

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