罰ゲームということで、幼なじみ彼女にメイド服を着せて色々命令してみた

倉名まさ

第1話 罰ゲーム決定

【登場人物】

語り手……幼なじみ彼女。大学生

聞き手……幼なじみ彼氏。大学生


(彼氏の部屋。二人でテレビゲームをしている)

SE:コントーラーを激しく叩く音


ん、もうちょいっ、そこだっ……ああ、もう!


うおっ、ガードはじけたっ!? ウソっ!?


あ、ヤバい、それヤバい、ちょ、ちょっと待って!


うなあぁ~!?


ああ~、お星さまになってく~


――あ~、クソっ、また負けたっ!


ひとが弱ってるとこに付け込んで


容赦なさ過ぎッ


通信であんなプレイしたら嫌われるわよ?


そういうゲーム、ってそれはそうなんだけどさー


っていうか、最近えらい強くなってない?


緊急回避使いこなせてるし


ちょっと前まであたしが無双してたよね?


あれが悔しかった、って……


さてはあんた、あたしに隠れてやり込みまくったでしょ?


あ~、やっぱそうかぁ


こりゃ、あたしも修行し直さないとダメだなぁ


やっぱ勝てないとつまんないもん


あー、でも、さっきのは惜しかったなぁ


ほぼほぼ勝ってた


前半は抑え込んでたし


ぶっちゃけ、試合内容で言ったらあたしのほうが勝ちじゃない?


判定勝負だったらあたしの方が勝ってたくない?


いや、まあ、ボクシングじゃないんだからって言われたら


そのとおりですけど~


最終的に飛ばされましたけど~


スマッシュヒット受けましたけど~


それはそうなんだけどさぁ


な~んかこう、納得いかないっていうか


次やったら、ゼッタイ勝てると思うんだよね~


と、いうわけで~……


もう一戦! やろっ!


え~、もうおしまい~?


ず~る~い~、勝ち逃げだ~


ズルいもん。ズルいズルいズルいズルい~!


小学生の頃からぜんぜん変わってない?


だぁってぇ~、悔しいじゃん!


あんたはさ~、彼女に華を持たせてあげようとか


そういう発想はないわけ?


そんなんじゃモテないぞ~


いや、まあ、そうだけどさ……


たしかに、手加減なんかされたらぶっ飛ばしたくなるけどさ~


そのへんは、さすがにあたしの性格分かってるよね


あんたが、あたし以外の女の子にモテてもそれはそれで困るし……


まあ、それはとりあえず、置いといて!


お願い~、あと一回だけ!


勝っても負けてもこれで最後にするから!


……さっきもそう言った?


そうだっけ?


まあまあ、いいじゃんいいじゃん


ねえ~、お願い~、やろうよやろうよ~


このまま一回も勝てずに終わるのヤダよ~


ここで言うこと聞くとキリがない?


また負けたら同じこと言う?


もー、お母さんみたいなこと言わないでよっ


中学生くらいまでのあんたは、もっと素直でかわいかったわよ


いつの間にこんな生意気になっちゃったのかしら


あたしはそんなふうに育てた覚えはありませんよ!


なんと言われてもダメ?


むぅ~、いじわる……


あっ、じゃあさ、罰ゲーム付きならよくない?


そっ、罰ゲーム


次負けたほうが勝ったほうの言うことなんでも聞く、


ってのはどう?


本気、本気。マジ、マジ。


ぜぇったい、やっぱり無しとか言わないから!


女子大生に二言はない!


負けたらなんでも言うこときくから~


それならいいでしょ?


ねっ、ねっ?


おっ、ほんと?


よっしゃぁ、そうこなくっちゃ!


そうとなったら、ガチの持ちキャラ使って本気でいくからね!


もちろん手加減無用!


真剣勝負よ!


SE:コントーラーを操作する音

……うしっ! いい感じ……よ~し、このまま……ふはははっ、今度こそその首もらったぁ! ……って、あっ……ちょっと待って……!


ちょっ……それズルっ……


トマトぉ、なんで狙いすましたように、あいつのほうにでるの~!?


全回復かよぉ……!


……あっ、おしっ! もっかい押し込んで……って、ああっ……うああっ


ダメダメダメダメ、待って待って待って……あうう~!


ウソでしょ~!! ま~け~た~!


あ~もう、ほんとに惜しかったのにぃ……


分かってるわよ! 約束はちゃんと守る!


言うこと聞く!


ね、だからもう一回やろっ?


次も負けたら言うこと聞くから~


そんときは二個命令していいからっ


よ~し、今度こそ


……って、開幕いきなりソレっ!? ああ~、空中で追い打ちやめて……


んくっ……この……ていっ……ど、どうだ……ああ~、惜しい惜しい……!


んな~……ダメージだとこっちが勝ってたのにぃ……


よっしゃ、ハンマー……これでぇ……こらぁ、ちょこまか逃げるなぁ……


え、うそっ……落ちる落ちる……ちょ、ちょっと待って……いまの無し無し無し


ああ~、またしても……なんでそっちばっかり……あっ……あ、あ、あ……


ダメダメダメダメ、それはダメ~!


ご、五連敗……ウソ……でしょ……


燃え尽きた……さすがに灰になったわ……


あ~もう、分かってる!


ちゃんと約束は守るわよっ!


5個、好きにお願いしていいから


煮るなり焼くなり好きにしなさい!


い、言っとくけど、あんまりエッチな命令はダメだからね?


それ以外だったら、わたしにできることならやるから


さあ、どうして欲しいの?


一個目の願いはなに?


さあ、願いを言え


どんな願いでもだいたい全部叶えてやろう


えっ、「準備があるからまた後日」って……


なにそれ!?


めちゃくちゃ怖いんですけど?


なんか変なこと企んでるでしょ?


うわぁ、すっごいニヤニヤしてる


めちゃくちゃ悪そうな顔してるんですけどぉ


うぅ、分かってるわよぉ


約束はちゃんと守る


だからさぁ、もう一戦、しない?


うっ、さ、さすがにやり過ぎ?


あ~もう、分かった


今度までに特訓しておくから見てなさいっ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る