策略-2

「ここです」

 さくらは自身が住む賃貸マンションを長四郎に教える。

「ここですか」長四郎はきょろきょろと周囲を見回して写真が撮影されたであろう場所を探す。

 さくらが住むマンションはオートロックマンションで侵入する事は可能だが、エントランスには防犯カメラがあり侵入すればその記録がのこる。ストーカーとはいえそこまでの危険を侵す訳がない。そんな事を長四郎は考えながらさくらの説明を聞く。

「ここで撮影されたのは、一ヶ月前かなと」

「どうして、一ヶ月前だと?」

「実は、この来ている服、丁度、一ヶ月前に下したばかりの服だったんで」

「ほぉ~」長四郎は興味深そうな反応を示す。

「あの部屋でお話しますか?」

「その必要はないかと。それでこれからのスケジュールを教えてください」

「今日は、仕事はありません。このまま家で大学で出されたレポートを書こうかなと」

「そうですか。後で構いませんので今週分のスケジュールをメッセージで送って頂けますか?」

「はい。分かりました」

「後、これから事務所へお伺いするのでその旨を伝えといて頂けますか?」

「はい」

「それと事務所の住所を・・・・・・・」

「あ、ここです」

 さくらは事務所の名刺を長四郎に渡すと、長四郎はすぐに地図アプリで住所検索をする。

「では、明日から宜しくお願い致します」

 長四郎はそう告げてさくらと別れる。

 マンションから数十メートル歩いたところで立ち止まると「そろそろ何の用か聞きたいな。女子高生」と後ろで尾行する羅猛らもう りんに尋ねる。

「チッ、バレてたのか」

「バレバレ。素人が探偵を尾行しようなんて二万年早い」

「そんな事よりさ、どうしてあんたが高島さくらと一緒にいるわけ?」

「依頼があったからでしょ。べ、別に付き合っているわけじゃないんだからね!」

 ツンデレキャラの言い方をする長四郎をスルーする燐は「あんたと付き合ってるって分かったら、別れるようにさくらちゃんに言うわ!」と辛辣な対応を告げる。

「なんちゅうガキだ。ま、今回はラモちゃんの出番はないから。じゃ、お疲れ」

 長四郎はそう言って、その場から立ち去ろうとするがすぐに燐に首根っこを掴まれる。

「何すんの!」

「あんた一人で、行かせるわけないでしょ。助手を放置してどこ行くの?」

「助手って・・・・・・・いつからなったのよ」

「つい最近」

「俺は認めてねぇから」

「そんな事言わずにさ」燐は長四郎が手に持つスマホを取り上げると、「行くわよぉ~」と一人、行く気満々の燐は事務所に向けて歩き出すのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る